追悼・BURT BACHARACH

作曲家のバート・バカラックが2023年2月8日、94歳で逝去。

バート・バカラックが作曲をした作品というのを最初に意識したのはストラングラーズの「Walk On By」だった。いつ頃だろう、1980年代にコンピレーション盤で聴いたと思うが、ギターのカッティングからドラムとバリバリのベースラインとキーボードがほぼ同時に入ってくるイントロがカッコイイ。ヒューがラフに歌うメロディアスなライン、長尺のキーボード・ソロとギター・ソロ、全編で唸る硬質な音色のジャン・ジャックのベース。6分余りの長さを感じさせない魅力あるサウンドだった。
この曲を収録していて今私の手元にあるのは、U.A.時代のスタジオ・レコーディングをコンパイルした4枚組ボックスセット『ジ・オールド・テスタメント』(1992年)。

「Walk On By」は様々なアーティストがカヴァーしているが、ザ・ペイル・ファウンテンズの編集盤CD『ロングショット・フォー・ユア・ラヴ』(1998年)のシークレット・トラックに「Walk On By」のライヴ・ヴァージョン(ベルギーでのライヴ)が収録されていた。その後2013年にクレスキュプールからリリースされた編集盤『サムシング・オン・マイ・マインド』にも収録。


エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズは、1977年におこなわれたスティッフ所属アーティストのパッケージ・ツアーを記録したライヴ・アルバム『ライヴ・スティッフス・ライヴ』(1978年)でバカラックの「I Just Do Not Know What To Do With Myself」のカヴァーを収録。エキサイティングな演奏が並ぶ中、この曲はしっとりとした雰囲気を醸し出すカヴァー・ヴァージョン。

エルヴィス・コステロ(ヴァリアス・アーティスツ名義)のコンピレーション・アルバム『アウト・オブ・アワー・イディオット』(1987年)に収録されていたバカラック作「Baby It's You」。ニック・ロウとのデュエットでアコースティックなタッチ。

エルヴィス・コステロはその後1996年に映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のサントラに「God Give Me Strength」をバカラックと共作。1998年にはバカラックとのコラボ・アルバム『ペインテッド・フロム・メモリー』をリリースしている。

ジョニー・サンダース&パティ・パラディンのアルバム『コピー・キャッツ』(1988年)でパティ・パラディンが「Baby It's You」をカヴァー.。パティのヴォーカル、パッキング・ヴォーカルはクリっシー・ハインド。


エヴリシング・バット・ザ・ガールはバカラックの「Alfie」を取り上げ、1986年リリースのシングル「Don't Leave Me Behind」のカップリングとしてリリースした。その後、海外ではV.A.『アンダー・ザ・カヴァーズ』(1988年)にも収録されたが日本盤では未収録。後にエドセルから2012年にリリースされたEBTGのサード・アルバム『ベイビー・ザ・スターズ・シャイン・ブライト』の2枚組エディションにも収録。EBTGらしいアダルト&メロウなカヴァー。


カーペンターズのカヴァー集『イフ・アイ・ワー・ア・カーペンター』(1994年)にはザ・クランベリーズがバカラック作の「(They Long To Be) Close To You」を取り上げていた。イントロなしでドロレスの“Why do birds〜”ではじまるアコースティックな清々しいカヴァー・ヴァージョン。


バカラック曲は何枚かの編集盤で聴いてるだけだが、私が一番好きな曲かも「Look of Love」。ダスティ・スプリングフィールドの官能的なトラックは何度聴いても素晴らしい。私が入手したのは2003年リリースのサバービア・ファクトリーの橋本徹がコンパイルした編集盤『ダスティ・スプリングフィールド・フォー・カフェ・アプレミディ』。
『ダスティ・スプリングフィールド・フォー・カフェ・アプレミディ』には他に「(They Long To Be) Close To You」、「Another Night」、「This Girl's Love In With You」のバカラック・ソングを収録。

「Look of Love」を好きになるきっかけだったのがホワイト・ヘヴンのアルバム『ネクスト・トゥ・ナッシング』(1994年)。リズムとピアノの静かな揺らめきの中に浮かび上がるジェントリーな石原洋のヴォーカル、遠い閃光のように響くエレクトリック・ギター、中盤ではギターソロが狂おしく唸りをあげる、ミステリアスで妖しい魅力に満ちたカヴァー。

少年ナイフ「Raindrops Keep Falling On My Head」やワンダーミンツ「Don't Go Breaking My Heart」、BMXバンディッツ「It Doesn't Matter Anymore」などバカラックのカヴァー14曲を収録したトリビュート・アルバム『ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ…』(1998年)。

この曲は一時期よく聴いたなぁ、ザ・プリテンダーズが1988年にリリースしたシングルでバカラック作「Windows of The World」のカヴァー。映画『1969』のテーマ曲として使用され(ちなみにカップリングはイギーのカヴァー「1969」)、ギターにジョニー・マーが参加、ニック・ロウがプロデュースをしている。クリッシーのヴォーカルを際立たせるよう、抑えたアレンジのなかにもキラキラしたジョニー・マーのギター・プレイが光る。バカラックのメロディにのせたハル・デイヴィッドの言葉が今心を打つ。
私が購入したのは日本盤CD短冊シングル。


2001年にリリースされたコンピレーション盤『Burt Bacharach presents スウィート・メロディーズ』のバックインレイより。RIP…。


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