RC SUCCESSION『COMPLETE EPLP -ALL TIME SINGLE COLLECTION-』
RCサクセションのデビュー・シングル「宝くじは買わない c/w どろだらけの海」がリリースされたのが1970年3月5日。それから20枚のアナログ7インチ・シングル、1990年9月5日にリリースしたCDシングル「I LIKE YOU c/w 忠実な犬(Doggy)」まで、RCサクセションが活動中にリリースした全21枚のシングルA面曲とカップリング曲を年代順に3枚のCDにコンパイルして 『COMPLETE EPLP -ALL TIME SINGLE COLLECTION-』としてデビュー・シングル発売から50年後の2020年3月5日にリリースされた。まぁ説明するまでもないことだが、RCがキティ時代、1976年〜1980年にリリースした5枚の7インチ・シングルのA/B面曲を集めたコンピレーション・アルバム『EPLP』の拡大・完全版である。
ベスト盤というのはどうしてこうもジャケットが手抜きなのか、よくわからん。制作費を抑えるためにデザインに金を掛けたくないという魂胆なのか、プレーンなデザイン。付属ブックレットの7インチを積み上げた写真を使ったらよかったんじゃないかとも思うが、これも今時にしては古臭く懐古的なイメージか…な。
4曲入り12インチ『ノーティーボーイ』(1986年)からは収録されていないが、ミニアルバム名義でリリースされたものだし、7インチとCDシングル曲に絞ったのは個人的にはよかったと思うが、位置的には「LONELY NIGHT(ネバネバ)」と「NAUGHTY BOY」の間に入れたらちょうどいいんだな、DISC 3は収録12曲で収録時間も42分台と3枚のうちで一番少ないし(どっちやねん)。
どれもこれも名曲揃いで、DISC 2「ステップ!」から「トランジスタ・ラジオ」のシングル4枚はもちろんサイコーだ。なかでも9枚目「雨上がりの夜空に」のカップリング「君が僕を知ってる」は究極のラヴ・ソング。歌詞が大好きだしチャボのギターソロが超名演。
DISC 1に収録されているアコースティック期の4枚目「キミかわいいね」は激しいビートにのせて、5枚目「三番目に大事なもの」ではストリングス・アレンジのせて、やってられねー男女関係を歌う曲をシングルとしてリリースしているのも素晴らしい、快挙だ。名曲「スローバラード」のカップリング「やさしさ」はポップな出だしに中間部の前衛的な展開とプログレッシヴなアレンジでハイ・テンションな曲。このCDで聴くと続く7枚目の曲「わかってもらえるさ」との繋ぎがいい。
個人的に好きな曲はDISC 3に収録されている16枚目のシングル「不思議」。東芝EMIへの移籍後の初リリースで1984年7月21日にリリースされた。ラテンなリズム、印象的なスライドするベースラインが心地よい。青い星とUFO、俺は資本主義の豚で無い物を売り歩く、LとSはDまで行ってた、等々の言葉遊び的で意味深な歌詞が耳に残る。
川崎徹が演出をしたという不可思議なミュージック・ヴィデオあり。清志郎の提案でラクダを連れてきたらしい。シングルの4ヶ月後にリリースされたアルバム『FEEL SO BAD』にも「不思議」は収録されているが、パーカッションを強調したダブ・ヴァージョンで、なぜかベースは引っ込み気味に。
アルバムと別バージョンやオリジナル・アルバム未収録が少なくないRCサクセションのシングル曲が、やっと、ようやく、まとまって聴けるようになったのはうれしい限りだ。