My Wandering MUSIC History Vol.17 THE CLASH『LONDON CALLING』

1979年12月CBSよりリリースのアルバム。

“ Punk is attitude, not style ”
とはいうもののバンドの見てくれはひとつの要素。クラッシュの「London Calling」のプロモーション・ヴィデオに魅了された人は多かったのではないか。テムズ川に面した雨のバターシー・パークでドン・レッツによって制作された「London Calling」のプロモーション・ヴィデオに映る4人のカッコいいこと。イントロの映像でギターを担いで演奏する場所へ歩いて行く姿なんかは、後の石井聰亙監督の映画『爆裂都市』の最初でバトル・ロッカーズが楽屋からステージに向かうシーンに通じるものを感じてしまう。

ミック、ポール、トッパーはスーツやロング・コート、ソフト帽、ネクタイ(昔のギャング・ムーヴィー・スタイル)で決めているが、ジョーの首にバンダナをまいてる姿もかっこいいよなぁ。それに最初の“London Calling…”とフロントの3人がマイクに向かって歌うまでのシークエンスでもう釘づけ。これに勝るプロモ・ヴィデオはなかなか無いんじゃないか。このヴィジュアルや「London Calling」のコード進行 “Em/C“の繰り返しに影響を受けた日本のバンドも多かったのでは。

アルバムとしてもアナログ盤では2枚組(日本盤は3,500円、初回プレスのみポスター付だった)で、ボリュームがあるけど全曲が捨て曲なしで魅力ある曲が並んでいる。タイトル・トラックに続くヴィンス・テイラーのロカビリー・カヴァー「Brand New Cadillac」、 ゆったりジャズ・テイストの「Jimmy Jazz」、変わってビシッとタイトな「Hateful」、映画『ルード・ボーイ』に使用されていた「Rudie Can't Fail」、ドラムから入るアコースティック・タッチの「Spanish Bombs」はミックの高音とジョーの低音ヴォーカルの掛け合い/コーラスの対比が素晴らしい曲。歌詞も“DC10で爆撃”やスペイン語のコーラスなど耳に残るフレーズが多い。ノリの良い曲で思わず体を動かしてしまう。アイリッシュ・ホーンズが活躍する「The Right Profile」、「Lost In The Supermarket」は今でも大型スーパーに行くと頭に浮かんでくる曲。ミックが歌ってるけど、歌詞はミックの事をジョーが書いたという。続く「Clampdown」も緊張感のあるイントロから引き込まれる曲。歌詞は“労働”の秘密だ。ポール作の「The Guns of Brixtion」はタイトなドラム、 ベース・ラインの繰り返しが印象的で独創的。ぶっきらぼうにポールが歌うレゲエ・ナンバー。

アナログ盤ではここから2枚目。“Stagger Lee”の一節をイントロに持ってきた「Wrong 'Em Boyo」はルーラーズのスカ・カヴァー。ここでもアイリッシュ・ホーンズが活躍。「Death Or Glory」はこれから(1980年以降)世界的なバンドに発展してゆくクラッシュを暗示するような曲。「Koka Kola」はスウィートなミックのコーラスが清涼感抜群の2分足らずのショート・チューン。クラッシュ版ウォール・オブ・サウンドを作り上げたという「The Card Cheat」。イントロがブルーハーツの「チェイン・ギャング」に通じているか。粘りのあるギターの「Lovers Rock」はミドル・テンポのロック・チューン。「Four Horsemen」は前作のアルバム『Give 'Em Enough Rope』に通じるようなハードなナンバー。センチメンタルでロマンティックなバック・ストリートのヒロイズムをミックが歌う「I'm Not Down」。ダニー・レイのカヴァー「Revolution Rock」。アナログ盤発売時はノークレジットだった「Train In Vain」はレコード制作の最後の最後になって収録が決まったナンバーで、それ故曲名が印刷されなかった。もともとはNMEのおまけフレキシに収録する予定だったようだ。ミックの歌う“Stand by me”というリフレインが耳に残るポップなナンバー。ええ、作りましたよミック・ジョーンズが歌うクラッシュ・ナンバーを集めたカセット・テープを。

ポール・シムノンはプロデューサーのガイ・スティーヴンスを “ガイは少しミスしても気にするなと言ってくれた。 レコーディングはリラックスして出来た” と語り、その成長と成果はこのアルバムのポールのプレイのいたるところで聴ける。

イギリスでは最高位9位、アメリカでは翌1980年2月にリリースされ最高位27位のヒットとなった。

このブログの人気の投稿

TH eROCKERS「可愛いあの娘」

NICO『LIVE IN DENMARK』

ザ・ルースターズ「PLAYLIST from ARTISTS」