OMNIBUS a Go Go Vol.11『TOPPING UP REDIATE PRESENTS "8Ts TOKYO MODS COLLECTION"』
1979年11月に映画『さらば青春の光』(英映画:原題QUADROPHENIA)が公開。 1964年5月ブライトン・ビーチに於けるモッズとロッカーズの乱闘をハイライトにし、モッズの日常を描いたこの映画をひとつのきっかけにして、イギリスではネオモッズ・ムーブメントが拡大していった。 1979年にはSECRET AFFAIR、MERTON PARKASなどが出演し、レコードにもなった「MODS MAYDAY '79」が、またPURPLE HEARTS、BACK TO ZERO、SECRET AFFAIRによって1979年8月~9月 クラブサーキット「マーチ・オブ・ザ・モッズ」が行われている。THE JAMは1978年アルバム『ALL MOD CONS』に続いて1979年『SETTING SONS』を発表、イギリスのトップへの道をひた走っていた頃だ。
パンクが一段落した1979年の音楽シーンでは多種多様なスタイルの音楽が溢れていたが、 このモッズ・リバイバルもパンクを通過したサウンドで、フーやスモール・フェイセス等のオリジナル・モッズよりもシャープでタイト&ソリッド、なによりスピード感が増していた。
遠く離れた日本でも映画『さらば青春の光』や1980年のTHE JAM初来日にインスパイアされた若者達により モッズ・シーンが徐々に形成され、1981年には吉祥寺のライブハウスSilver Elephantにて「MODS MAYDAY '81」が 行われている(以後毎年5月に行われている)。1983年には毎月のイヴェント「マーチ・オブ・ザ・モッズ」も始まった。1984年にはレディエイト・レコーズがインディのモッズレーベルとしてスタート、同年4バンド4曲入り7インチEP『LES ENFANTS TERRIBLES』をリリースした。
『Topping Up Radiate Presents "8Ts Tokyo Mods Collection"』は1996年にリリースされ、レディエイトが1984年から1990年までにリリースしたカタログの中から20曲を選曲・コンパイルしたオムニバス・アルバム。
最初の東京モッズ・オムニバスとも言える『LES ENFANTS TERRIBLES』の全曲、他にオムニバスやソノシート、12インチからThe Bike、The I-Spy、The Hair、The Collectors、High Style、The Standards、Maybeles等が選曲されている。
ストレートでTHE JAM直系のビートナンバーを聴かせるThe Standards、加藤ひさしのボーカルがやはり圧倒的なThe Bike~The Collectors、The London Timesはなかなか練られたアレンジの曲だ。なかでもI-Spyの迫力の演奏は素晴らしい。このアルバムには3曲が収録されているが、カバーの「Love A Go Go」を含め演奏、歌、アレンジ共に最高のGroove。格好良い。単独での再発リリースは出来ないものか。
東京モッズシーン1984年頃の逸話を加藤ひさしと片寄明人がCD Journalのブルーハーツ特集のなかで対談している。