My Wandering MUSIC History Vol.21 子供ばんど『We Love 子供ばんど』

1980年5月5日キャニオン・レコードよりリリースのアルバム。

少し前にも書いたが1979年~1980年あたりは新しく興味を持ったパンク/ニュー・ウェイヴを聴き始めていたが、それまで聴いていたハード/ヘヴィ/プログレも引き続きレコードの購入、貸し借りも続いていた。日本のバンドでは、アイドル・バンドを捨て本来の自分達の表現を出し切ったレイジーのスタジオ最終作『宇宙船地球号』、謎の覆面バンド・シルバースターズ『銀星団』、野獣(と書いて“のけもの”と読む)『From The Black World(地獄の叫び)』等のハード・ロックや、プログレではスペース・サーカス『ファンタスティック・アライヴァル』、ノヴェラ『魅惑劇』、アインソフ『妖精の森』、ムーンダンサーや新月のファーストなんかを聴いたが、当時はやはりパンク/ニュー・ウェイヴ勢の魅力に急速に惹かれていて熱心に聴くという感じではなくなっていた。しかしこの時期に繰り返し聴いていたのが子供ばんどのファースト・アルバム『We Love 子供ばんど』だった。

当時和製AC/DCとも言われたが、アンガス・ヤングのギブソンSGに対して国産ヤマハSGを自在に掻き鳴らすうじきつよしのギタリストとしてのテクニックは確かなものだったし、頭にミニアンプをつけたヘルメットを被ったパフォーマンスなど見た目のおもしろさもあった。
このファースト・アルバムはジャケットがコミカル。楽曲も堅苦しいことは言わず、ガキの言い分も聞け!といった内容で、「のら猫」、「ロックンロール・トゥナイト」、「踊ろじゃないか」など、どうなるか分からない明日への不安やいらいらした気分を吐き出し、ロックンロールで吹き飛ばす、といった歌詞をハードなロックンロール/ブギーなサウンドでコンパクトに仕上げていて聴き易い。アカペラの「赤いBODY(鬼のハイウェイ・パトローラー)」も楽しい小品。

なかでも我々の間ではエディ・コクラン(というかTHE WHOのヴァージョンを下敷きにしたと思われる)「サマータイム・ブルース」の日本語カヴァーが大人気で、 “アンタはまだまだ子供だよ”の部分が皆気に入って歌っていた。1982年には「Summertime Blues あんたはまだまだ子供だよ(子供ばんどのサマータイム・ブルース)c/w Walkin' Away」として再録音・シングルリリースしているが、個人的にはこのファースト・アルバムのヴァージョンが断然好み。やっぱりイントロの気怠いベースと蝉の声に“暑いなぁ…”のセリフが無いとね。

子供ばんどは精力的にライヴをこなし、レコード会社の移籍、自主レーベル設立や海外への活動など大きなブレイクを目指したが叶わず、1988年に2000本ライブ達成を機に活動を停止、その後うじきは俳優として活躍、テレビ番組の司会者などでも出演するようになった。一時期テレビ朝日の討論番組『サンデープロジェクト』の司会をしているうじきを見るたび “確かにバンドを続けるのは大変だろうが、ギター弾いてくれ”と思っていた。が、2011年にデビュー当時のメンバーで突如活動再開のうれしいニュース。変わらぬスピリットとロックンロールを聴かせてくれた。明日はこどもの日、デビュー34周年か…。Rock'n' Roll Will Never Die! 

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