追悼・BERNIE TORMÉ BERNIE TORMÉ BAND「I'M NOT READY」

なんてこった。バーニー・トーメの訃報が。
バーニー・トーメはウイルス性疾患の合併症のため治療を受けていたが、67歳の誕生日を翌日に控えた2019年3月17日に息を引き取った。享年66歳。

私がハード・ロック/ヘヴィメタルを聴いていた中学生の頃、GILLANのギタリストだった事から聴き始めたバーニー・トーメ。彼自身の音源や参加音源は見つければ買っていた。バーニー自身のレーベルRetrowrek ‎Recordsがバーニーの音源のリイシューや新譜や発掘音源をリリースし始めた1990年代後半からは熱心に追いかけて聴いていたが、フィリップ・ルイスらと組んでいたバンド、トーメのアルバム『ダイ・プリティ・ダイ・ヤング』の再発、Angel Air Recordsからの発掘ライヴ盤『Live Sheffield 1983』がリリースされた2002年までか、買ってたのは。
その後もG.M.T.のアルバムやソロ・アルバムが出てるのは知ってはいたんだが入手せず…。それでも、もしバーニー・トーメが来日すれば観に行きたいなぁと夢想していた時期もあったんだが…。思い起こせばアルバム『フューチャー・ショック』(1981年)リリース後にGILLANの来日公演があったが、既にバーニーはバンドを離れていたんだよね…。

時に1977年、勃興したパンク・ロックに触れたバーニーはエキサイティングでアグレッシブ、そしてボーイッシュな魅力に溢れていると感じたが、当時バーニー24歳。既に歳を取り過ぎていると思うものの自らを変革せずにはいられなかった。髪を短く切り、リック・ウエイクマン風の刺繍マントも必要なくなった。バーニーはセックス・ピストルズに影響を受けつつもギターソロを弾くことを止めることが出来ない“Punk Guitar Hero”という矛盾した存在となった。だが、それこそがバーニー・トーメだった。

オリジナル・パンクの曲調としてはテクニカルなギターソロ・パートは無用、ブルース的な要素を含むギターフレーズも不要、という面があったが、バーニーはそうじゃなかった。タイトでコンパクトでスピーディなチューン、歌の合間に鋭く差し込まれるギターフレーズやアーミング。パンキッシュな演奏にハード/ブルージー/ノイジーなギターソロ。
Punk or What?

1975年にアイルランドのダブリンからロンドンへ移り住んでスクラップヤードという名のバンドのギタリストとしてヘヴィロックを演奏していたというバーニー。1976年末にスクラップヤードを脱退し、ベースのフィル・スパルディング、ドラムのマーク・ハリソンとともに自らの名前を冠したザ・バーニー・トーメ・バンドを結成した。

右上のジャケ写は、ザ・バーニー・トーメ・バンドが1978年にJETレコードからリリースした7インチ・シングル「I'm Not Ready c/w (She's So) Free」。公式音源としてはオムニバス・アルバムのライヴ盤『LIVE AT VORTEX』(1977年)に続くリリースになる。

「I'm Not Ready」はハード&タイトな演奏でコーラスにポップな味付けもあり、後半にはストーンズの「(I Can't Get No) Satisfaction」のワンフレーズもチラリ。まさに“Punk Guitar Hero”な1曲。B面の「(She's So) Free」はギターリフが耳に残るスピーディなショート・チューン。
実はこのシングル「I'm Not Ready」の前に、マネジメントをしていたピーター・コリンズのレーベルから「The Hunter c/w Soul Woman」というプロモ・シングルを1977年にリリースしているが、オフィシャルには「I'm Not Ready」が初シングル・リリースという事になるのかな。

GILLANでその名を知られ、オジー・オズボーンのバンドにランディ・ローズの代役として一時的に参加していたことからハード・ロック・ギタリストとして知られ、もちろん奏でる音色がハード/ヘヴィなことは間違いないのだが、バーニーがレコードやCDに残したカヴァー曲にはハード/ヘヴィだけではない彼の嗜好が表れていると思う。
例を挙げると、
フランキー・ミラー(アラン・トゥーサン作)「Shoorah Shoorah」
イギー・ポップ&ストゥージズ「Search & Destroy」
キンクス「All Day And All of The Night」
ザ・フー「Anyway Anyhow Anywhere」
クリエイション「Painter Man」
ニコ「Chelsea Girl」
アンダートーンズ「Teenage Kicks」
トロッグス「I Can't Control Myself」
ラリー・ウィリアムス「Boney Maronie」
ジミ・ヘンドリックス「Purple Haze」
セックス・ピストルズ「Pretty Vacant」
それにこんなところからも彼にルーツが窺い知れる。
Goldmine Magazineサイトが「俺の人生を変えた10枚のアルバム」を追悼アーカイブ公開。
10 Albums That Changed My Life: Bernie Tormé

知らなかったんだけど2018年11月には新しいアルバム『Shadowland』をリリースしていたんだな。それにクラウドファンディング・サイトのPledge Musicから『Shadowland』を購入するとプロモ・シングル収録曲「The Hunter」を含む『 A's and B's 1977 - 81』と題されたボーナスCDが付属していたようだ。

RIP…。

参考文献:Bernie Tormé 『punk or what』(RETRK104:1998年)ブックレット


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