SHEENA & THE ROKKETS『#1 SPECIAL EDITON』

シーナ&ザ・ロケッツのファースト・アルバム『#1』が1979年のオリジナル仕様で鮎川誠秘蔵音源シリーズAYU-Recordsより2024年3月25日にリリースされた。

『#1』は1979年にエルボンよりオリジナルがリリースされ、1986年にヴィヴィッドからアナログ盤、1994年にCHOPからCD化、2004年にヴィヴィッドからCD再発と何度か再発されているが、これらの再発に関してはバンド側に了解なくおこなわれ、鮎川、シーナも全く知らされておらず印税も入っていないということだ。また曲順などオリジナルと異なる仕様でリリースされていたので、オリジナル・エルボン盤仕様での再発は今回が初となる。

通常盤に加えて、初回限定のスペシャル・エディションがリリースされ、スペシャル・エディションには、
下記の3枚のCD、
・『#1』オリジナル+ボーナス・トラック(通常盤と同じ)
・『#1 MONO』モノミックス
・『御法度盤 鮎川誠の”素晴らしきロックの世界”』(アルファ時代のライブ等秘蔵音源集)
それに下記の特典アイテム、
・鮎川誠とシーナのフォトブック「#1Rokkets FIRST Recording Day」
・エルボン盤LPミニポスター(両面デザイン)
・特製コルクコースター
・月刊鮎川誠No.5
が特製赤ショッパーに入れられていた(右上の写真)。

アルバム『#1』に関してはマスターテープからではなくシーナの生家から見つかったテスト盤をマスターとしているため若干のスクラッチ・ノイズがあるが通常聴く分にはほとんど気にならない。ボーナストラックで収録されているシングル・ヴァージョンの「涙のハイウェイ」、そのシングルB面曲「恋はノーノーノー」も盤起こしのようだ。

しかし、ようやくオリジナルの曲順・ヴァージョンで『#1』が聴けるのは非常に嬉しいし、オリジナル仕様はしっくりくる。セカンドラインなリズムの「夢見るラグドール」(サンハウスの「夢見るボロ人形」)で始まるのがいい。「レモンティ」をはさんでアルバム・ヴァージョンの「涙のハイウェイ」は、冒頭のSEが無かったり、シーナのヴォーカルや演奏も落ち着いている感じを受ける。これまでプロデューサーとしてクレジットされていた柏木省三の名前は無くなり、プロデュースは鮎川誠となっている。
SHEENA & THE ROKKETS #1

『#1 MONO』は同じくシーナの生家から見つかった、ラジオ用にモノラルミックスした1/4インチのセカンドマスターテープから制作された。「#1」が丸ごとモノで収録されているが、その中にはピアノを入れたミックスの「夢見るラグドール」、フェイドインではなくイントロ冒頭から始まる「レモンティー」、ややスローになった別テイクの「ブルースの気分」、細野晴臣がシンセベース(ARPシンセと表記がある)を入れた別テイクの「カモン」に変更されている。こちらはマスターテープからで音質もよくモノミックスならではの迫力を感じる。ボーナストラックにはカセットテープをマスターとした1978年4月録音のインスト「サウロブギ」、1978年8月録音のシーナが歌う「カモン」、Gene & Debbeのカヴァー「プレイボーイ」を収録。
SHEENA & THE ROKKETS #1 MONO

『御法度盤 鮎川誠の”素晴らしきロックの世界”』は鮎川誠の“秘蔵コレクション”からエルボン〜アルファ時代のライブ、アウトテイク、未発表曲を全10曲収録、曲名以外はほぼノンクレジットだが、オフィシャルHPによると下記の内容。
1. サティスファクション
2. カムオン 
3. デイトリッパー
4. レモンティー
5. Sparklin’ New YORK
6. レイジークレイジーブルース with YMO 
7. ソリッドステートサバイバー
8. デイトリッパー
9. YES COKE YES tk1
10. オマエガホシイ 

Track 1-3 with YMO Live at 六本木ピットイン 1978年12月22日
Track 4, 6, 10 ALFA A−スタジオ・ラフミックス 1979年
Track 7, 8 ALFA A−スタジオ Proto 1979年
Track 5, 9 未発表

ディーヴォ経由のストーンズ・カヴァー1、テクノ化したチャック・ベリーの2、ビートルズのカヴァー3の3曲はYMOに鮎川がゲスト参加したライヴからで、1と2は鮎川のヴォーカル(3のヴォーカルは高橋幸宏)、4はスネークマンショーのアルバム『スネークマン・ショー(急いで口で吸え!)』(1981年)に収録されていたテイクのラフミックスだろう。7と8もYMOとの演奏と思われるプロトタイプでいずれもインスト。鮎川はこの2曲でYMOのアルバム『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』(1979年)に参加している。5と9はCM用か。

御法度盤 鮎川誠の”素晴らしきロックの世界”


シングル「涙のハイウェイ」発売時の告知に今回の再発を重ねたチラシ





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