OMNIBUS a Go Go Vol.14『別天地』

1986年6月リリース。再発CDのライナーによると、エピックソニーのディレクターが“YEN”(アルファ)や“ノンスタンダード”(テイチク)の ような先鋭的な新人を紹介するためのレーベルを作ろう、と企画されたオムニバス・アルバムということだ(結局レーベルは実現しなかった)。DATE OF BIRTH(重藤功)、UPLM(バナナ)、YOUNG ODEON(小西康陽)、KILLING TIME(板倉文)、SCREEN(和久井光司)の5バンド(クリエイター) が収録されている。

1980年代、EP-4や原マスミ等のアルバムへの参加で異彩を放っていたバナナ(川嶋BANANA)の尖ったサウンドが聴ける「CELL」で幕を開ける。バナナは他に「HEAVEN LINE」を収録。
先のVol.10で紹介した『くっついて安心』のプロデューサーだった板倉文のKILLING TIMEは、 斉藤ネコ、福岡ユタカ参加、低音パーカションが気持ちいい「EBRIO」と、作詞・ボーカルに太田裕美をフューチャーした「ルナチコ」。ピチカートVを1984年末に始動していた小西康陽はYOUNG ODEON名義でPLASTICS~MELONの中西俊夫をフューチャーした「新パゾリーニ」と、市川崑監督映画と同タイトルで、性急かつ緊張感を持った「黒い十人の女」。どちらも映画絡みのタイトル。

個人的にはDATE OF BIRTH。
ポートレイトからの10インチ盤と1986年8月のメジャー・デビュー12インチ『思い出の瞳』の間に録音された参加曲は2曲。どちらも素晴らしい出来上がり。
「AROUND AROUND」はポートレイト盤のオープニング・ナンバー「PACK MY BAG」の再演(タイトルを変更している)で、アコースティックな部分が若干強調されているか。今のところこのバージョンはこのアルバムでしか聴く事が出来ない。「KING OF WALZ」はコラージュなどをちりばめた曲で、映画音楽ともいえそうな曲。ティム・バートンの映画に似合いそう。 ビートルズ「Being for the Benefit of Mr. Kite!」を彷彿とさせる。こちらはベスト盤『KING OF WALTZ』に収録されている。そのベスト盤のライナー(重藤功)によると 既に“QUEEN OF WALZ”は出来上がっている、という事だったが...。

アルバム最後に収録されているSCREENの「BALLERINA」は、今聴くとアレンジがちょっと古い感じがするけど名曲と思う。コーラスでナーヴカッツェの山口美和子と飯村直子が参加している。

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