OMNIBUS a Go Go Vol.34 『極東最前線』
“極東最前線”はイースタンユース主催で1994年11月から現在まで続くシリーズギグ。 このアルバムはシリーズ30回目のライブ(2000年8月渋谷クアトロで3日間行われた)を記念して2000年7月にリリースされた。
収録バンドはいずれも“極東最前線”出演歴のあるバンドで、かつイースタンユースと同郷(札幌)のバンドも多い。シリーズギグ主催者のイースタンユースは「曇天と面影」を収録。バンド結成当時のOi、スキンズ系の強面なサウンド・表現から日本的なわびさび・叙情的な表現をエモーショナルなサウンドにのせたものに変化し、より多くの人々へ浸透した。この「曇天と面影」もふさぎこむ感情にそっと、だけど少し力強くノックする名曲。
“極東最前線”には第1回目から参加している怒髪天も感情を掘り起こす歌を聴かせてくれるバンドだ。個人的にはARB(田中一郎在籍時)を継ぐバンドと言いたい。このアルバムには「サムライブルー」を収録。孤独の魂をこがす歌がここにもある。DMBQは探偵物か刑事物のテレビドラマのテーマ曲のような「極東最前線のテーマ」。
DMBQが“極東最前線”というテーマをインストゥルメンタルで表現したのなら、NUMBER GIRLの「TOKYO FREEZE」は“極東最前線”という言葉にがっぷり四つに取り組んだ重要なナンバーといえる。DUBのサウンドにラップをつぶやく。そこにはギター1本つかみとり、最前線で冷凍都市=TOKYOと対峙し重音楽を鳴らす姿が描かれる。
“キックとベースが生みだすフレイズ 8ビートのスキマに広がるスペース
1弦から6弦へ 1フレットから24フレットへ
この広大な思索の荒野を着流しで練り歩くオレ
6本の狂ったハガネの振動 R・O・C・Kでお前を扇情
戦場 いってみればこの街あたりもそう
戦場 果てることのない暴力衝動
諸行無常 武装した夕暮れが行き着くところ
極東最前線”
他にはいきなり“ケツから...”で始まるfOUL「wax&wane」、変幻自在なあぶらだこ「横隔膜節」、NAHTの美しい「as karma goes」、メロコア系のMOGA THE ¥5、それまでの英詞メロコアから日本語の太いロックを鳴らすバンドに変わっていったHUSKING BEE、素朴な演奏のピジョンズ、 ベース×2にドラムという珍しい編成のバンドのsquashed cubsを収録。
ラストナンバーはブラッドサースティブッチャーズのスリリングな「さよなら文鳥」。