サンハウス『55周年記念ボックス』DVD-3『LIVE AT SHINJUKU LOFT 1982.12.31』

“サンハウスのマネージャーやってた柏木って奴から、ルースターズのイベントで1日だけ歌ってくれって言われてさ。やりたくなかったから、諦めてもらうためにギャラの金額を吹っかけたら『分かった』って言うから、『じゃ、今払え』って言ったらその場で払ったけんさ(笑)。それでしょうがないからやった”
ー柴山俊之ー(『Bollocks presents 日本パンク・ロッカー列伝』シンコーミュージック・エンタテイメント刊・2015年)

“その大晦日のサンハウスも最初は柴山さんを柏木がブッキングしただけの話で、花田たちがバンドでバックする話やったみたいなのが、柏木やったか柴山さんやったか忘れたけれど、ドラムとベースを川嶋と浅田に頼みたいちゅう話になってね。それやったら僕も出らんか?ってことになって、いいよっちなって”
ー鮎川誠ー(『月刊 鮎川誠 新宿ロフトの思い出』シーナ&ロケッツ・オフィシャル刊・2021年)

1982年12月31日・新宿ロフト。その日のスケジュールを見ると「LOFT SPECIAL '82-'83」1984 ゲスト・柴山俊之、とある。出演はこの頃体調不良の大江慎也を除いたルースターズの別ユニットとして活動していた1984。当初は1984(花田・井上・池畑ら)をバックに柴山俊之がサンハウスのナンバーを歌うという企画だったのだろう。しかし上記鮎川の話のようにリズム隊をB浅田孟、D川嶋一秀の当時シナロケ組(70年代サンハウス最終メンバーでもある)に依頼することになり、鮎川も参加することになったことでサンハウス復活+G花田裕之というメンツでライブがおこなわれた。花田は篠山哲雄の代役といった趣でリズムギターに徹している。その時の映像は後に未公認VHSビデオ作品『Previous Live』としてリリースされた。今ではYouTubeで観ることができる。

今回リリースされた55周年ボックスのDVDには12月31日のライヴ映像が2ステージ分収録されており、かつてVHSでリリースされた『Previous Live』の映像は2ステージ目だったことがわかる。いずれも映像は1台の手持ちカメラで収録されており、テープの保存状態のためか1ステージ目はところどころステージ上ではない映像(バンドロゴなど)を映した部分や音が揺れている部分がある。まぁブート映像を観るのに慣れている人なら問題のない程度だが、2ステージ目については以前のVHSに収録された映像よりは格段に綺麗になっているし音圧もある。サウンドは鮎川のでかいギター音でも割れていないことから別録音されたものを使用していると思う(それでも鮎川のギターはでかいけど)。花田のギターはほぼ聴こえず。「キング・スネーク・ブルース」のイントロくらいか聴こえるのは。

1ステージ目の「すけこまし」の曲中でチューニングする鮎川、かっこいいなぁ。おそらく多くはサンハウスを知らなかったであろう若いオーディエンスに“どうだ!これがサンハウスのサウンドだ!”とばかりにギターを繰り出す鮎川誠の姿は迫力がある。そしてサンハウスが1978年活動休止以降ステージから遠ざかっていた柴山俊之ほぼ5年ぶりのステージでもあった。

サンハウス『Previous Live』(VHSカセット・ConCrete/ポートレイト PORTV046)
リリース年不明

サンハウス『Previous Live』Back Cover
「カラカラ」が「ダラダラ」になっているのが悲しい。



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