My Wandering MUSIC History Vol.92 THE ROOSTERZ『COLLECTION 1980-1984』
ザ・ルースターズのヴォーカリストが花田裕之になった最初の音盤『SOS』とまったく同じ日にリリースされたルースターズ初のベスト盤。デビュー・シングル「ロージー」から1984年初めにリリースされたシングル「サッド・ソング」までが収録され、1985年初頭にルースターズを脱退したヴォーカリスト大江慎也在籍時の7インチ・シングルを総括するアルバムとなったが、突然の脱退による大江不在にとまどい、立ち上がったばかりの花田ルースターズを見守ろうとする当時のファンにとっては、なんとも複雑な気持ちにさせるリリースだった。
ザ・ルースターズが1980年から1984年にリリースした7インチ・シングルは下記の7枚。
1980年11月1日リリース「ロージー c/w 恋をしようよ」
1981年2月1日リリース「どうしようもない恋の唄 c/w ヘイ・ガール」
1981年5月1日リリース「One More Kiss c/w DISSATISFACTION」
1981年7月1日リリース「GIRL FRIEND c/w WIPE OUT〜TELSTAR」
1982年3月1日リリース「レッツ・ロック c/w ゲット・エヴリシング」
1983年10月21日リリース「THE AIR c/w DESIRE」
1984年1月1日リリース「SAD SONG (Winter Version) c/w HEART'S EDGE (Remix Version)」
この中から「DESIRE」と「HEART'S EDGE (Remix Version)」の2曲を除き、年代順に「DISSATISFACTION」までをA面に、「GIRL FRIEND」からをB面に収録し、「どうしようもない恋の唄」と「ヘイ・ガール」の間に当時未発表だった「LEATHER BOOTS」を収録した13曲の“ルースターズ・ベスト・シングルス”。
このベスト盤が出た当時「THE AIR」と「SAD SONG (Winter Version)」はまだ売っていたと思うが「レッツ・ロック」までは廃盤で入手困難。アルバム・ヴァージョンと比べると入念に編集されたデビュー・シングルの「ロージー」、エンディングがフェイド・アウトの「One More Kiss」、アルバム未収録でポップな「ヘイ・ガール」、 アルバムとは別テイクでフレッシュ&煌びやかなアレンジの「GIRL FRIEND」、インスト・カヴァー2曲をメドレーにした「WIPE OUT〜TELSTAR」(「TELSTAR」はアルバムと違う別テイク)、日本語ヴァージョン「レッツ・ロック」( 歌詞の“キチガイ”が “フリークス”に変更された2ndプレス・ヴァージョン)、日本語ヴァージョン「ゲット・エヴリシング」、これらがまとまって収録されているのは、私のようなシングル2曲にお金を払うよりアルバムを購入することが多かったリスナーには非常にありがたかった。それに『à-GOGO』レコーディング時の蔵出曲「LEATHER BOOTS」はブルージーな魅力でレザーの匂いがたまらん。こんな名曲未発表にするんか、と思ったものだ。
シングル盤よりアルバムと思っていたものの「THE AIR」と「SAD SONG (Winter Version)」はリリース当時に買った。「GIRL FRIEND」は友人のH君から“隣町の電気屋のレコード・コーナーにまだ残ってるぜー”という情報をもらって買った記憶がある。アルバム『DIS』が出た頃かな?H君は「ロージー」のシングル持ってたんだよなー。「One More Kiss」は後々中古で購入。「レッツ・ロック」はH君かKBちゃんに借りて聴いたな。「どうしようもない恋の唄」は誰も持ってなかったので「ヘイ・ガール」はこのベストで初めて聴いた。
このアルバム13曲中、大江・花田・井上・池畑のオリジナル・ルースターズによる演奏楽曲が11曲。やはりこのサウンドだよな、という気持ちを持ったことは否定できない、罪なタイミングにリリースされたアルバムではある。
しかしオリジナル曲の全作曲とほぼ全ての作詞が大江慎也(「どうしようもない恋の唄」の作詞は南浩二、「One More Kiss」の英詞をM.Alexanderが作詞)なので、このリリースには、もしかしたらSave Ohe Shinya的な意味合いもあったのかな…。
カヴァー・アート・ディレクションは鏑木朋音で、ジャケット中央のタイトル文字の“THE ROOSTERZ COLLECTION”と楕円の縁取りがエンボス加工になっている。
封入されたリーフレットにはモノトーンだけど1984年までにルースターズがリリースした7インチ、12インチ、アルバムのジャケットが掲載されている。