片岡たまき著『あの頃、忌野清志郎と』

2023年3月9日、ちくま文庫より刊行。

2014年に宝島社から刊行された単行本『あの頃、忌野清志郎と』が、加筆、再編集、“ボーナストラック”として「リンコさん」の章を追加し文庫化。

中学生12歳(1972年と思われる)でRC好き、清志郎好きになり、“いつかきっとRCと仕事をするんだ”という将来の夢を抱き、それを叶えてしまう著者片岡たまきの実行力というか忍耐力というか執着心に驚く。1982年、RCの当時の事務所「りぼん」に入社、ついにRCの衣装管理専任・衣装係になりライヴ、ツアーに同行する(ファンクラブ会報の仕事もあり)。1985年、RCが「りぼん」から独立し新事務所「うむ」を立ち上げてしばらくして衣装係からマネージャーに就任、1990年最後のツアー前までRCのマネージャーを務めた。このRC末期、片岡たまきにかけた清志郎の言葉がこの本のひとつのハイライトだろう。

その後、片岡たまきは1991年冬から金子マリのマネージャーになり、1999年からは友人5人と小さな飲み屋「8039」を開店、2004年からは再び清志郎のライヴ衣装を手がけるようになる。そして2009年5月…五百羅漢寺でおこなわれた清志郎の葬儀、告別式から青山葬儀所で行われたお別れの会「青山ロックン・ロール・ショー」までの様子が記され本編終了。

副題は“ボスと私の40年”。片岡たまきから見た清志郎、RCの姿が描かれ、ゴーストライターを頼まれた『忌野旅日記』、清志郎ソロのブロックヘッズとの交流、タイマーズの活動、RC最後のヒリヒリとした雰囲気など、RCと清志郎の側にいたからこそ書ける内容でもある。辛いエピソードもウェットにならず、シリアスなりすぎず、さらりと書かれているので読みやすい。“ボーナストラック”「リンコさん」もホロリとする。竹中直人による解説というか“スペシャル・ボーナストラック”も楽しい。清志郎が音楽を担当した竹中直人監督『119』ビデオで観たな。DVD化されてないんだ…。企画段階で終わったおやじバンド(ヴォーカル沢口靖子)の映画『太陽のあたる場所』観たかったなぁ。

図版は白黒だけど、チケットの半券やチラシ、清志郎自筆のメモ、FAX原稿などが少しだけど掲載されている。

この本で知ったんだけど片岡たまきは、小山卓治がデビュー後に一緒に演奏していたバンドTHE CONXのキーボード奏者ロケット・マツの奥さんだった。

清志郎が2009年に亡くなってからもうすぐ14年になるんだな…。

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