THE ROLLING STONES「COME ON」
ザ・ローリング・ストーンズがBBC(British Broadcasting Corporation:英国放送協会)に残した音源が初めて公式リリースされた。
ストーンズ最初のBBC音源は1963年だから、なんと54年前だ。ビートルズ(1994年)、ゼップ(1997年)、スモール・フェイセス(1999年)、フー(2000年)、ボウイ(2000年)等々のBBC音源がリリースされていたこと思えば随分と待たされたな、という感じ。
とはいっても、これまでストーンズのBBC音源はブートで接していたファンも多いと思うが、 私が愛聴していたのは『GET SATISFACTION…IF YOU WANT!(The Best of BBC Radio Recordings 1963-65)』と題された、Swingin' Pigから出てたブートだった。確かアナログ盤を友人のKBちゃんに借りたと記憶しているが、Discogsで調べてみるとリリースは1988年、2枚組のLPだったんだな。ブートとは言え放送音源だからクリアな音質で聴ける初期ストーンズのソリッドなライヴは新鮮でかっこよかった。それをカセットに録音して随分愛聴したなぁ。パソコンを買ってからはカセットからCD-Rに録音して部屋で聴いたり、iPodに入れて車で聴いたり、数年前にこのブートのCD盤を見つけて購入(やれやれこれでカセットとCD-Rは不要になるな)と、お気に入りのブート盤だった。ジャケットもいいしね。今回の公式盤のジャケよりもよっぽど良いと思うんだけど。ブート盤『GET SATISFACTION…』はインタビューを除くと18曲入りで8曲はBBCのテレビ番組からの音源だったけど、今回の公式盤は全てBBCラジオで放送された音源からで、デラックス盤はCD2枚全32曲が収録されている。もっともCDの収録時間を考えるともうちょっと曲数増やしてもよかったんじゃないかっていう気はする。
収録曲は初期のストーンズらしい、チャック・ベリーやボ・ディドリー、マディ・ウォーターズ等のカヴァー曲がずらりと並ぶが、今回紹介するのはストーンズのデビュー・シングル曲でもある「Come On」。
チャック・ベリーの「Come On」をデビュー・シングルに選曲したのはストーンズの当時のマネージャー、アンドリュー・ルーグ・オールダムで、ミック・ジャガーを始めストーンズのメンバーはこのデビュー・シングルを気に入らず、ライヴでもほとんど演奏しなかったそうだ。 1963年6月にデビュー・シングルがリリース、9月23日にBBCラジオ番組"サタデイ・クラブ”のための収録がおこなわれ、10月23日に放送された「Come On」が今回のCDに収録されている。
シングルで聴けた後半キーが半音上がる展開はなく、キーはそのままで曲の途中にギターソロとハーモニカの絡みが聴けるしびれる演奏だ。シングルと同じくハーモニカはブライアン・ジョーンズで、ギターはキース・リチャーズのみと思われる。 “phone sounds like thunder”っていう言葉の響きが印象的。
安っぽいジャケットや曲の並び(「Come On」のあとに「Satisfaction」は違和感あり)、収録時間、「Last Time」のエンディングで不自然に聴こえる箇所、CD2の「Beautiful Delilah」の冒頭ノイズ、いろいろ不満あるけどね…満を持してな割に。