追悼・PANTA

PANTA(本名:中村治雄)が2023年 7月7日、肺癌による呼吸不全と心不全のため73歳で亡くなった。

初めて聴いたパンタのレコードは『TKO NIGHT LIGHT』だから、かれこれ40年は聴いてるかな。友人に借りたり、中古でも買ったり。頭脳警察『1』の再発は事件といってもいいだろう。近年リリースは全て聴いてるわけじゃないが(最近で購入したのは『絶景かな』)。

頭脳警察〜ソロ〜PANTA&HAL〜ソロ〜再結成頭脳警察までのアルバムはどれも聴き込んだしどれも思い入れはあるが、個人的に特に思い出深いのは『SALVAGE(浚渫)』かな。スウィート路線から再び骨太なロックに戻り、リアルタイムで聴いた初めてのパンタの“ロック”アルバムでもあった。従えたパーマネントなバンド、
ギター:鈴木匠
ベース:中谷宏道
キーボード:中山努
ドラム:西山嘉治
というメンバーもみんな好きだった。

私が初めてパンタのライヴを観たのは1983年6月19日の新宿ロフトで、アルバム『SALVAGE(浚渫)』リリース前、確かスウィート路線の曲も数曲演奏してた覚えがある。今残っているチケットから私が出かけたパンタ(頭脳警察)のライヴ(複数アーティスト出演含む)を振り返ってみると、

1983年6月19日 新宿ロフト
1983年8月31日 渋谷LIVE-INN
1983年10月15日 日比谷野外大音楽堂「SATURDAY NIGHT CLASH」
1983年12月11日 新宿ロフト
1984年5月7日 ロックフェス東大
1984年7月4日 新宿ロフト
1984年11月23日 慶應大学三田西校舎518番教室
1986年12月12日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・鈴木慶一
1986年12月13日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・鮎川誠
1986年12月14日 新宿ロフト「パンタ風雲録」ゲスト・遠藤ミチロウ
1988年2月6日 渋谷公会堂「THE COVER SPECIAL」
1988年7月19日 渋谷LIVE-INN
1988年11月5日 guest 花田裕之 明治大学駿台 641号室「GO-GO カルチェラタン」
1989年10月23日 浅草常盤座
1990年11月2日 頭脳警察 明治大学駿河台校舎記念館「御茶ノ水頂上作戦 疾風怒濤篇」
1991年2月27日 渋谷公会堂 頭脳警察「最終指令自爆せよ!」
2001年6月9日 日比谷野外大音楽堂 頭脳警察「WE ARE THE BRAIN POLICE !」
2001年9月6日 SHIBUYA-AX 頭脳警察「TOUR2001 FINAL」
2002年4月27日 東京厚生年金会館 頭脳警察「ROCK LEGENDS VS スモーキー・メディスソ」
2002年10月25日 東京厚生年金会館 頭脳警察「ROCK LEGENDS Vol.2 VS 四人囃子」
2005年3月11日 featuring 菊池琢己 赤坂グラフィティ「荒城の月 ONE DOUBLE!!」
2007年3月11日 陽炎 新宿ロフト「PANTA〜陽炎1st cruisin'」
2007年9月24日 陽炎 初台DOORS

この他にもトークイベントやインストアライヴ、他のアーティストのゲストもあったと思うが40年聴き続けてきたにしてはそれほどライヴに通ってないか。田舎に住んでるので東京へ出ていくのは金も時間もかかるんだけど、1986年12月のパンタ風雲録4DAYSのうち3日間よく通ったな。パンタ・バンドをバックにゲストの鮎川が歌った「Around And Around」、ミチロウが歌った「Help」…その二人もいないのか。確かライヴ終演が遅くなり、自宅最寄駅に行く電車がなくなって途中から歩いて帰った日があり3時間は歩いたんじゃないかな。1989年の常盤座では随分頭脳警察の曲を演奏するなと思ってたら翌年頭脳警察再結成、1991年2月の渋谷公会堂での「あばよ東京」は壮絶だった。大量のスモークでステージ上では何が起こっているのかわからない状態に。この日のライヴは後にヴィデオでリリースされてその時の模様を確認することができた(曲の最後パンタがギター叩きつけてた)。パンタ、トシ、メンバーのギター:藤井一彦、ベース;下山アキラ、ドラム:後藤升宏も最強だった。その後10年パンタ観てないね。藤井一彦のギターが好きだったから再々結成頭脳警察も観に行った。

パンタは事あるごとにチャート上位を狙っていたけど、叶わなかったなぁ。スウィート路線もそうだったが、再結成頭脳警察でも「万物流転」をシングルにしてトップテン入りを目指すって言ってたし、やはり頭脳警察「時代はサーカスの象にのって」のCDシングルも売りたい、チャート入りしたい、ヒットさせたいと言っていたのだが。

ラヴ・ソングだけじゃない、政治、時事、歴史、文学など多様なテーマを盛り込んだ歌詞をメロディアスなヴォーカルにのせた曲も数多くある。こういう曲がテレビ、ラジオから流れ、この国のチャート上位にランクインする日を私も夢見ていた。

パンタが歌えば、作品をリリースすれば、その時が“激動の時代”と言われてきた。1970年の頭脳警察デビューライヴ以来、まさに世界が激動する2023年まで歌い続けてきたパンタ。たくさんのロマンティックな、ダイナミックな、素敵な歌を、刺激的な歌をありがとう。今はひととき静かに眠れ。

Again & Again 何の為に生き
Again & Again 誰の為に散る
Again & Again 疑問くり返し
Again & Again 答えなど無意味なもの
こじつけでいいのさ

「Again & Again」from album『R☆E☆D』

RIP…。


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