私の放浪音楽史 Vol.100 THE FEELIES『CRAZY RHYTHMS』

1980年リリースのアルバム(オリジナルはスティッフよりリリース)。

“ 場内の照明は暗くなった。火のような文字が立体的に、暗黒の中で宙に浮いたように現れた。 「ヘリコプター上の三週間。超肉声歌曲附き、 合成会話附き、 天然色、 実体鏡式触感映画(フィーリ)、 芳香性オルガンの同時的伴奏」 

「あなたの椅子の腕についているその金属製の把手を握るのよ」とレニーナはささやいた。 「そうでなきゃフィーリの効果はちっとも感じないのよ」”
オルダス・ハックスリイ著・松村達雄訳『すばらしい新世界』( Aldous Huxley『Brave New World』)早川書房世界SF全集10・1968年刊)より。

オルダス・ハクスリーのディストピア小説『すばらしい新世界』の中に登場する、 均一に安定した超管理社会で人々の欲望を管理し叶えるために、見て聴くだけの映画ではなく、麝香の香りが漂い、立体映像とともに電撃的な快感を体感できる娯楽装置 “ フィーリー “。 その官能的な娯楽装置から名付けられたバンド名、ザ・フィーリーズ。パンクからニューウェイヴと新しい音楽ムーブメントが台頭していた1980年、 その近未来的で官能的な響きを持つバンド名が相応しい。

ニュージャージー州ヘイルドンの学生だった、グレン・マーサー とビル・ミルトン を中心に結成、ベースがキース・クレイトン 、ドラムがアントン・フィアに代わり、1980年にスティッフ・レコードからリリースされたファースト・アルバム『クレイジー・リズム」はこのメンバーで録音された。
 
このアルバムは1984〜1985年頃、同級生だったYくんがカセット・テープで聴かせてくれて、数年後池袋の山野楽器でドイツLine Recordsからの再発盤(1986年)を見つけ購入した、

ジャケットの印象もあり神経質で線の細いサウンドを想像するが、そんな繊細さもありつつ、パーカションの大胆な使用やギターアンサンブルなど、バンド名の由来通りなかなか肉感的でダイナミック、アグレッシヴでスピード感を持ったロックンロールなサウンドだと思う、

緊張感に満ちた静けさの中から拍子木のような響きと共に始まる「The Boy With The Perpetual Nervousness」、ポップでスピーディーな「Fa Cé-La」、ヴェルヴェッツ的な「Loveless Love」、「Original Love」は田島貴男率いるバンド名の由来となったと聞いたことがあるな。ビートルズのパーカッシブなカヴァー「Everybody's Got Something To Hide (Except Me And My Monkey)」、タイトルトラック「Crazy Rhythms」美しき狂乱のリズムを聴け!

Reissue Line Records 1986 Germany LILP4.0068 White Vinyl 


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