My Wandering MUSIC History Vol.3 BLACK SABBATH『TECHNICAL ECSTASY』

1976年ヴァーテゴ/日本フォノグラムからリリースのアルバム。

初めて買った洋楽のアルバムはブラック・サバス『テクニカル・エクスタシー』だった。中学生ともなるとまわりにはフォークギターで弾き語る友人も出てきて、ちょっとしたギターブームがあり、やがてロック・バンドを組む友人達も出てきた。レパートリーはキッスやディープ・パープル、レッド・ツェッペリンなど。その友人のコピーバンドの練習や文化祭の演奏を見ていると次第に私自身も洋楽のロックを聴くようになっていった。パープル、ゼップ、キッス、クイーン等のレコードは友人達が皆持っているから、自分では友人の持っていないようなアーティストのレコードを買おう、と思って興味を持ったのがブラック・サバスだった。

まわりでサバスのレコードを持っている人はいなかった。まだヘヴィ・メタルという言葉がそれほど定着していない頃、他より重い、という触れ込みのサバスはどのアルバムが代表作なのか分からなかったし(おそらく曲でいえば「パラノイド」が知られていたかも)、そもそも田舎町に流通しているサバスのレコードは殆ど無いに等しかったが、地元のレコード屋に唯一置かれていたのが『テクニカル・エクスタシー』だった。つまりサバスのレコードを買おうと思ったらこれしかなかったということだ(もちろん国内盤。近くに輸入盤屋なんて無かった)。 当時サバスのアルバムの国内盤が他に流通していたか、というのは分からないが、おそらく注文しても手に入るのは『血まみれの安息日(原題:Sabbath Bloody Sabbath)』と『サボタージュ』くらいだったのではないかと思う。

それで買ってどうだったかというとこれが当たりだった(ヒブノシスのジャケはとっつきにくかったが)。1曲めの「Back Street Kids」ですぐにサバスが好きになった。特にオジーの駄々っ子のようなヴォーカルが気に入ったし、引っ掻くようなトニー・アイオミのギタープレイも独特だし、重たいリズム隊の叩き出すサウンドも良かった。2曲目の「You Won't Change Me」の様なヘヴィな曲も噂に違わぬカッコ良さだった。この2曲を聴いて自分の中ではまさしく“俺のバンド”って感じになったと思う。

このアルバムはポップな面も打ち出していたから「It's Alright」(ドラムのビル・ワードがヴォーカル)のようなアコースティックなナンバーもあり聴き易さもあったし、緩急のある構成の「All Moving Parts (Stand Still)」や「Dirty Woman」、ホンキー・トンク風味のロックンロール「Rock'n' Roll Doctor」、ストリングスやアコースティック・ギターを生かした「She's Gone」等、バラエティに富んだアルバムだった。

このアルバムを気に入った私はサバスのレコードを求め(そればかりじゃないが…)西新宿等へ出かけるようになり、サバスのファーストアルバム(キーフのジャケが怖かった)や『パラノイド』(確か英盤で高かった)を始め、『ネヴァー・セイ・ダイ』まで輸入盤で購入。だからオジーがいた70年代のサバスは『テクニカル・エクスタシー』を除き輸入盤で揃えた。国内盤は中古でもあまり見かけなかったし、アメリカ盤があれば安く手に入った記憶がある。新品の輸入盤の紙の匂いが好きになったのはこの頃だな…。

サバスはその後オジーが脱退してロニー・ジェイムス・ディオが加入し1980年に『ヘヴン・アンド・ヘル』をリリース、同年11月の来日公演にも行った(私にとってはこれが初の洋楽ライブ)。オジーがいないとはいえサバスの公演が見られたのは嬉しかったはずだが、今ではほとんど記憶がない。確かサンプラザで、誰かメンバーの調子が悪かったような気がする…。なぜか誰もいないステージの暗闇や、ステージのどこかまたは誰かが付けていた十字架、が印象に残っているな…。

やがてパンク/ニュー・ウェイヴに染まりサバスのアルバム群は売りに出してしまったが、もう一度聴きたくなり再購入したのはオジー在籍時のアルバムを集めた2004年の『ブラック・ボックス』だった。

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