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THE ROOSTERS 『CMC』

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1983年7月1日、Shan-Shanからリリースの12インチ・シングル。  SIDE A : 1. CMC(作詩/大江慎也 作曲/ザ・ルースターズ) シドニー・ルメット監督、ヘンリー・フォンダ主演の映画『未知への飛行』に影響を受け作られたと言われている曲で、 サマービーチを突然襲う爆撃の様子が歌われている。 『未知への飛行』は、ユージン・バーディックとハーヴィー・ウィーラーによって書かれた小説『未確認原爆投下指令』(原題:『Fail Safe』) を原作とした映画で、冷戦下のソ連に誤って侵入したアメリカの核戦略爆撃機を呼び戻す努力と、 これが故意ではないとソ連の首相を説得するアメリカ大統領や戦略空軍司令部の緊迫したやり取り、徐々に近づく核戦争の恐怖を描いた。爆撃機の積んでいるのは20メガトンの核爆弾。これをモスクワに投下する事態になれば、 米ソ間の全面核戦争になり、世界の終末が訪れることになる。そして、アメリカ大統領の下した命令は...。 もともとは「サマー・サマー・サマー(巡航ミサイル・キャリア)」という題名だったが、 リリース時にはCruising Missile Carrierの頭文字をとったタイトルに改められた。 “バカンスを楽しむ人々は~”の部分を除けばスリーコードで作られたルースターズ型のロックンロール・ナンバーで、そのビート感は群を抜く。 イントロのギターで警報が鳴り響き、フィード・バックが爆撃機の飛来を告げる。 その前のめりに突き進む演奏は“磯ガニ”が登場する少しユーモラスな歌詩、ポップな井上のベースラインとマッチして緊張感を生み出す。 “Summer Day, Summer Beach, Summer Sun”の部分のドラミングは、The Clashの「Tommy Gun」を彷彿とさせるフレーズだ。 2. カレドニア(作詩/大江慎也 作曲/ザ・ルースターズ) 抽象的なフレーズが並ぶ歌詩。“飛んでゆく、棒一本持って”、“旋風をたてて”、“水しぶきをあげて”、“In To Deep Blue Sea” などのフレーズからは前の曲のようなミサイルや潜水艦などが頭に浮かぶ。 スカルノ峰やウギンバはインドネシアの地名、ナッソウはババマの首都。 井上の低くうねるベース・ラインが印象的だが、 このベースを前面に出して(ドラムやギターは抑えられた)Remixした

THE ROOSTERS 『ニュールンベルグでささやいて』

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1982年11月21日、Shan-Shanよりリリースの12インチ・シングル。 たった1日で音録り、ミックスダウンまで全てを終らせるという予定で行われた1982年9月末のレコーディング。 ファースト・テイク重視という思い切りの良さで、いままでライブで練り上げてきたアレンジ、フレーズを盤に刻み込む。 少し前、7月4日に行われた東京千代田公会堂のワンマン・コンサート”Let's Rock”では、 既にこのセッションから5曲が演奏されていた。 このコンサートの為に5月末から週10時間のリハーサルを続けられていたというし、録音の数カ月前からライブのセットに組み込んできていたので、 新曲を短時間でしかも曲の持つ最良の部分を引き出して録音することにはかなり自信があったのだろう。 機材的にもワンギター、ワンアンプで、大江はフェンダー・リードII+VOXアンプ、花田はフェンダー・ストラト+HIWATTアンプ、 井上はフェンダー・ジャズベース+ACOUSTICアンプの組み合わせのみ。池畑はドラムセットにゴング・バスを加えている。 実際には大江が体調不良のためレコーディングは中断となり、10月に入ってダビング、ボーカル・トラックの録音とミックスダウンが行われ、 計4日間をかけた。このレコーディング・セッションで録音された曲は、 "ニュールンベルグでささやいて" "撃沈魚雷" "バリウム・ピルス" "ロージー" "サマー、サマー、サマー"(巡航ミサイル・キャリア=C.M.C) "ニュー・カレドニア" "ゴミ" "ゴー・ファック" の8曲。 "ニュールンベルグ"から"ロージー"までの4曲が、45回転30cmミニ・アルバム『ニュールンベルグでささやいて』として1982年11月21日に日本コロムビアのShan-Shanレーベルからリリースされた。 SIDE A : 1. ニュールンベルグでささやいて(作詩/大江慎也・中原聡子 作曲/ザ・ルースターズ) 13歳で麻薬中毒、薬を買う金に困り14歳で娼婦となったベルリンの少女Christiane F.の記録 『かなしみのクリスチアーネ・われら動物

