ROGUE「終わりのない歌」

1987年リリースのアルバム『VOICE BEAT』より。

2013年10月19日付け朝日新聞の朝刊に “頸椎損傷を乗り越え復帰するロックバンド歌手・奥野敦士さん(50)”という記事が掲載されていた。

1990年ローグ解散後も音楽活動を続けていたが、5年前にアルバイトの工事現場で屋根から落ち、胸から下が動かない、腕も肘から下は動かなくなった。腹に力が入らず、ベルトを強く締め声をだして歌う。数曲歌えるようになった今年の春に“ライブをしよう”と提案があり、10月19日グリーンドーム前橋でローグ復活ライブをおこなう。という内容の記事だった。

群馬から出てきて、音楽的にもBOOWYの弟分のような紹介のされかただったローグだが、器用なリズム隊と多彩なプレイが可能なギターは聴きどころがあるし、何よりバンドの特徴だったのは奥野の独特なビブラートを持った声だろう。時に夢見がちで、聴くものに語り掛けるかのような、だけどそれほどウェットさを感じさせない歌詞をビートナンバーやダンサブルな曲にのせて歌っていた(もちろんスローな曲も)。

1990年の解散までに発表したローグのアルバムはたぶん全て聴いたと思う。個人的にはファーストとセカンド・アルバム『VOICE BEAT』をよく聴いた。久しぶりにアルバムを取り出して聴いたけど、ビート・バンド然としたファースト、ポップ色を増したセカンドの中で、やはりというか特にこの「終わりのない歌」が心を打つ。

発表当時もこの歌は好きで、シングル盤も買った(「終わりのない歌 c/w Street Dancer」B面は『VOICE BEAT』には未収だった)。イントロの広がりのあるギターに続いて歌われる、シャイでツイてない男の描写に感情移入して聴いていたな…。だけど2013年の今、この曲を聴くとまるで24歳の奥野が50歳の奥野敦士へ向けて歌ったかのようにも思える。辛いことに変わりはないが、何だか歌というものの不思議さを感じてしまう。

 ただ今降ってる 人生の雨やむまで
 かさもささず僕は ずっと待ってる
 
 終わりのない歌がきこえる 都会の音をもみ消して
 悲しくても せつなすぎても
 いつかは雨もやむだろう
 
 さびしがりや にわか雨だよ

昨日の復活ライブは盛況のうちに終わり奥野のブログ・『奥野敦士の気まぐれ日記』、バンドは活動を続けていくようだ。

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