町田康著『私の文学史』
副題は「なぜ俺はこんな人間になったのか?」
この本はNHK文化センター青山教室にて、2021年10月から2022年1月にかけて行われた講座「作家・町田康が語る<私の文学史>」の講義をもとに加筆・修正し、編集したもの。
NHK出版新書って買ったの初めてだが、よくある新書っぽいオレンジのカヴァーに上に町田の顔写真のカヴァーが被せられているが全面帯なのかな(町田町蔵+北澤組名義で1992年にリリースしたアルバム『腹ふり』のジャケットに使われたものと同じ写真で撮影はアラーキー)。
内容は、町田の読んできた文学、町田の著作に影響を与えた文学、町田のあの特異な文体がいかに考案され作られているか、等について町田自身の言葉で語られている。表紙には “はじめての自分語り”と書かれているが、"享楽に溺れ、放埒無残な暮らしをした” という若き日々の事柄については語られていない。
古典に魅力を感じ現代の熱狂から距離を置く姿勢を語り、町田の音楽活動における詞作について語っている箇所もある。江戸時代を舞台にした小説にシャム69やフランク・ザッパやボブ・マーリーやジミー・クリフの名がセリフの中に登場するようなアナーキーな文体がどのように考案され生み出されたのか、感覚ではなく論理的に説明されており、その一端を知ることができる、とても興味深い内容だった。