シーナ&ロケット「ユー・メイ・ドリーム」

1979年12月5日、アルファ・レコードよりリリースのシングル。

シーナ&ロケッツを題材としたNHK福岡発のドラマ『You May Dream』が遂に全国地上波放送される。2018年3月2日に九州沖縄地方で先行放送され、5月6日にはBSプレミアムで全国放送、ようやく全国地上波放送が決定した。放送はNHK総合で9月24日に予定されている。出演はシーナ役には石橋静河、鮎川誠役に福山翔大、NHKの公式サイトの写真を見ると二人とも雰囲気あってどんなドラマになってるのか楽しみだ。

1979年10月にリリースされたシーナ&ザ・ロケッツ(このシングルの日本語表記はシーナ&ロケット)の2枚目のアルバムで、アルファ・レコード移籍後、最初のアルバム『真空パック』に収録されている「ユー・メイ・ドリーム」は、同年12月に「ユー・メイ・ドリーム c/w レイジー・クレイジー・ブルース」のカップリングでシングルカットされた。初回リリース時はアルバムの初回ジャケと同じ鋤田正義フォト、WXY(羽良多平吉+大類信)デザインの“ラップ・ジャケ”だった (メンバーをラップしたのはカメラマン鋤田正義のアイデア)。

1980年になって「ユー・メイ・ドリーム」が日本航空のテレビCMに使われたこともあり注目され、再度バンドとレコードをプッシュする事となり、アルファ・レコードの村井社長から“鮎川君とシーナの顔は見えた方がいいよ”と言われたことから、操上和美によるフォトセッションが行われ、レコードが再プレスされた際に、アルバム『真空パック』、シングル「ユー・メイ・ドリーム」ともにジャケットがモノクロのメンバー写真に差し替えられた。

アルバム『真空パック』は細野晴臣プロデュース、“ロック・バンドというよりは新しいニュー・ウェイヴ・バンド”というコンセプトで、ロックンロ―ル・バンドをテクノに加工したサウンドは当時かなり批判的な意見があったが、ニュー・ウェイヴ、テクノ・ポップの浸透もあり広く注目を集めるレコードとなった。私も当時は加工し過ぎと思ったが、今となっては名盤に挙げる…。鮎川自身もレコーディング中、若干の迷いがあったようだが “スタジオでやれることは思いっきりやってみようよ” という細野の言葉に励まされたという。

「ユー・メイ・ドリーム」の作詞は柴山俊之とクリス・モスデルで、シーナによれば柴山から貰った当初のタイトルは「ユメ・ユメ・ユメ」というようなものだったらしい。鮎川が曲を付けた当初は英語の語りのブリッジ部分がなく“口づけをかわす”のあとすぐにサビの“それが私のすてきなゆめ”になる構成だったという(その構成の方がストレートでロッケンロールな感じだが)。ブリッジ部分を入れるというアイデアは細野晴臣によるもので(作曲者のクレジットに細野の名前がある)、この英語語りのブリッジ部分をクリス・モスデルが作詞したと思われる。

この曲は細野晴臣が自分たち(つまりイエロー・マジック・オーケストラ)のシーケンサーで作る音でアレンジを組み立て直したい、と言って作られた曲のひとつ(もう一曲は「レイジー・クレイジー・ブルース」)。高橋幸宏のドラムと細野+松武秀樹によるMC-8(ローランド製8チャンネル・デジタルシーケンサー)によるトラック。ロネッツ「Be My Baby」のエッセンスをテクノ化し、鮎川のロックンロール・ギターと、キュートなシーナのヴォーカルが魅力の永遠のポップ・チューン。

もうすぐ終了となるNHK朝ドラ『半分青い』では、6月頃の放送で主人公・楡野鈴愛の友人・小宮裕子が「ユー・メイ・ドリーム」を口ずさみ、ツイッターなどで話題となった。

参考文献:シーナ&ロケッツ・アルファ時代音源6タイトル・2006年紙ジャケットリイシュー時ライナーノーツ、「ミュージック・マガジン」2015年5月号

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