THE ROLLING STONES『EL MOAMBO 1977』
2022年5月13日、ユニバーサル・ミュージックよりリリースのライヴ・アルバム。
ローリング・ストーンズが1977年に唯一おこなったライヴ(2日間)で、シークレット(=ゴキブリス)・ギグ、しかも収容人数300のライヴ・ハウス・ショウという伝説の1977年カナダ・トロント、エル・モカンボにおけるライヴ盤がついに公式リリースされた。1977年3月5日のライヴ20曲を完全版で収録、3月4日の同所ライヴから5日に演奏されなかった3曲をボーナストラック収録、CDは2枚組全23曲のリリースとなった。ミックスはボブ・クリアマウンテン、マスタリングはスティーブン・マーカソンとスチュワート・ホイットモアによる。
エル・モカンボのライヴは1977年にリリースされたライヴ・アルバム『ラヴ・ユー・ライヴ』に「Mannish Boy」、「Crackin' Up」、「Around And Around」、「Little Red Rooster」の4曲が収録されていた。この4曲を比べてみると「Little Red Rooster」は明らかに演奏が異なるので『ラヴ・ユー・ライヴ』に収録されていたのは3月4日のライヴだったのだろう。他の3曲は5日のライヴだが、今回のリリースではベースの低音が出てるし、ストレートだったヴォーカルの音質も変わって演奏の音質はまろやかに聴きやすくなっていると思う。演奏中のオーディンスの声や手拍子はオフ気味。ドライでザワついた感じだった『ラヴ・ユー・ライヴ』とは違った聴感だ。
さて今回の『エル・モカンボ 1977』には「Honky Tonk Women」、「Brown Sugar」、「Jumping Jack Flash」、「Let's Spend Night Together」といった超有名曲や、『ブラック・アンド・ブルー』までの70年代のアルバム、70年代シングルからの選曲の他、ストーンズのファースト・アルバム(UK盤)の1曲目だったボビー・トゥループ〜チャック・ベリーのカヴァー「Route 66」、これもチャック・ベリーなど多くのカヴァー・ヴァージョンがあるビッグ・メイシオのブルース・スタンダードで、後にロンとキースのニュー・バーバリアンズでも取り上げてた「Worried Life Blues」のカヴァーなどを収録、3月4日のショウからは、メロウでジャジーな「Melody」、ストーンズ版ワーク・ソング「Luxuary」、『ブラック・アンド・ブルー』製作時に作られ後にアルバム『タトゥー・ユー』に収録される「Worried About You」の3曲が収録されている。
私が購入したのは日本盤CDで、SHM-CD仕様、ブックレットの“ 獰猛な猟犬のようなパンク ”を引き合いに出したポール・セクストンの英文解説翻訳、歌詞・対訳が付いている。写真の掲載が少ないのが残念。CD2枚組にしては定価4,400円(税込)は若干高めの設定だと思うけどね…。ジャケットはベロ・マークが型抜き(ダイカット)された仕様で、差し込んだブックレットのピンク(まはたブルー)が見える作り。