My Wandering MUSIC History Vol.103 小山卓治「傷だらけの天使」

1983年12月12日、CBSソニーからリリースのシングル。

ファーストアルバムから半年で届けられた新曲は1970年代中頃にショーケンと水谷豊が出演していたテレビドラマと同タイトル。私もいろんな面で影響されたドラマ『傷だらけの天使』については以前も書いた

激動の1960年代が終わり、シラケてゆく1970年代を体験した小山卓治がその1970年代を振り返った曲だという。兄弟になった俺達、半端な自由と脆い絆、そして裏切り。曲の後半で歌われる歌詞、“スクリーンの中で男がこう歌う「友よ答えは風の中にある」”は、おそらく映画『バングラディシュ・コンサート』で「風に吹かれて」を歌うディランだろう。

ダイナミックなイントロで始まり、シンプルなビートと掻き鳴らされるアコースティック・ギターのストロークが歌を支えていくが、曲の後半、“せめてこれくらいの格好が お似合いだってあてがわれた 俺達の時代ってやつに せめて最後のお別れを”と歌った後、急激にテンポアップしてフェイドアウト。

B面には「悪夢」を収録。悪夢のような現実の日々、当時一部で広がっていたハンド・イン・ハンドな盛り上がりを一蹴し、自分を欺き、貶めようとする者に抗い、望むものは傷つくことも傷つけることも恐れず、自分の手を汚さなければ掴み取れない。これまでも小山卓治が幾つかの曲で歌ってきた、誰かにあたえられたもので満足することに対する拒絶、あたえられたものじゃなく自分が真に望むものを探し掴み取ること。この曲でもそのために走り出せと歌う。フォーキーな雰囲気がありつつもロッキンなアレンジがいい。

このシングルのレコーディングはファーストアルバムから引き続き小山卓治 with THE CONXで行われており、
ドラム:付岡オサム
ベース:大庭チンタ
E.ギター:MOONEY
E.ギター:金井タロー
ピアノ&オルガン:ロケット・マツ
サックス:スマイリー・松本
というメンバー。アレンジは「傷だらけの天使」がプロデューサーの前田一郎&THE CONX、「悪夢」はTHE CONXが担当した。モノクロのジャケット写真は井出情児によるもの。

下のジャケ写は作曲・大野克夫、演奏・井上堯之バンドのドラマ主題曲。1974年リリースの4曲入り7インチシングル。
小山卓治のベストをカセットに録音して作った時、この主題曲を入れクロスフェードで小山卓治の「傷だらけの天使」が始まるように編集したな。

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