投稿

7月, 2023の投稿を表示しています

PANTA「MOONLIGHT SURFER」OR "LEGENDARY SURFER"

イメージ
パンタ(中村治雄)が他アーティストに提供した楽曲の中で一番有名かつカヴァーも多いのは「ムーンライト・サーファー」だろう。パンタが作詞作曲し、1977年に石川セリに提供。シングルにもなった。その後、桑名晴子がカヴァーし、やはりシングルになりB面は英語詞ヴァージョンだった(英詞はLinda Hennric)。 私的にヒットしたのはパンタが作曲(作詞は青木茗=金井夕子)した岩崎良美のシングル曲「Vacance」だったな。1982年7月21日リリースで爽やかな夏の雰囲気と少しセンチメンタルな感じの歌詞にメロディそしてアレンジ。ぜひ広く聴いて欲しいサマーソング。他の80年代アイドルでは堀ちえみ「幼な馴染み」、石川秀美「Rule」、荻野目洋子「昨日より輝いて」、伊藤さやか、伊藤かずえ、太田貴子にも提供曲あり。 石川セリには、後にパンタも歌詞を変えてセルフカヴァーした「スノーキャンドル」、名曲「真珠星(Pearl Star)」、「ひとりぼっちの日曜日」、「Fairy Tales」を提供、他に麻生レミ「Same Again」、杏里「白いヨット」、松原みき「予言」、山下久美子「××」、桑江知子、高樹澪などの女性シンガーにも提供している。 男性シンガー、バンド関連では白竜、柴山俊之、沢田研二、チェッカーズ、ルースターズ、ビートたけし等に提供。 アルバムのプロデュースをした 小森みちこ『REMEMBER』 も忘れがたい1枚。 近年ではSKI(制服向上委員会)に多数の曲を提供していた。 右上の写真はパンタが提供したアーティスト、バンドのアルバム、シングルの一部。石川セリのアルバム『星くずの街で』は黒ジャケットもあるがこれは白ジャケット。パンタが4曲の歌詞を提供したパフォーマンス・グループ時代錯誤のアルバム『冒険倶楽部』。WELCOMEのアルバム『BLUESY』(1981年)には「ミスティデイ・ミスティナイト」の歌詞を提供、WELCOMEは後にパンタと活動を共にするギタリスト菊池琢己が在籍していたバンド。CDは制服向上委員会のアルバム『No! Make』(2000年)で、パンタは作曲2曲と作詞作曲した「煌きの後に」を提供している。シングルは石川セリ「ムーンライト・サーファー c/w ミッドナイト・ラブ・コール」、桑名晴子「ムーンライト・サーファー c/w MOONLIGHT SURFER(英

I WAS TOUCH THE HAND OF PANTA

イメージ
新宿の紀伊國屋書店でパンタをゲストにトークイベント&サイン会があるのを知ったのは情報誌「ぴあ」か「シティーロード」を読んでだったかな。それともライヴで告知があったのか。友人と二人で出かけ、文房具屋でサインを書いてもらうために色紙を購入した。 会場の仕切られたスペースには20人くらい参加者がいたかな。参加は無料。パンタに書いてもらったサインの日付は1983年12月1日、とするとアルバム『SAVLAGE(浚渫)』リリース後だったのか。販売用のLPも置いてあり確か頭脳警察のサードが売ってた気がする。スペースを仕切っているボードには三里塚関連やマルコムXの記事の切り抜きが貼ってあった。まぁパンタを呼んで何を語らう会なのか今となっては全く思い出せないが、そういう政治的な話は出ていたと思う。ひととおり会の主催とパンタが話を終えた後(1時間位はしていたかな)、質問コーナーもあった。どんな話の流れかよく覚えていないが、パンタが「これまでリリースしていない未発表曲をリリースする計画がある。同じビクターのARBとかとあわせてオムニバス形式で」みたいな話があったと思う。実現しなかったけど…。その後列に並んでサインを書いてもらったのだが、その時握手したパンタの手は大きく、がっしりと力強く、とても印象に残るものだった。 1989年か1990年、泉谷しげるwith LOSERのライヴを観にいった渋谷公会堂のロビーでパンタ発見。開演前だったと思う。パンタって泉谷のライヴ観に来るんだ、と思いつつすたすたと近づいて「パンタのソロやHALのアルバムはCD化しないのか」などと不躾に話しかけてしまった。パンタは丁寧に「まずは頭脳警察からCD化だね」と答えてくれて、またがっしりと握手してもらった。 2005年3月に菊池琢己と赤坂グラフィティでおこなったライヴ、楽屋が客席の後ろにあったのでライヴ終了後、客席の真ん中の通路を歩いてくるのだが、この時のライヴに感動した私は引き上げてくるパンタに向かってハイタッチ、応えてくれたのがとてもうれしかった。 思えば歌手、アーティスト、バンドマンに限らずいわゆる著名人で握手したのはパンタだけだな。 右上の写真は紀伊國屋のトークショーで書いてもらったパンタのサイン。写真の左下はミニコミ『日本ロック』の創刊号でパンタ特集。奥付けを見ると1984年5月10日発行。このミニコミどこ