1984『BIRTH OF GEL』

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1985 年 3 月にルースターズを脱退してからおよそ 1 年後、 新宿ロフトの 1984 のステージで歌詩を書いた紙を見ながら「 I'm Waiting For The Man 」 を歌う大江慎也がいた。 ルースターズの別ユニットとして始まった1984は、ルースターズからの池畑、井上、安藤、大江の脱退に伴って やがてプロデューサー・柏木省三のバンドへと変わっていった。メンバーも84年以降ルースターズに在籍していたベースの柞山一彦のほか、ルースターズのジャケット・コンセプト等ビジュアル面で関わっていた鏑木朋音をキーボードに、 ギターは当時Sence of Viewというバンドにも在籍していた富永保というラインナップ。 このメンバーにデイト・オブ・バースを迎え、 ゲスト・ボーカリストとして大江慎也が参加して録音されたのが『Birth of Gel』だった。 先のロフトでの大江の飛び入り参加は、音楽活動再開にむけた一歩であり、このアルバムの参加から初のソロアルバム発表へ続く足がかりとなる。 大江はタイトル・トラックの「Birth of Gel」とドアーズのセカンドアルバムから「Strange Days」のカバーで ボーカルをとっている。「Birth of Gel」はつやつやした演奏にのせて英語で歌われるポップな曲。 「Strange Days」はほぼ原曲に忠実なアレンジ。 この他、US初期パンクのリチャード・ヘル「The Hunter Was Drowned」は原曲のサックスに変わりキーボードをフューチャー、 、モダン・ラヴァースの「Pablo Picasso」はつこっみ気味の柏木のボーカルもあわせてかっこ良く仕上がっている。 カセットや『逆噴射家族』のサウンドトラック・アルバムにも収録されていた「Space 1999」は、 オーケストラ・ヒットやアコースティック・ギターのソロを入れてアレンジしているが、だんだん悪くなっている気がする。 日本的な印象の「春霞」、「Sorrow」という曲名は『爆裂都市』のサントラにも入っていたが違う曲で、 曲調は『逆噴射家族』の雰囲気に近い。作曲の“Jun”というクレジットは下山のことか。1984初期のパーカシッブな特徴はなくなり、「Bad Dreams」 といった曲ではトム・ヴァーレインのような引き攣ったギターが目立つようになっ

UFO『STRANGERS IN THE NIGHT』

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1979年、クリサリスよりリリース(UK)のライブ・アルバム。 1970年にデビューしたUFOはシングル「C'mon Everybody」(エディ・コクランのカバー)がドイツやフランス、日本でヒット、1971年には来日もしている。 73年にはギタリストのミック・ボルトンが脱退、ドイツのスコーピオンズからマイケル・シェンカーを引き抜き、1974年リリースのアルバム 『現象』後、本国イギリスとアメリカにおいても人気を獲得してゆくが、 グループ内の葛藤やドラッグ問題なども絡み、マイケル・シェンカーが一時失踪するなど不安定な面もあった。 マイケル復帰後1978年に『宇宙征服』をリリースするが、同年11月にマイケル・シェンカーは正式にグループを脱退してしまう。 その1978年末にリリースされたこのライブ・アルバムは、同年アメリカのシカゴ、ルイズヴィルでのライブを収録したものだ。 アナログ・リリース時(89年CD化の際も)は「ナチュラル・シング~アウト・イン・ザ・ストリート」のメドレーで始まる13曲入りだったが、 2000年のリマスター盤CDリリース時にエクスパンデッド・エディション(右上のジャケ写)として15曲入り、 曲順も当時のセットリスト通りに並び替えられた。音質もかなり良くなっていると思う。 収録した会場のクレジットもクリーヴランド、ヤングスタウンが追記されている。 “Hello Chicago!”の掛け声は今までも入っていたと思うが、始まりの曲は「ホットン・レディ」で、 ライブの始まりに相応しい歌詩を持った曲。続く「チェリー」ともにこのライブ当時最新アルバムだった『宇宙征服』からのナンバー。 この2曲が追加された曲。 歌メロとマイケルのギターが絡む「オンリー・ユー・キャン・ロック・ミー」、 世界中のギターキッズがコピーをしただろうギターフレーズで始まる「ドクター・ドクター」、 歌詩の内容も含め緊張感を孕む「ライツ・アウト」、時にハイ・テンションに、時にスローダウンして弾きまくる マイケルのギターが聴きもの「ロック・ボトム」は11分に及び構成もよく出来ている。 これらUFO代表曲の他にも、 ドラマティックなラヴ・ソング「ラヴ・トゥ・ラヴ」。 へヴィな「マザー・メアリー」や「ディス・キッズ」。 ボトルネックをちょこっと聴かせる「アイム・ア・ルーザー」など、捨て曲な

