Shiggy Jr.「お手上げサイキクス」

2018年5月23日、ビクターエンタテインメントからリリースのミニ・アルバム『KICK UP!!E.P.』より。

5月のある晴れた日、車のラジオをチューニングしていると耳馴染みのある声が。これはShiggy Jr. 池田の声か...ライヴだな…。
江口ジャケのミニ・アルバム『Listen To The Music』で興味を持って、メジャーのユニバーサルへ移籍後リリースしたシングル「サマータイムラブ」までは購入していたが、続くシングル「GHOST PARTY」を聴いて、曲もだけどジャケットやPVのイメージも含めて個人的にはちょっと違うかな…思って離れてたんだけど、このFMで放送されたライヴ(TOKYO FMのKIRIN BEER "Good Luck" LIVE)はポップな中にもなかなかパワフルなバンド・サウンドもあって、くるりのカヴァー「ばらの花」の演奏あり、新曲あり、このFMライヴ途中から聴いたので帰ってからラジコで最初から聴いたけど(8曲がライヴ演奏された)通してよかった。

で、新しくリリースされるというCDをチェックするとどうやらタワレコだけ、くるりのカヴァー「ばらの花」のCDが特典になってる (さきのFMライヴのなかでも特典の事を言ってた)。
まぁこの齢でおまけ目当てに買うのもどうかと思ったが買いましたよ。タワレコで。Shiggy Jr.のディスクとしては3年振りだ。
このカヴァーは原曲にほぼ忠実なアレンジで、良い出来なのでこの曲を紹介しようと思ったが、やっぱりオリジナル曲をね。

アニメのオープニング曲で“アニメのキャラクターたちを踊らせたい”というスタッフからの要望で出来上がった「お手上げサイキクス」。
メタルコアやプログレバンドをかけ持ちしていたという諸石和馬が叩きまくるドラムが何より爽快でスピード感抜群。絡むベースのフレーズもダイナミックに動き回り、エナジーみなぎるギター炸裂。ヴォーカルの池田はアニメに沿ったフレーズ(全てを操るとか君を支配するとか)をおり込みながらスラップスティックな歌詞を歌う。一度聴いたら“Put your hands up”の部分は覚えてしまうカッ飛びチューン。 “たとえばもし明日が来ないとしたらどうするんだろうって最近ふと思ったんですけど…”で始まるセリフ・パートも意表をついてる。

漫画原作のアニメ『斉木楠雄のΨ難』は見たことも読んだこともないが今回調べてみて爆笑超能力コメディらしいことと、タイトルの読み方は“さいきくすおのサイなん”ということは分かった。PVも今までになく振り切ったイメージでグッド。

他、実はこのミニ・アルバムの中で一番好きかもしれない「Sun is coming up」。人間の日常と関係なく夜が明け陽は昇る。
朝が来れば彼は離れていく。彼女はこのまま夜が続けばいいと思っている情景を描いているのに、
“心配しなくても明日はやってくる”と歌われているのがユニークだ。
都会的な洗練されたトラック。途中には原田のラップ調のパートが挿入されている。そこでは“listen to the musicあの頃はstupid”という意味深なところもあり。
こういう声を張って歌い上げ過ぎず低音~中音域を活かした楽曲も魅力的だ。

ナチュラルな「ずっと君のもの」。メロディに沿ったギターソロもいい。個人的にはもうちょっとアコースティックな聴感が欲しかったかな。
ファンキーなディスコ・チューン「Do you remember」。ここでは原田のヴォーカル・パートもあり。
オーケストラ・ヒットが個人的には80'sなバンド・サウンドを連想させる「Beat goes on」。
昔からあった曲だというが、新しいShiggy Jr.のテーマソングとなりそうな曲だ。

遡ってアルバム『ALL ABOUT POP』リリース時(2016年10月)のインタビューも読んだけど、 メジャーに移ってからかなりバンドに対する押し付けというかバンド側のスタイルを逸脱した要求が多かったようだ。「サビ頭問題」というのが何度もあったと書かれているが、やはりねぇヒット至上主義でアーティストを疲弊させるありがちなビジネススタイル。これが初フルアルバムのリリース時に語られているというのもかなりヤバかったという気がする。実際この後バンドは所属事務所とレコード会社を移籍することになる。
CINRA.NETの『ALL ABOUT POP』リリース時のインタビュー。
Shiggy Jr.が語る、メジャーならではの悩みを経て覚悟を決めた今

前のEPも買ってみるかな。

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