PANTA参加ディスク2. AD-BIRDS『GUITAR TRIPPER』
ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。
1995年5月24日、ビクターエンタテイメントよりリリースの『Guitar Tripper』は、アーティスト表記がAD-BIRDSとなっているが、実際はJACK、BANZAI、NOBODY、野村義男、パンタ、ユキ・ラインハートの楽曲を収録したオムニバス盤で、G.T.ホーキンスCMサウンドトラック集Vol.1と記載があり全10曲のうち5曲がG.T.ホーキンスのCMで使用されている。
パンタは2曲で参加、5曲めに収録されている「マウンテンウィスキー〜C.W.ニコルに捧ぐ〜」は、下戸のパンタが歌うC.W.ニコルに捧ぐウイスキー讃歌。キャンピング・バックにウイスキーの小瓶をしのばせ、“山でのむ、谷でのむ、森の中でのむ”、独りになり山の上のアホになる、と溌剌とした声でパンタは歌う。アメリカンで伸びやかなスライド・ギターが印象的。
もう1曲は9曲目に収録されている「カレーと夕焼け」で、キャンプで食べるカレー讃歌。覚えがあるよなぁ、キャンプで作るカレーライス。ライスはもちろん薪を使って飯盒炊飯。“キャンプで食べるカレーは、なんて、なんてうまいんだ”とパンタはこれも力強く高らかに歌う。確かに山の中に漂うカレーの匂いを思い出す曲だよ。
2曲とも作詞・作曲はつかもとひろあき、編曲はかつてPANTA & HALのギタリストの今剛。だが、パンタのヴォーカル・イメージからするとかなり違和感がある。パンタのスウィート路線が問題作というなら、このアルバムに収録されている2曲もかなりの問題作と言えると思う。迷いなく溌剌とした力強い歌声はヴォーカリストに徹した感がある。この2曲のカップリングでCDシングルもリリースされている。
演奏しているのは、
Guitar, Pedal Steel & Flat Mandolin:今剛
Drums:山木秀夫
Bass:高水健司
Piano:難波正司
Acoustic Guitar, Keyboard, Hammond:松浦晃久
というメンバー。もちろん私は2曲とも好きだけど。
他アーティストの楽曲を少し紹介すると、JACK名義の「Fuky Campin'」はJACKこと畑下好和が参加していたSPLASHというバンドの録音でジミヘン・フレイヴァーな楽曲、「Follow Me」は作詞とヴォーカルをユキ・ラインハートが担当、ややフォーキーな演奏はSPLASHのメンバー、作曲は秋元薫。
「Walking」と「No Soap」はBANZAIというバンドで、
Vocal, Guiar:依田"DEKAPAN"稔
Bass:海老沢真吉
Drums:佐々木真
というメンツ、曲調はZZ TOPな印象もある。
「Ready For Break」と「The Sky So Blue」はNOBODY、「Night Head」と「Last Run」は野村義男がギターを弾くインスト曲でドラム村上ポンタ秀一、ベースはCCBの渡辺英樹。
AD-BIRDSとしてCDシングルもリリースされている。カッコ内はリリース日付。
「Funky Campin' c/w Follow Me」(1994年6月1日)
「mountain whisky c/w カレーと夕焼け」(1994年12月16日)
「Walking c/w The Sky So Blue」(1995年4月21日)
パンタの2曲はCMでは使われていないようだ。