湯浅学監修・選『日本ロック&ポップス・アルバム名鑑1966-1978』

ミュージック・マガジン社発行、レコード・コレクターズ増刊、2013年8月31日発売。

湯浅学監修・選による893枚のアルバムがほぼ発売順に掲載されている。以前やはりミュージック・マガジン社から発売された『日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100 1960-1989』のようなランキング本ではない。

序文で湯浅学いわく“生来の年表好き”なので“世の中に出た順番に見たい”、“音盤年表”ということだが、これはわかる。世の中に出た順番や年代は私も非常に気になる。ガイド本もわりかし見てきたので少々値も張るし、どうしようかなと購入をためらっていたのだが、この湯浅の序文を読み、こういう基準で選んでいるなら、と購入したのだが、なかなか面白い。

1966年(その前に前史として24枚が選ばれている)を起点として1978年まで、ジャケットは全てカラーで掲載されており壮観だ。ジャケの下にはオリジナル発売時のレーベルと番号が記載されているが、このあたりもCD化、未CD化といった事や、現行CD番号を掲載して入手の可否といった事にとらわれない、単純に年表的な並べ方を目指している事が徹底されていて良い。 それに200字程度の解説が掲載されている。盤によっては2枚分を使って解説。ロック・フォークに限らずポップス、というか歌謡曲・演歌系からも選盤されている。読み進めていくと“園まり”、”森進一”、“黛ジュン”、“伊東ゆかり”、“藤圭子”、“トワエモワ”、“野坂昭如”なんかのアルバムに興味が湧いてしまう今の気分。そうかと思えば、見た事も(勿論聴いたこともない)自主制作盤も載っていたり、とにかく幅広い。

1976年は英米でパンク・ムーブメントが勃興し、1977年には次々にパンク・アルバムがリリースされたが、こうして見ると日本では1978年までにアルバム単位でのパンクの出現は無かったんだなと改めて思う(もちろん影響はあったが)。むしろニュー・ウェイヴのとっかかりは見て取れる。巻末には“発掘盤”の括りがあり、そこにはガセネタのボックスやゴジラ・レコードのコンピ『ゴジラ・スペシャル・ディナー』が選出されている。

この本に紹介されている音盤で我が家にある最古の音盤はフォークルの『ハレンチ』(1967年)だった。CDだけど。2013年11月発売予定の続巻『1979-1989』も楽しみだ。

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