私の放浪音楽史 Vol.114 BAUHAUS『IN THE FLAT FIELD』

1980年11月、4ADからリリース(UK)のアルバム。

デュアン・マイケルズの写真「Homage To Puvis De Chavannes」を使用したフロント・カヴァーが印象的。1981年にリリースされた日本でのアナログ盤は一部にぼかしが入っていた。

3枚のシングルリリースを経たバウハウスの初めてのアルバムで、オリジナル・アナログ盤ではそれらのシングル曲を全く収録していなかった。

圧倒的にダーク、絶望的にヘヴィでありながらもしばしばシアトリカルな音像が軽妙な印象もあたえる。ピーター・マーフィーはグラムな雰囲気をたたえつつ、咆哮というかストレンジな叫び声をあげ、有刺鉄線のようにエッジーなギターが容赦なく聴覚に突き刺さる。時にファンクな、時にはトライバルなリズムをゴシックの中に埋め込み、立体的に構築されたアート作品と言っていいだろう。

アルバムは神秘的なイントロからスロー&ヘヴィな「Double Dare」で始まり、続くスピーディでスリリングな「In The Flat Field」は“退屈だ 平らな場所は退屈なんだ”という叫びが耳に残る。ソリッドな「God In An Alcove」や「Dive」、ミニマルな「Spy In The Cab」や「Small Talk Stinks」、舞踏病についてと思われる内容の「St.Vitus Dance」、“磔刑の恍惚の中で…”で始まる重圧で攻撃的なサウンドの「Stigmata Martyr」、呪術的な「Nerve」の充実した9曲を収録。

後のリイシュー盤ではシングル曲をボーナストラック収録しており、セカンド・シングルの「Dark Entries」でアルバムが始まるCDもあるが、やはり「Double Dare」で始まって欲しいよね。

そのグループ名のとおり、1919年ドイツで起こったバウハウス・ムーヴメントのように虚飾を排し、無駄を削ぎ落としたサウンドは後のバンド/アーティストに多大な影響をあたえた。

1981年に日本でリリースされたアナログ盤LP

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