Drop's「moderato」
部屋の窓や車窓から見えた風景、またはバンド自身が見せる(聴かせる)様々な窓としての楽曲。『WINDOW』と名付けられたDrop'sの3枚目となるフル・アルバムがリリースされた。
ジャケットはゼップの3枚目を意識したのかな、ジャケット下の円盤を回転させると、ジャケットのくり抜かれた幾つもの窓から色々な写真が見られるように加工された凝った作りのものだ。CD+DVD盤のDVDには、3曲のMVと2015年3月27日東京キネマ倶楽部でのライヴから3曲が収録されている。
1曲選んだのは作詞:中野ミホ、作曲:石橋わか乃(Key)による「moderato」。
キーボードの石橋が作っただけあってピアノとオルガンが活躍するが、イントロの荒谷の小刻みなギターカッティングからして小気味よいし、ベースラインも石橋が具体的に依頼したそうだ。ギター・ソロの入り方がヴォーカルのメロディとユニゾンで入るところもカッコいいし、その後のキーボード・ソロもドアーズみたいでいい感じ。終盤の歌詞 “何かつめたい飲み物をちょうだい 馬鹿みたいにきれいな色した 強いやつをね” ってところが決まってるなぁ。3分ちょっとの曲だけどソロの長さで長尺のエキサイティングなナンバーになるんじゃないかなっていう勝手な妄想も抱く。もうちょっと長く聴いていたい曲なんだな。
アルバムの他の曲を簡単に紹介。
アメリカン・ロックなイメージで勢いのある「NANANA FLAG」やメンバーの合いの手も珍しいんじゃないか「ローリン・バンドワゴン」はライヴで盛り上がりそう。ロカビリー調の「ホテル・カウントダウン」、アルバムからのリードトラックとしてMVが作られ、ストレンジな雰囲気を持ったハード・チューン「ハイウェイ・クラブ」、キャロル・キング(の「It's Too Late」あたり)に似た雰囲気を持った「三月のブルー」、Drop'sらしいロックンロール・チューンの「ビート」や「天使の雲」、冬と春にリリースされていたシングル表題曲の2曲「さらば青春」と「未来」、最後は鼻歌から作ったという「ベリーグッドモーニング」で、 “洗濯物の路地裏をくぐりぬけ 風を読んだら縦書きの坂道”という歌詞から中野ミホの東京に対するイメージが窺えるサニーサイドなナンバーで終了。
下記に列記したウェブ上のインタビューや対談でアルバムの内容が紹介されているので参照して欲しい。
CD Journalのインタビュー。
Real Soundのインタビュー。
ライヴでの観客に対するスタンスが今どき珍しい。
ナタリーでは対談。
アルバム収録曲「ハイウェイ・クラブ」のMVも番場秀一監督によるもの。