My Wandering MUSIC History Vol.27 THE CLASH『BLACK MARKET CLASH』

1980年10月Nu Disk/Epicよりリリースのコンピレーション・アルバム。

当時アメリカのみでリリースされた編集盤。内容はイギリスのみで発売されていたシングルB面曲、アメリカでのアルバム未収録曲、未発表曲、フリー・シングル収録曲を集めている。前回紹介したYMOの『増殖』も10インチだったが、このクラッシュのコンピも10インチ・アナログ盤だった。ずらっと並んだ警官隊を前にしたドン・レッツの後ろ姿(1976年ノッテングヒル・カーニヴァル暴動のときに撮影されたもの)、マカロニ・ウエスタン・ライクな書体のバンド名、ブラウンの画面とブルーの文字のジャケットは緊張感がある優れたデザイン。このレコードを手に入れた時には10インチ盤は私の中で特別なものになった。ちょっとインテリア・サイズな感じがいい。

イギリスの音楽紙ニュー・ミュージック・エクスプレス(NME)に付けられたクーポンとクラッシュのファースト・アルバムに付けられたステッカー(初回プレスの10,000枚に付属といわれている)を送るともらえたEPに収録されていた最初期のパンク・ロック「Capital Radio One」、 シングルB面曲でミックが歌う「The Prisoner」、トゥーツ&ザ・メイタルズのレゲエ・ソングをスピード・アップしたカヴァー「Pressure Drop」、アメリカ・リリースのファースト・アルバム(日本でいう『パール・ハーバー'79』) には未収録だった荒々しいパンク・ロック「Cheat」、シングルB面曲でサックスが印象的に使われている「City of The Dead」、リハーサルやウォームアップ等で演奏していたというブッカー・T&MG'sのカヴァー「Time Is Tight」。ここまでがアナログA面。

B面はレゲエ/ダブで、1980年8月にイギリスでシングル・リリースされた「Bankrobber」と、その12インチに収録予定だった(結局はリリースはされず) 「Bankrobber」のダブ・ヴァージョン「Robber Dub」をつなげた「Bankrobber/Robber Dub」、シングルB面曲でウイリー・ウイリアムズのレゲエ・ソングをアクセントを強調しソリッドにカヴァーした「Armagideon Time」、 そのダブ・ヴァージョン「Justice Tonight/Kick It Over」がアナログ盤B面。このB面の流れは最高。1977年~1980年の間の寄せ集め的な印象を受けるかもしれないが、これほど簡潔かつ見事にクラッシュ前半の音楽的な発展/変遷をパッキングした盤は他には無いと思う。

1993年に10インチ3枚組で25曲、CDは21曲を収録した『スーパー・ブラック・マーケット・クラッシュ』として拡大版がリリースされた。こちらはむしろレアトラック集という感じを受けるが、もとの『ブラック・マーケット・クラッシュ』からは「Capital Radio One」が再録ヴァージョンの「Capital Radio Two」に差し替えられ、「Armagideon Time」と「Bankrobber」が(CD版では「Cheat」も)外されている。

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