MY PLAYLIST Vol.3『THE VERY BEST SONGS OF HIROYUKI HANADA』

花田裕之のソロでベスト盤…ソロ1枚目『RIFF ROUGH』から幅広く、というわけではなく、エッセンシャルな選曲で、部屋や車の中でもリラックスして聴けて、曲をスキップせずに通して聴ける。CD-Rに焼くときに収録時間目一杯ではなく、アナログLP盤1枚程度、カセットテープなら46分程度で10曲を選ぶ、という基準にした。

たぶん2005年リリースの『NASTY WIND』が出た頃に作ったものだと思う。花田裕之が作詞作曲した楽曲で、一応1995年にリリースした花田裕之名義5枚目のアルバム『ROCK'N' ROLL GYPSIES』以降のスタジオ録音を選曲の目安にしたものの、選曲されたアルバムは限定されたものになった。

以下、私の選んだ、THE VERY BEST SONGS OF HIROYUKI HANADA。

 1. 決めかねて
 2. 日に日に
 3. OOH LA LA
 4. かなわぬ恋
 5. 月が見ていた
 6. Freewheelin'
 7. 見はなされた夜
 8. ケンとメリー〜愛と風のように(GT-R Version)
 9. ハイウェイをおりて
10. 明日への橋

結局、アルバム3枚、シングル1枚からの選曲で、
Track1. 2. 9. アルバム『NASTY WIND』(2005年)
Track3.  4. アルバム『風が吹いてきた』(1996年)
Track5. 6. 7. 10. アルバム『NOWADAYS』(2004年)
Track8. シングル「ケンとメリー〜愛と風のように [GT-R Version]」(1995年)
という内容になった。全10曲で収録時間は約50分。

BUZZのカヴァー「ケンメリ」を除く9曲の全作詞は花田裕之、「見はなされた夜」の作曲が花田・井上富雄・椎野恭一で、他の8曲の作曲は花田裕之によるもの。

緩やかで穏やかなイントロの「決めかねて」でゆったりとスタート。無理して白黒つけない、右左決めつけない年齢になってきたという、くつろいだ曲。“先の予定は未定がいいです”という歌詞が好き。やや激しめ「日に日に」は、俺たちはただの砂粒で幻想の砂漠に埋もれるのか、穏やかな波の下に消えてしまうのか、と歌われる。井上のベースと椎野恭一のドラムのコンビネーションが素晴らしく、ブルージーな花田のハープもいい。

フェイセズ(アルバム『ウー・ラ・ラ』収録)と同名異曲の「OOH LA LA」は、あの娘と過ごした街が優しく見える頃に、輝く前に一人出かけよう、と歌われる想い出を断ち切る旅立ちの曲で、ややストーンズなムード。Kyonのマンドリンとアコーディオンがいい味付けだ。軽快なドラムのフィルで始まる「かなわぬ恋」。許されない切ない恋心をクールに歌う花田のヴォーカル、シンプルなビートに井上のベースラインも魅力。個人的にはすごく好きな曲。

フォーキーなアレンジの、こちらも別れの曲「月が見ていた」。
“忘れてしまおう 無邪気な淡い夢
 流れの果てる場所に 二人は立っている” 
という歌詞が切なく、花田のギター・ソロフレーズも泣ける。
花田のYEAH!という掛け声で始まる「Freewheelin'」。
“遠くの場所に 何かありそうだと
 足元も見ず 浮かれていたのさ” 
自分を見つめ捉え直した花田が自由気ままな道を行けよ、と歌う、スライド・ギターが効いたアップテンポのナンバー。

「見はなされた夜」は井上と椎野と花田の共作曲(作詞は花田)。ブルーな夜の情景をスライスした、悲しみと孤独のレゲエビート。結局カヴァー曲を入れてしまった「ケンとメリー〜愛と風のように(GT-R Version)」。ある年代には“愛のスカイライン”でお馴染み、BUZZの1972年ヒット曲のカヴァーで、花田は1995年にアルバムとシングルでリリースしているが、町から町へギター1本抱えて旅をする今の花田のスタイルによくあった歌詞の内容と思う。「ケンメリ」のシングル “GT-R Version”は、アルバム『RENT-A-SONG』ヴァージョンよりもセンターに寄せたミックス、女性コーラスも強調されており、後半のサビでは花田の “ムフフ〜”というハミングも聴ける。

風のように流れて町の路地から次の町の路地へと旅をする花田、そのスタイル“流れ”は、(消費)スピードが速く、金が掛かり、しがらみのあるハイウェイ(というメジャーな業界)をおりて下道(したみち)を自分のペースでゆっくりと、曲がりくねった道を自由に労を惜しまずに巡っていくものだ。「ハイウェイをおりて」は、花田の、俺はこうするよ、決めたんだ、という、ある時点での意思が歌い込まれた曲だと思う。ゆったりとしたリズムと肩の力の抜けた歌声が心地いい。

ウッド・ベースの響きで始まる「明日への橋」。ある種の諦念と達観が伝わるバラード。
ひとり手ぶらで丘にのぼる…何も持たずに来たのに無邪気なかけらを丘に埋めた、という歌詞が秀逸。詩人花田としての更なる円熟を感じさせる。誰もがかつての無邪気さを封印し、あの日の自分と誰かを失った、そんな思いを抱いて生きているのではないか。それでも明日への橋を渡り、あの日の自分を忘れずにいる。
リラックスして聴ける選曲と書いたけど、この曲はヘッドフォンをしてじっくり聴くと激しく感情を揺さぶられる。

右上のジャケ写は、選んだ曲を収録したアルバム3枚、CDシングル1枚、それと『風が吹いてきた』に付属していたフォト3枚。

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