THE SMITHS『RANK』

1988年8月31日、Rough Trade/ビクター(JPN)よりリリースのライブ・アルバム。

1987年2月7日、イタリアでの「サンレモ・フェスティバル」がスミスの最後のライブになった。わずか5曲の演奏だった。その後、スタジオ・アルバム『Strangeways, Here We Come』をレコーディング、同アルバムを9月にリリースするも、スミスは解散を発表。その一年後にリリースされた、スミスのライブ・アルバム『Rank』は、グレイグ・キャノン(Blue Bellsなど)をギターに迎えた5人組として活動していた頃のパワフルな演奏の記録だ。

このころ、スミスはアルバム『Queen Is Dead』をリリース後、英国ツアー、アメリカとカナダツアーを経て、再び英国ツアーをしていた。
「ロミオとジュリエット」からのオープニングSEが流れる中、モリッシーの“Hello!!”のかけ声と共にマイク・ジョイスのドラム・ロール、ジョニー・マーのフィード・バックで「Queen Is Dead」が始まる。スタジオ・テイクよりもさらにパワーアップした演奏、マーはワウワウを利かせて、キレの良いギターを聞かせる。バッキンガム宮殿に今にも押し入ろうかというモリッシーの迫力あるボーカルも聞き物だ。

全英11位シングルの「Panic」、マーとジョイスがスタジオでの何気ないジャムから生まれた、カントリー・サウンドの「Vicar In A Tutu」、当時の最新シングルだった「Ask」と続く。聞き物の一つは、エルビス・プレスリー1961年のNo.1ヒット「His Latest Flame」をツーコーラス演奏、「Rusholme Ruffians」へつながる絶妙なメドレー。

1985年8月リリースのシングル「The Boy With The Thorn In His Side」では、のびやかなマーのギターが印象的。ブルージーなアドリブから激しいパンキッシュな「What She Said」、続く「Is It Really Strange?」は87年になってシングルのカップリングとしてリリースされることになる。モリッシ-お気に入りのオスカー・ワイルドが登場する「Cemetry Gates」は墓場での語らい。マーのギター・カッティングが素晴しい。

ハードなナンバー「London」から一転して、美しい「I Know It's Over」へ。孤独の中で愛する人を腕の中に抱くことを夢見る者、始まってもいない愛を既に終わってしまったを嘆く者をモリッシーは表情豊かに歌う。ひかえめだが、キャノンのギター・プレイも光っている。インストルメンタル(モリッシーが歌詞を書くのを拒否したという)の「The Draize Train」、このアルバム中最も古いスミスのナンバー「Still Ill」はファーストアルバム収録曲。

そして「Bigmouth Strikes Again」のエンディング、モリッシーは“Goodbye! Thank You!!”と叫び演奏を終了。アンコールを求める声と拍手、ライブの終わりに対するブーイングが入り交じる中、「You'll Never Walk Alone」のエンディングSEが流れ、アルバムは幕をおろす。

参考までにこのライブ盤収録時のセットリストは以下の通り。
Live at The National Ballroom, Kilburn in London, 23rd. Oct. 1986

The Queen Is Dead
Panic
I Want The One I Can't Have
Vicar In A Tutu
There Is A Light That Never Goes Out
Ask
Rusholme Ruffians
Shakespeare's Sister
Frankly Mr.Shankly
The Boy With The Thorn In His Side
What She Said
Rubber Ring
Is It Really so Strange?
Never Had No One Ever
Cemetry Gates
London
Meat Is Murder
I Know It's Over
The Draize Train
How Soon Is Now?
Still Ill
Bigmouth Strikes Again

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