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『私たちが熱狂した 80年代ジャパニーズロック』執筆陣集合・80年代邦楽ロック鼎談

先日紹介した『私達が熱狂した80年代ジャパニーズロック』に寄稿している小野島大、中込智子、兵庫慎司の特別座談会が総合カルチャーサイト・Real Soundに掲載された。 この本を読み終わった後に、80年代ジャパニーズロックを振り返る評論家や当事者による座談会が載っていればよかったのになぁ、と思っていただけにタイムリー。 80年代邦楽ロック鼎談(前編 ) 80年代邦楽ロック鼎談(後編) んー読んでも今一つ “80年代ジャパニーズロック” というものが何だったのか見えてはこないが、この座談会での結果は “何でもありの面白い時代で、日本のロックの思春期、青年期” ということになっている。

『芸術新潮 特集This is 江口寿史!!』

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2015年12月、新潮社刊。 雑誌『芸術新潮』で江口寿史特集。『芸術新潮』の漫画家特集で購入したのは大友克洋の特集以来だ。表紙の“2 Cow Girl”は、楠見清著の単行本『ロックの美術館』のカバーイラストからで、アンディ・ウォーホル “ダブル・エルヴィス” へのオマージュ作品。誌上「江口寿史」展や大友克洋との対談、「パパリンコ物語」第一話再録など約60ページほどの内容。 誌上「江口寿史」展では “The 10th Music Revolution”(2015年)のポスターがカッコいい。ヤマハが主催しているだけあって、持ってるギターがヤマハSGで、カラーがホワイトっていうのもセンスいいなぁ。あと江口寿史が手がけたCDジャケットを集めた写真もあるけど、Shiggy Jr.やスカパラの最新シングル「嘘をつく唇」は写ってないな…。 一番の読みどころは大友との対談。楽しくもお互いにリスペクト感のある対談となっている。それと「パパリンコ物語」第一話の再録は面白い!この作品単行本未収録なんだ? “白いワニの事件簿”も掲載時のスリルと驚愕を思い出させてくれる。アート誌だけあって図版は大きくて綺麗。だけど、もうちょい特集のボリューム欲しかったなぁ。

『私達が熱狂した80年代ジャパニーズロック』

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2015年12月、辰巳出版刊。 1980年代の日本ロック・シーンを当時のバンド・メンバー、関係者の証言から振り返る。 注目のインタビューは、 仲井戸麗市:7ページ 杏子:3ページ 町田康:6ページ 梶浦徹也:4ページ 谷川千央(ブルーハーツの元マネージャー):6ページ 寺田恵子:4ページ 道下善之(元R&R Newsmaker誌編集者でBOOWYについて語る):4ページ というページ数(いずれも写真ページは除く)でちょっと少ない印象。文字も大きめだし。もうちょっとページ数増やして掲載してもよかったんじゃないのかなぁ。 また、証言・懐古談として、 森川欣信(キティ・レコードでRCサクセションの元担当ディレクター) 角田光代(作家・RCのファン代表か…) 田口トモロヲ ケラリーノ・サンドロヴィッチ に取材し4~5ページにまとめた文章。 他には、 ジャパメタや佐野元春やTMネットワークやインディーズブームや80年代後期バンドブーム、ネオGS、ガールズロックなどを音楽ライター達が振り返るコラムや考察、第1~5章までの各章には総論もある。まぁメジャーなところが主な内容の本だけど、このあたりには色んなバンド名も登場する。 んーこうして一冊読んでみて、アーティストのインタビュー/証言では仲井戸、町田、田口あたりは “熱狂” というよりは冷静な視線のほうが伝わってくる。BOOWYのブレイク、ブルーハーツ以後、インディーズ・ブーム、バンドブームの到来を “熱狂した” 80年代といったほうがよいかも。 町田康はこの本のインタビューで “なんとなくですが85年辺りまでと86年以降とでは、80年代もかなり違うかなと” と語っている。 総合カルチャーサイト・Real Soundにこの本のインタビューの一部が掲載されている。 町田康が語る80年代邦楽ロック 元ブルーハーツ梶原が証言するバンドブーム前夜

LOU REED, JOHN CALE & NICO『LE BATACLAN '72』

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2015年11月13日、ロック・ミュージック…バンドとオーディンス…を直接ターゲットにした攻撃から1ヶ月。 先日CDラックを何気なく見ていたら、バタクランはこの演奏が収録されたところだったんだな、と気付いた。 1972年1月29日、パリで再会したルー・リード、ジョン・ケイル、ニコが、ヴェルヴェッツ時代の曲とそれぞれのソロ曲を持ち寄ったアコースティックな一夜。公演はパリのテレビ局によって記録され、2003年になってAlchemy EntertainmentからCDがリリースされている。

My Wandering MUSIC History Vol.67 早川義夫『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』

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1969年11月10日、URCよりリリースのアルバム。 ジャックスの曲を初めて聴いたのは、たぶん小学校の上級生…四年か五年生頃だと思う…学校で聴いた気がする…。授業だったのかな…聴いたのはジャックスの「からっぽの世界」だった。なぜ学校で聴いたのか覚えていないし、タイトルやバンド名をその時覚えた訳じゃないけど “僕唖になっちゃった…” という強烈な歌は忘れられず記憶に残った。キャンディーズや百恵ちゃんや淳子ちゃんやらアグネス・チャンやジュリーなんかの華やかな歌をテレビで見聞きしていた10歳くらいの子供には、聴いてはいけない歌を聴いてしまったような気がしたものだ。深い井戸(表現が古いな)の闇の底から聴こえてくるような歌と演奏で、詳しい内容は分からないもののこんな歌があるのか、という強い印象を幼い心に植え付けられた。 1969年8月にジャックスは解散、70年代で既に伝説化し70年代後半ではレコードの入手が非常に困難であったが、自分でジャックスのレコードを聴いたのは1985年にリリースされた編集盤『レジェンド』だったし、 「からっぽの世界」を再び聴くことが出来たのはラジオ用のスタジオ・ライヴ音源ながら、1986年にソリッドがリリースしたシングル「からっぽの世界」まで待たねばならなかった。 『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』はジャックスのヴォーカリストだった早川義夫の初ソロ・アルバムで、URCから1969年11月にリリースされた。私が聴いたのは1980年にSMSがリリースした再発盤で、1982年~83年頃に確かKG君が貸してくれたんだと思う。 ピアノやギターやオルガンの伴奏のみの素朴な演奏に、みじめで情けない姿の歌を、けれど芯のしっかりした声で歌う。ハードでテクニカルな演奏やラウドな音を長く好んで聴いてきた耳に、すーっと入ってくる簡素なサウンド。スピーカーから流れたこのアルバムの音は、夜の静けさに染み込み、当時の私の部屋にしっくりと馴染んで、まるで家具のように収まっていた。カセットに録音して何度も聴いたなぁ…。ジャケットも奇妙でインパクトがある。 “まっ赤に燃える夕日をせなに”のところがキマっている、数え歌のような「わらべ唄」に始まり、ピアノのフレーズが切ない「もてないおとこたちのうた」、(俳優の)大河内伝次郎のためのエレジーと副題がついている「無用の介」は奇怪な音