山下毅雄「AFRO"LUPIN'68"INTSTRUMENTAL」

1999年、VAPからリリースのアルバム『ルパン三世 '71ME TRACKS』より。

TOKYO MXでファースト・TVシリーズ『ルパン三世』が放送されている。
今まで何回も再放送で見てるけど、今見ても新鮮だなぁ。ハードボイルドタッチで峰不二子(声優は二階堂有希子)のセクシーさも際立ち、 “魔術師のバイカル”や“お子様ランチ”や“摩毛狂介”等々、毎回登場するキャラクターも個性的。ストーリーも結構ぶっ飛んで、ハチャメチャなところもあり、無理に辻褄合わせをしないところも面白く見られる。それで音楽もやっぱり良いんだよね。このファーストTVシリーズは山下毅雄のスコアで、このアニメのアダルト感を増すことに貢献していると思う。

そんなファースト・TVシリーズ『ルパン三世』のオープニングを見ながらある時、 あれっ?この背景の写真どっかで見た事あるな、もしかしてLed Zeppelinの…と思ってレコーダーをスロー再生すると、やはり峰不二子の背景にロバート・プラントとジョン・ボーナムの写真が。サイケデリックな雰囲気に合わせたのだろうか…。たぶんYouTubeにあると思うので興味ある方は探してみては…。

オープニングに使われているのはチャーリー・コーセイがヴォーカル、 “ヤッパ・パ・パ”とコーラスが特徴的な「AFRO"LUPIN'68"」(実際は第4話から第15話までオープニングに使われた)。オープニングの音楽や映像は度々変更があったようで、なかなかマニア向け。
ファースト・TVシリーズ『ルパン三世』のサウンドトラックのマスターテープは紛失しており、マスターをもとにした商品化はされていない。なので再録音盤が作られたり、ME(Music & Effects)テープから楽曲を取り出した商品が発売されている。

今回ファースト・TVシリーズ『ルパン三世』の音楽が聴きたくてオリジナルを聴くには現在これしかないって感じて入手したのが『'71 ME TRACKS』。放送に使用していたMEテープから取り出したので、台詞は入っていないものの、音楽は使用された部分だけで収録時間は短く、効果音(足音とか銃声とか車やバイクのエンジン音とか)が被さったままだ。モノラルでの収録。

ブックレットの解説(このCDの企画制作者・高島幹雄)によると“全23話分のMEテープ改めて試聴して内容をチェック、使える音楽素材を探して、より良い箇所を編集、元のひとつの楽曲であろうと推測されるところまで一曲ずつ修復していく”という気の遠くなるような作業を経てリリースされている。色々な楽曲の様々なヴァージョン(数十秒~長くて1分40秒位)が全50曲、約47分の収録時間。まぁ楽曲の全編を良い音質で聴きたいという思いはあるが、これはこれで個人的には面白いし、楽しめる。

『'71 ME TRACKS』には数種類の「AFRO"LUPIN'68"」が収録されているが、第6話のオープニングに使用されたチャーリー・コーセイのヴォーカルが入っていないインスト版をバックに、 山田康雄の落ち着いたナレーションが被さる「AFRO"LUPIN'68"INTSTRUMENTAL」が収録されている。なるほどマニアック。

他にも伊集加代子のスキャットでムード最高な「SCAT THEME TV ORIGINAL」や波音のSEが涼し気な「LUPIN WALKIN' TV ORIGINAL」、ノンビリした曲調で語り風なチャーリー・コーセイがヴォーカルの「NICE GUY LUPIN TV ORIGINAL」等々。うーんDVD欲しくなったなぁ…。

CDと関係ないけどルパン三世ついて少し…。ルパン役の声優交代から見なくなったけど、あの時モノマネじゃないプロの声優で交代をして欲しかったと今でも思うのだけれど、今の声優しか知らない世代もいるほど長く続いたわけで、もう交代が良かった/良くなかったを超えて定着してるんだろうな。

ルパン三世は『カリオストロの城』の後、劇場用として押井守監督の作品が制作される予定だったという。1984年頃の事だ。 “ルパン三世はいなかった”といういかにも押井守らしいストーリー設定で、簡単なあらすじは、第二次世界大戦中にアフリカで発掘されてナチスドイツの手に渡り、そしてイスラエルに渡り、その後日本に持ち込まれた「天使の化石」を盗もうと企てるルパン達。その化石が実はプルトニウム(=原爆)で、ルパンが触れることで東京が吹っ飛んでしまう。ところがそれらがすべて虚構で、故にルパンだけが現実ではありえない、という話の難解さに制作は脚本の初稿段階で中止となった。確かに難解だがワクワクするストーリーだ。これはぜひ実現してほしかった。

1995年の山田康雄亡き後一度だけ声のそっくりさんでこの幻の押井版ルパン三世を作って、ルパン三世という存在を問い、消してしまえば、その後全く声の異なる声優を使おうが、ルパン四世にしてしまおうが、どうとでもなった様な気がするのだが。
まぁオールドファンは昔の作品を大事に思っていれば良いのかもね。

参考文献:キネマ旬報社『THEルパン三世FILES 増補改訂版』

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