My Wandering MUSIC History Vol.26 YELLOW MAGIC ORCHESTRA『増殖:MULTIPLIES』

1980年6月アルファよりリリースのアルバム。

洋楽ではストラングラーズ、クラッシュ等、邦楽ではリザード、ヒカシュー、パンタ等を聴いていた1980年頃。世間的にヒットしていたのはYMOだった。1979年リリースの『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』に収録されている「ライディーン」はシングル盤でもリリースされ大ヒット。当時はこの曲にあわせて踊るのが流行ってた。原色の竹の子族的な衣装で、長い鉢巻とかして。高校の運動会とかでもこの曲を使って踊って応援してる人がいましたよ。そういうのを見るのが嫌だったし、それでYMOは当時聴かなかった。聴こうとしなくても耳に入ってきたけど。『ソリッド・ステイト~』もファーストのUS版もどこかで聴いていた(ファーストUS版のジャケットは好き)。

このアルバム『増殖:Multiplies』は面白いギャグが入ってるからって借りた覚えがある。アナログ・リリース盤は10インチで、このサイズが変わってるなと思ったが、その10インチのジャケットを12インチサイズにあわせるため段ボールで外枠を作ってるのも奇妙だった(ずらり並んだ人形のジャケも)。

そんな訳で『増殖』を借りたものの音楽は特に興味がなくまともに聴くこともせず、“スネークマン・ショー”と題された幾つかのギャグ/コント目当てだった。小林克也と伊武雅刀のやり取りが爆笑というかニヤリな内容だった。英語コンプレックスを題材にしたものや、 “開けろ!” “だ・だあ~れ~?”が流行った警察ネタもの、林家三平のパロディ(中国での落語公演、時間差爆笑)、なんといってもロック評論をネタにした“良いものある、悪いものもある”が最高だった。普遍的な内容だ。

だけど後々あらためて楽曲を聴き素晴らしいと思った。プラスティックでエロティックでゴシックな歌詞に時事ネタを織り込んだポップな「Nice Age」、アーチー・ベル&ザ・ドレルズのカヴァー「Tighten Up (Japanese Gentleman Stand Up Please!)」はスカを意識したグルーヴィーな演奏もさることながら、キテレツな小林克也のヴォイスも面白い。ソリッドで近未来的なイメージの「Citizens of Science」、シャープなスカの「Multiplies」(「荒野の七人のテーマ」がモチーフに使われている)。この4曲はどれも大村憲司のギター・カッティングや音色が素晴らしい。ラストはコント“良いものもある、悪いものもある”に被さる坂本龍一作のオリエンタルな「The End of ASIA」。

このアルバムも売れに売れて限定10万枚を予約で越えてしまったため、限定解除となるほど売れてオリコン1位になった。スネークマン・ショーはこの後アルバム『急いで口で吸え!』と『戦争反対』を聴いたけど、どちらも面白かった。特に『急いで~』大好きだった。手元には無いんだけど、また聴きたいな。

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