MODERN DOLLZ「チェリーに夢中」

2016年1月20日、YOUTHからリリースのアルバム『THE UNRELEASED TRACKS vol.1』より。

モダンドールズの未発表トラック集がリリースされた。モダンドールズの音源といえば2002年にUKプロジェクトからリリースされたCD『Complete Best』があったが、今回リリースCDのブックレットに記載されたクレジットによれば、収録された音源で『Complete Best』とのダブリはなく同タイトルが数曲あるが録音時期の異なるトラックだ。『THE UNRELEASED TRACKS vol.1』に収録された音源の録音時期は1981年11月~1983年10月、Vo佐谷、G松川、G平山、B田中、D倉井というメンバーで録音されている。

『THE UNRELEASED TRACKS vol.1』のCD収録全22曲のうち、ラスト2曲「ソーダポップ」と「チェリーに夢中」が最も古い1981年11月の録音。1981年はベースの田中、ドラムの倉井が正式加入しバンド名の表記をMODERN DOLLSからMODERN DOLLZに変更した時期だ。今回選んだ「チェリーに夢中」はのちの「チェリーに首ったけ」の初期ヴァージョンなのだろう、スピーディなアレンジは同じだが、中盤部分に一旦スピードダウンしてレゲエアレンジが組み込まれているところが面白い。歌詞はほとんど同じで後半の“チェリーに首ったけ”が“チェリーに夢中さ”と歌われている。なのでタイトルも「チェリーに夢中」。粗削りな魅力あるトラックだ。まぁ若干ブロンディの「I'm On E」(アルバム『プラスティック・レターズ』収録)なメロディではある。

その他少しだけ紹介すると、「ソーダポップ」は、いまやマッサンとして有名な玉山鉄二が陣内孝則監督の映画『ROCKERS』(2003年) のなかで歌っていてサントラにも入ってるモダンドールズの代表曲といっていいグラマラスなナンバー。「素敵なハニーキャット」は後の「ストレイキャット・ブルース」でアレンジはほぼ同じだ(しかしストレイキャッツの影響は大きかったな…)。バディ・ホリー的なリズムが軽快な「夜のシーサイドラヴ」、スリリングなビートチューン「Monkey Drive」などなど。

少々キザな歌詞が似合うポップなメロディとビートの効いたナンバー、洋楽からの影響が垣間見えるアレンジもあるが、メジャーになってもおかしくないクオリティの演奏と楽曲達、福岡在住の活動等様々な要因があったのだろうが、設備のあるスタジオで時間をかけて録音したものを聴いてみたかった曲が多々ある。

今回の『THE UNRELEASED TRACKS vol.1』はCD+DVDの2枚組仕様で、DVDにはMVを含むTVオンエアが9曲、1983年12月17日大牟田市民会館のライヴが10曲、1983年10月30日多夢のライヴが3曲の全22曲を収録。

“vol.1”とあるんだから1984年以降の“vol.2”がリリースされるのを楽しみにしたい。それともMODERN DOLLS期(G苣木、D梶浦在籍)の1978~1979年の発掘音源なんてのは出てこないのかな。

ジャケットのメンバー写真はクラッシュの『The Story of THE CLASH Volume 1』を彷彿とさせるね。

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