ARB「空を突き破れ!」


1990年、石橋凌が役者に専念するためARB解散。まぁその時は驚いたね。
田中一郎が抜け、サンジが抜け(というか解雇)、斉藤光浩が加入して抜け、白浜久が加入してサウンド面で大きく変化したけどアルバムは聴いていたし、その時々の世界を見据えるARBの歌は気になっていたもんだ。松田優作に心頭し役者へ転身した石橋凌に対して “なんでだよ、一生歌っていくんじゃなかったんかよ” という気持ちを抱いていた。ARB在籍中の映画『ア・ホーマンス』や『ボクの女に手を出すな』なんかは観たけどね。 でもARBやめてから出演したドンパチ映画の多いタイトルを見て、これが松田優作の遺志を継ぐってことなのかって個人的には思っていた。ARB解散に至る、スピリチュアルというかオカルトめいた石橋凌の心境も常人の理解超えるものではあったのだが。

その後、ARB復活~再び解散もありつつソロ歌手業も続け、役者業はずーっと続いている訳だが、まぁあんまりテレビドラマも映画もビデオも観ないんで石橋凌の役者代表作は何かというのも分からないんだけど、先日NHKを見ていてびっくり。NHKスペシャル『未解決事件File05・ロッキード事件』で石橋凌が田中角栄役。今の恰幅のよい石橋凌にはピッタリのはまり役だと思ったもんだ。

ARB初期、最初の事務所から飛び出し、“痩せて飢えた狼みたいな顔”をしていた頃にリリースしたアルバム『BAD NEWS』に中に「空を突き破れ!」という曲がある。
  “政治家は飛行機ながめ
 落花生の皮を剥く”

石橋凌が作詞したこの曲、もともとARBが1979年6月にリリースしたファースト・アルバムの為に書かれたものだという。当時話題になっていたロッキード事件に材をとった歌詞だが、所属事務所がこの内容にクレームをつけバンド側に撤回命令を出した。この1件でポップなラヴ・ソングを要求する事務所側とバンドとの溝は深まり、結局ARBは事務所を飛び出すことになる。

いってみれば“ロッキード事件”は石橋凌にとっても因縁のある出来事だ。37年もたってその事件で受託収賄罪で逮捕された田中角栄役を演じるなんて最高、役者やっててよかったなぁ、こりゃ石橋凌の代表作になるぞ、なんて個人的にはうれしくなった、のだが放送を見てあまりにも出演シーンが少ないんでちょっとがっかりだったなぁ。台詞も少なかったし…。でも見た目はバッチリ、存在感あった。追求する検察が主軸のドラマ自体は面白かったけど…。

放送は終わっているが、NHKの番組宣伝HP。
NHKスペシャル『未解決事件File05・ロッキード事件』
もう一度田中を主軸にドラマ作ってもらえないでしょうかねぇ。

参考文献:生江有二著『渾身・石橋凌』

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