My Wandering MUSIC History Vol.9 KING CRIMSON『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』

1969年アイランド/アトランティックよりリリースのアルバム。

やはりジャケットが強烈だった。
このアルバムを手掛けた後、早逝してしまう当時無名の画家バリー・ゴッドバーがアルバムの音を聴いたイメージをもとに描いたというジャケットは、これまで聴いてきたプログレの謎めいたジャケットとも、一部ハード・ロックの悪魔的なジャケットとも違う、只者ではない、この中には一体何が記録されているのだろうか、と暴力的とも思える強引な磁場を発生させているジャケットである。アナログ・レコードのジャケット30cm×30cmの大きさで見れば、なおその特異性がわかるだろう。まるで“クリムゾン・キング”と呼ばれた宮殿のように豊かに起伏に富み、その色は深紅で描かれている。

レコードを取り出し、針を落とすと暫しの静寂の後にあらわれる凶暴な音の塊に驚愕し「21st Century Schizoid Man」の世界へ引き摺り込まれていく。 “Cat's foot iron crow…"冷徹な過去と今(1969年)の事象が生み出す未来の男の姿を、エフェクトで歪んだ声が叫ぶ。重く鋼のように硬質でなおかつ、鞭のようにしなる柔軟性を持った圧倒的な演奏技術によって表現されたこの1曲はまさに先進的と呼ぶに相応しかった。2001年に車のテレビCMでこの曲が使われたときは驚いたものだ。
静けさの中にハーモニーが引き立つ「I Talk To The Wind」、
ドラマテックな「Epitaph」には、
 Knowledge is a deadly friend
 When no one sets the rules
 The fate of all mankind I see
 Is in the hands of fools
と歌われた歌詞があるが、2014年の今でも十分有効だ。

音響的で長く複雑な曲だけど語りかけるような「Moon Child」、再びドラマティックで壮大なラストの「The Court of The Crimson King」(シングルカットされた)と、どの曲も聴き逃せないトータルに完成されたアルバムである。但しキャッチーな英語のフレーズも耳馴染みの良いギターソロもノリ易いビートもないこのアルバムは、中学生にとっては哲学的とも思える内容だった。

次作の『In the Wake of Poseidon(邦題:ポセイドンのめざめ)』もヘヴィさやハードさは無いが好きなアルバムだ。

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