AC/DC『POWER AGE』

1978年5月25日リリース(US)のアルバム。

AC/DCが今年の2月に来日する。前回の来日は1982年6月だから、18年と8ヶ月ぶりだ。82年の来日を私は見ていないのだが、81年2月の初来日公演は見に行っている。当時チケットは電話予約などなく、プレイガイドまで買いに行かなくてはならかった。
友人の家に泊まり込み、友人数人と始発の電車で東京まで出かけて行き、デパートの中に入っていたプレイガイドが開くまで外で待っていた。その甲斐あってか、日本青年館の1階F列という、好ポジションを確保できたのだった。

この頃のバンドは前年にVo.のボン・スコットを亡くし、新Vo.のブライアン・ジョンソンを迎え
録音し、全米No.1にもなった「Back In Black」を引っさげてワールドツアーの最中だった。何しろ20年前のことなので記憶が薄れているのだが、アンガスが、とにかく動きっぱなしでギターを弾き、お尻を出したり、ブライアンに肩車をしてもらって弾きながら客席に飛び込んできたり、バグパイプ風のフレーズを弾いたり、といった断片が思い出される。

コンサートの当日、私は少し風邪気味で体調が悪かったのだが、開演後のアンガス・ヤングの
ヘッド・バンキングにあわせているうち、風邪など吹っ飛んでしまった。
御存じの方も多いと思うが、アンガス・ヤングは白シャツ、ネクタイ、ブレザー&半ズボン
という小学生の格好で走り回り、汗まみれになりながら(酸素ボンベも用意されている)ギブソンSGを弾きまくる。そのルックスとパフォーマンスは、とにかくステージと客席の一体感を増すものだ。そんな彼(彼等)のライブ感はスタジオ・レコーディングにも刻み付けられている。

ここで紹介するのは1978年にリリースされた、AC/DCの5作目『POWERAGE』。
彼等の代表作はボン時代でも他の『Let There Be Rock』や『Highway To Hell』等とされているが、もうひとりのギタリスト、マルコムが言っているようにこのアルバムは過小評価されていると思う。というよりは、私はこのアルバムの4曲め"Riff Raff"ただ1曲のために紹介していると言って良いのだが...。
イントロの掻きむしりギターから、リフが始まり絶妙なタイミングでドラムが入ってくる。そのあとはとにかくハード&ドライビングな演奏。ギターソロではさらに強力に、圧倒的にドライブする。とにかくカッコイイ。
この曲はこのアルバムに続いてリリースされたライブアルバム『If You Want Blood...You've Got It』(日本盤では”ギター殺人事件”という迷題がつけらている)のオープニング・ナンバーにもなっている。

アルバムには他に享楽的な都市を描いたミディアム・ナンバーの「Sin City」(これまたギターソロがカッコイイ)、おなじみのR&Rナンバーの「Rock'n' Roll Damnation」、「Kicked In The Teeth」など楽しめる内容だ。
アルバム・トータルの完成度なら先の2枚やライブ盤になるだろうが、このアルバムもなかなかに捨てがたい魅力ある曲が詰まっている。18年ぶりに実現する来日公演。ここまで日本にこなかった理由はいろいろあるだろうけど、AC/DCが単純にHeavy Metalにカテゴライズされてしまった事もあると思う。確かにそういう(音楽的)面が大きいが、ロックンロール・バンド、理屈抜きのグッド・ミュージックをプレイするバンドとしての評価がもっとあったらよかったのにと思う。
それに、リッチー・ブラックモアがAC/DCを酷評しているコメントを書いた本が以前にあったというのも、影響していたように思えるのだが...(考え過ぎか)。

横浜アリーナのチケットはソールドアウトだそうだ。追加公演も決まって、日本でもメジャーな存在になっているようだ。1959年生まれのアンガスは42歳だけれども、あのルックスのまま熱の入ったプレイを見せてくれるのだろう(私は行かないけど....横浜は遠い)。

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