追悼・PANTA

イメージ
PANTA(本名:中村治雄)が2023年 7月7日、肺癌による呼吸不全と心不全のため73歳で亡くなった。 初めて聴いたパンタのレコードは『 TKO NIGHT LIGHT 』だから、かれこれ40年は聴いてるかな。友人に借りたり、中古でも買ったり。頭脳警察『1』の再発は事件といってもいいだろう。近年リリースは全て聴いてるわけじゃないが(最近で購入したのは『絶景かな』)。 頭脳警察〜ソロ〜PANTA&HAL〜ソロ〜再結成頭脳警察までのアルバムはどれも聴き込んだしどれも思い入れはあるが、個人的に特に思い出深いのは『 SALVAGE(浚渫) 』かな。スウィート路線から再び骨太なロックに戻り、リアルタイムで聴いた初めてのパンタの“ロック”アルバムでもあった。従えたパーマネントなバンド、 ギター:鈴木匠 ベース:中谷宏道 キーボード:中山努 ドラム:西山嘉治 というメンバーもみんな好きだった。 私が初めてパンタのライヴを観たのは1983年6月19日の新宿ロフトで、アルバム『SALVAGE(浚渫)』リリース前、確かスウィート路線の曲も数曲演奏してた覚えがある。今残っているチケットから私が出かけたパンタ(頭脳警察)のライヴ(複数アーティスト出演含む)を振り返ってみると、 1983年6月19日 新宿ロフト 1983年8月31日 渋谷LIVE-INN 1983年10月15日 日比谷野外大音楽堂「SATURDAY NIGHT CLASH」 1983年12月11日 新宿ロフト 1984年5月7日 ロックフェス東大 1984年7月4日 新宿ロフト 1984年11月23日 慶應大学三田西校舎518番教室 1986年12月12日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・鈴木慶一 1986年12月13日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・鮎川誠 1986年12月14日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・遠藤ミチロウ 1988年2月6日 渋谷公会堂「THE COVER SPECIAL」 1988年7月19日 渋谷LIVE-INN 1988年11月5日 guest 花田裕之 明治大学駿台 641号室「GO-GO カルチェラタン」 1989年10月23日 浅草常盤座 1990年11月2日 頭脳警察 明治大学駿河台校舎記念館「御茶ノ水頂上作戦 疾風怒濤篇」 1991年2月27日 渋谷公会堂 頭脳警察「最

2023年7月7日10時44分 PANTA死す

イメージ
pic from『The Brain Police 1990-1991』(JICC) book pic from ZK album『7』booklet

My Wandering MUSIC History Vol.100 THE FEELIES『CRAZY RHYTHMS』

イメージ
1980年リリースのアルバム(オリジナルはスティッフよりリリース)。 “ 場内の照明は暗くなった。火のような文字が立体的に、暗黒の中で宙に浮いたように現れた。 「ヘリコプター上の三週間。超肉声歌曲附き、 合成会話附き、 天然色、 実体鏡式触感映画(フィーリ)、 芳香性オルガンの同時的伴奏」  「あなたの椅子の腕についているその金属製の把手を握るのよ」とレニーナはささやいた。 「そうでなきゃフィーリの効果はちっとも感じないのよ」” オルダス・ハックスリイ著・松村達雄訳『すばらしい新世界』( Aldous Huxley『Brave New World』)早川書房世界SF全集10・1968年刊)より。 オルダス・ハクスリーのディストピア小説『すばらしい新世界』の中に登場する、 均一に安定した超管理社会で人々の欲望を管理し叶えるために、見て聴くだけの映画ではなく、麝香の香りが漂い、立体映像とともに電撃的な快感を体感できる娯楽装置 “ フィーリー “。 その官能的な娯楽装置から名付けられたバンド名、ザ・フィーリーズ。パンクからニューウェイヴと新しい音楽ムーブメントが台頭していた1980年、 その近未来的で官能的な響きを持つバンド名が相応しい。 ニュージャージー州ヘイルドンの学生だった、グレン・マーサー とビル・ミルトン を中心に結成、ベースがキース・クレイトン 、ドラムがアントン・フィアに代わり、1980年にスティッフ・レコードからリリースされたファースト・アルバム『クレイジー・リズム」はこのメンバーで録音された。   このアルバムは1984〜1985年頃、同級生だったYくんがカセット・テープで聴かせてくれて、数年後池袋の山野楽器でドイツLine Recordsからの再発盤(1986年)を見つけ購入した、 ジャケットの印象もあり神経質で線の細いサウンドを想像するが、そんな繊細さもありつつ、パーカションの大胆な使用やギターアンサンブルなど、バンド名の由来通りなかなか肉感的でダイナミック、アグレッシヴでスピード感を持ったロックンロールなサウンドだと思う、 緊張感に満ちた静けさの中から拍子木のような響きと共に始まる「The Boy With The Perpetual Nervousness」、ポップでスピーディーな「Fa Cé-La」、ヴェルヴェッツ的な「Loveless Lov