映画・石井岳龍監督作品『箱男』

2024年8月23日公開、石井岳龍監督最新作『箱男』。

2007年にリリースされた『石井聰亙・DVD-BOX II』のブックレットに、1997年に制作が頓挫した『箱男』の記載があり当時の箱男のデザイン画や写真なども掲載されていて面白そうだな!と思っていたので、27年の時を経て映画が公開されることを知った時は、ぜひ観に行かねばと思っていた。近所のシネコンで上映してなかったので、少し離れたところにある別のシネコンへ車で出かけ鑑賞。パンフレットも買った(右の画像)

安部公房が1973年に発表した小説を映画化。刺激的でエクスペリメンタルな内容の面白さというのもあるけど、見た目の“タテ型洗濯機”のダンボール箱を被った男が、街に潜む!走る!闘う!姿を見るだけでも単純に楽しい(先の『石井聰亙・DVD-BOX II』ブックレットのデザイン画では箱男は“三菱製チルド冷蔵庫”のダンボール箱を被っていた)。

従属を拒み、匿名性を手に入れ、未登録な存在として社会を、世界を覗き見る箱男の存在とは何なのか。“誰が”箱男なのか。難解な物語ではあるが石井監督は娯楽性を盛り込み、デイヴィッド・リンチ的な雰囲気もありつつ、これぞ石井監督!のバトルシーンやサイケデリックなイメージもあり、スラップスティックでメタフィクショナルなエンターテイメント作品である。

迫力と繊細さをあわせもった演技をみせる個性的な男優3人、永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市。オーディションで選ばれた白本彩奈は、ベテラン男優達を翻弄するようにミステリアスな魅力を放ち存在感のある演技を観せた。

そして物語の終わり、現代に生きる我々にとっての箱とは何か、を考えることになる。

石井岳龍監督作品 映画『箱男』(2024年)flyer

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