ORCHESTRAL MANOEUVRES IN THE DARK「ELECTRICITY」
前回オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク (OMD)「Of All The Things We've Made」を紹介するのに改めてOMDを聴いていて、なんか「Electricity」のヴァージョン違いが随分あるな…と思い、ちょっと調べもの。ウィキペディアによると、
Version 1…ヴァージン傘下DinDiscから1979年9月にリリースしたシングル・ヴァージョン。エコー感、シンセの音など個人的にはこれが好み。
Version 2…ファクトリー・レコードから1979年5月にリリースされたシングル・ヴァージョン。OMD最初のシングル。シンセ、ドラムの音などややチープな音作りだがラフな魅力あり。
Version 3…DinDiscから再度1980年3月にリリースされた3回目のシングルで、ファースト・アルバムに収録されたアルバムヴァージョンを収録。Version 1をリミックスしたもの。
Version 4…セカンド・アルバム『オーガニゼーション』制作時にレコーディングされ、DinDiscのコンピ『DINDISC 1980』に収録されたヴァージョン。ドラムはマルコム・ホルムスが参加。
スタジオ・ヴァージョンは以上4つのヴァージョンがあるということだ。ウィキぺディアによればVersion 1がオリジナル・ヴァージョンとなっている。
ややこしいのはファクトリーからリリースされた最初のシングル(FAC 6)にはファクトリーのマーティン・ハネット(=マーティン・ゼロ)によるプロデュースの「Electricity」 がオーヴァープロデュースであるとして使われず、リヴァプールのスタジオでOMD自身とポール・コリスター(=チェスター・ヴァレンティノ)がプロデュースし録音した「Electricity」 が使われていることだ(さらにややこしい事にこちらはデモ・ヴァージョンだとかオリジナルとする説もある…)。そしてOMDがファクトリー・レコードを離れて契約したヴァージン傘下のDinDiscからリリースした初回のシングル(DIN 2) にファクトリーのシングルで使われなかったマーティン・ハネットがプロデュースしたヴァージョンの「Electricity」が使われている。そのためかUK盤などには“Factory Records Product”のクレジットがある。ジャケットもファクトリーがリリースしたピーター・サヴィルのデザインをレタリングを白に変えて使用。
3回目のシングル・リリース(DinDiscからのセカンド・リリースでカタログNo.は同じDIN 2)ではマーティン・ハネットのヴァージョンをリミックスしたアルバムヴァージョンの「Electricity」が使われている。イントロでシンセがすぐに聴こえてくるのが特徴。4つ目のヴァージョンはマイク・ハウレットがプロデュース、マルコム・ホルムスがドラムで参加したセカンド・アルバム『オーガニゼーション』制作時にレコーディングされた。このヴァージョンでは他にはないパートが中間部に追加されている。
右上のジャケはヴァージン/ビクターから1980年にリリースされた日本盤(VIPX-1531)で、 「Electricity」は3回目にシングル・リリースされたヴァージョン(=アルバムヴァージョン)、 B面にはオリジナルUK盤に収録されていた「Almost」ではなく「Messages」が収録されているが、こちらもアルバムヴァージョン。 ジャケもファースト・アルバムを模したデザインが使われ、“テクノ時代の申し子、イギリスのY.M.O.衝撃のデビュー!!” のキャッチコピーが印刷されている。
「Electricity」はOMDの前身バンドTHE IDで既に演奏されており、1978年に録音されたデモを収録したCDが2002年にリリースされていて、ヴォーカル:アンディ・マクラスキーとキーボード:ポール・ハンフリースの2人に加え、ギター、ベース、ドラムス(マルコム・ホルムス)のメンバーがいるバンド・サウンドで、シンセポップとなる前のガレージ・パンクな演奏が聴ける。
前回紹介した『PEEL SESSION 1979-1983』で書き忘れたけど、ピールセッションで「Electricity」は演奏されておらず、アルバム『PEEL SESSION 1979-1983』にボーナストラックとしてラストに収録されているのはスタジオ・ヴァージョンで、ファクトリー・レコードからリリースされたシングル(FAC6)ヴァージョン。