ウィルコ・ジョンソン著・石川千晶訳『ウィルコ・ジョンソン自伝 不滅療法』
ウィルコ・ジョンソンの自伝が刊行された。原題は“Don't You Leave Me Here”で、邦題にはドクター・フィールグッドのセカンド・アルバムの邦題をもじって“不滅療法”とタイトルがつけられている。邦訳は石川千晶。
生まれ故郷のイギリス・キャンヴェイ島のエピソードから始まり、ウィンドウ越しのテレキャスターや愛妻アイリーンやリー・“コリンソン”ブリローとの出会い、インド放浪の旅、ドクター・フィールグッドの結成、教職、バンドの人気上昇、アルバム制作のエピソード、フィールグッドとの別れ、ソロ活動、愛妻との死別、自らの癌告知、フェアウェル・ツアー、手術の決意~闘病生活、そしてステージ復活まで。ウィルコ・ジョンソンが自らの人生を振り返った読み応え十分な自伝だ。
全体を通して読みやすく、興味深い内容ばかりだが。特に楽しいのは、やはりフィールグッド結成~人気を獲得していくところや、イアン・デューリーのブロックヘッズに合流したあたりかな。それに何度も来日しているウィルコなだけに日本に関するエピソードも頻繁に登場し、日本に対する思いも温かい。しかし終盤の術後の格闘描写は壮絶というほかない。
写真も豊富に掲載されているが、ステージ写真の他にオフ・ステージ、ウィルコの家族写真も。だけどウィルコの体に刻まれた“メルセデス・マーク”を見るのは痛々しい。天文学好きやサイクリング好きなど趣味のエピソードもあり。
ディスコグラフィやギゴグラフィはないが、ドクター・フィールグッドの1~3枚目まではジャケ写真付きで1ページを使って曲名とパーソネルが紹介されている。
私が生ウィルコを観たのは1991年3月2日のインクスティック鈴江ファクトリー。Ki君のマルニBMWに乗って行ったなぁ。開演前に子供連れの鮎川夫妻が「ハウンドドッグの鮫島はおらんか」みたいな会話をスタッフとしながらこちらに向かってきたときは、鮎川夫妻の迫力にびっくり。ライヴはすげー盛り上がって、ウィルコのギターの弦が切れて張りかえるときのパフォーマンスも可笑しかった。
自伝の中でレコーディング風景が記されているロジャー・ダルトリーとのアルバムは未聴なんで入手するかな。