OMNIBUS a Go Go Vol.94『3×20 (colours) Music from British Independent Record Companies 1980-1990』
1990年に新星堂が企画・販売、イギリスで制作というかたちでリリースされたイギリスのインディ・コンピレーション。ラフ・トレード、チェリー・レッド、クリエイション、ミュート、レイジー、ファクトリーなどのインディーズから選曲された楽曲を赤、青、黄色と名付けられた各CD1枚に20曲、CD3枚組みボックスで60曲(60グループ/アーティスト)を収録している。イギリスの、と言ってもイギリスのインディからリリースされていると言う意味で(クレプスキュールはベルギーのレーベルだがファクトリーやオペレーション・トワイライトと関係が深い)、アメリカ出身のアーティストやオーストラリア出身のゴー・ビトウィーンズなんかも収録されている。ジャンル的にはニュー・ウェイブ、ポスト・パンク、オルタナティヴ中心。
CD-1にはスミスの記念すべきデビュー・シングル「Hand In Glove」、ストーン・ローゼズの「Sally Cynamon」(1987年FMリボルヴァーからリリースのセカンドシングル)、シュガーキューブスの「Birthday」(1987年ワン・リトル・インディアンからリリースのセカンド・シングル)、クリエイション移籍の第一弾シングルのマイブラ「You Made Me Realise」、エレヴェイションからクリエイションに戻って骨太ロックに変した第一弾シングルのプライマル・スクリーム「Ivy Ivy Ivy」、ピーター・フックのバンド、リヴェンジのデビューシングルのカップリング「Jesus, I Love You」(12インチ買ったな)、アメリカのギャラクシー500「Blue Thunder」、 今回聴きなおして良いなと思ったハート・スローブス「I Wonder Why」等。
CD-2にはヤング・マーブル・ジャイアンツ「Colossal Youth」、YMG解散後アリソン・スタットンらにより結成されたウィークエンドの名曲「A View From Her Room」、フェルトのチェリー・レッドからの1枚目「Something Send Me To Sleep」(1981年リリース、セカンド・シングル)、パステルズのセカンド・シングル「Somethings Going On」、エブリシング・バット・ザ・ガール関連ではマリン・ガールズ「Lazy Ways」、EBTG「Night and Day」、ベン・ワットのソロ(傑作)から「Some Thing Don't Matter」が収録。ペイル・ファウンテンズの1982年のデビューシングル「Just A Girl」(最高)、ジョセフKは「The Farewell Single」と曲名が記載されているが、これは1982年にリリースした3曲入り7インチのタイトルで、曲はその中の「One Angle」が収録されている。ムード・シックスのトット・ラングレン超名曲カバー「I Saw The Light」、ヒット・パレードの瑞々しい1984年のデビューシングル「Forever」等。
CD-3にはアンテナのボサノヴァ・タッチな「Seaside Weekend」、ペイル・ファウンテンズ解散後マイケル・ヘッドが結成したシャックの「エマージェンシー」、キング・オブ・ルクセンブルグ「A Picture of Dorian Gray」はTVパーソナリティーズのカヴァー、エル・レコードのルイ・フィリップ「Like Nobody Do」、同じくエルのウッド・ビィ・グッズ「The Camera Loves Me」はこのコンピで聴いて気に入りアルバム買ったなぁ。ドゥルッティ・コラムは初期シングル「Lips That Would Kiss」、ロビン・ヒッチコックはライブ盤から力強い演奏の「Heaven」、 YMG、ウィークエンドのアリソン・スタットンが1989年にディヴァイン・アンド・スタットン名義でリリースしたニュー・オーダーのカヴァー「Bizarre Love Triangle」はアコースティック・ギターのみの演奏だが曲の良さが引き立つカヴァーだ。
このコンピはどちらかと言うと1980年代後半からの楽曲が多いが、その頃イギリスで台頭してきたハウス/ エレクトロ・ダンサブルなニッツァー・エブやラブ・コーポレーションやシェイメン等もCD-3には収録されている。最後はロバート・ワイアットが1982年にラフ・トレードからリリースしたスタンダードのカヴァー「Memories of You」。これも今回聴きなおして良いなと思った曲。
有名無名入り混じって全60曲、どんな基準で選曲されたのかは分からないが、当時の広告ではCD-1が “時代を大きく動かしたギター・バンドを中心に”、CD-2が “ネオ・アコースティックを中心に”、CD-3が “おしゃれなポップチューンからハウスサウンドまで ” と記載がある。まぁ “このバンドは入っていてあのバンドは入っていないのか ” 的な思いはあるが、ボックス裏のトラックリストをパッと見てもインディの有名どころが並んでいて目に入るし、様々なインディ・レーベルを横断的に集めたボックスは現在でも珍しいんじゃないだろうか。どこかで1970年代末から80年中期(1979年~1984年頃まで)でこういうイギリス・インディ横断的なボックス・セットを作ってくれないかなぁ。