TOM ROBINSON BAND「I SHALL BE RELEASED」

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1977年、EMIからリリース (UK)のシングル 『Bringing It All Back Home』、『Highway 61 Revisited』、『Blond On Blond』3枚のロック・アルバムを 発表後の1966年7月、ボブ・ディランはバイク事故により休養を余儀なくされる。67年6月頃から、のちのThe Band となるThe Hawksとともにウッドストックの農家、通称ビックピンクの地下室で毎日のようにセッションを重ねた。 このセッションの中から生まれた曲が「I Shall Be Released」で、ディランとしては71年にリリースされた 2枚組みベストアルバム『Greatest Hits Vol.II』に収録された。といってもThe Hawksと共に録音したものではなく、 このベスト盤のために71年にハッピー・トラウムと共に再録音したものだ。ウッドストックでのセッションは 91年になって『The Bootleg Series Vol.1~3」の中で発表されている。 Tom Robinson Band(TRB)はカフェソサエティーというバンドを経てトム・ロビンソンが1977年に結成したバンドで、 自由や人権に対する強烈なメッセージをパワーポップな演奏にのせて歌っていた。 TRBの「I Shall Be Released」は1977年9月にリリースしたデビューシングル「2-4-6-8 Motorway」のカップリング曲で、 証拠がはっきりしないままに15年の懲役刑に処されたジョージ・インスを支援するFree George Ince Campaignの為に取り上げたものだ。 きらびやかなアコースティック・ギターのストロークで始まり、ベース、ボーカル、オルガン、ドラムと加わり、徐々に盛り上がっていく。 このカバーバージョンには、2番と3番の間に“手遅れになる前に彼を得るのだ”という詩の内容がトム・ロビンソンによって補作されていて、 シャウトするアレンジが加えられている。続くギターソロも伸びやかな印象を残す名演。 シングルは英チャートの5位にランクするヒットとなった。 私がこの曲を聴いたのは、TRBのファーストアルバム『Power In The Darkness』のUS盤に付属していたボーナスLPで、 「Glad To Be Gay」、「Martin」と

チャールズ・ブコウスキー著・青野聰訳『町でいちばんの美女』

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カルメン・マキの1996年発表のアルバム『UNISON』に「人魚」という曲が収録されていて、 “リュック・ベンソン監督のつめたく冷えた月」に捧ぐ”と副題が付けられている。 『つめたく冷えた月』は主演もしているパトリック・ブシテーが監督した1991年のモノクロのフランス映画(リュック・ベンソンは製作)で、 今回紹介するチャールズ・ブコウスキーの「人魚との交尾」と「充電のあいまに」の2つの短編小説を原作にしている。 この2編は1972年アメリカで出版された短編集『勃起、射精、露出、日常の狂気にまつわるもろもろの物語』に収められたが、 現在では、1983年にこの短編集を2部にわけて出版された 『町でいちばん美女』(もうひとつは『ありきたりの狂気の物語』)に収められている。 剃刀の様な純粋さと美しさを持った女との一時の愛を描く表題作「町でいちばんの美女」。 それよりももう少しスウィートな「かわいい恋愛事件」。 肉体労働の過酷さを知るものなら深く味わえる「精肉工場のキッド・スターダスト」。 オリジナル短編集のタイトル『勃起、射精...』に恥じない内容の「15センチ」や「ファックマシーン」、「チキン3羽」など体液を感じさせる物語、 ブコウスキーの好きな競馬の話しもいくつか。死ぬほどの病状を抱えた壮絶な入院生活をユーモラスに描いた「慈善病院での生き死に」。 『...日常の狂気にまつわるもろもろの...』という内容の物語も。 「淫魔」は白昼の悪夢のような話で、“日常の狂気”を冷静な視線であるがままに取り上げた作品だ。作者は関連付けないで欲しいとしているが「レイモン・ヴァスケス殺し」は実際にあったラモン・ノヴァロ事件をモデルにしたものだろう。 ハリウッド・ヒルズで優雅な暮らしをしていたラモン・ノヴァロ(『ベン・ハー』など)は、彼が5千ドルを自宅に隠し持っているという情報を 嗅ぎつけたシカゴ出身の兄弟によって、のどを突き刺され死亡した。 「人魚との交尾」は死姦を扱っているが、いたずら心が狂気を誘い、そして小さな愛情を作り出す、リリックな物語だ。 車のバッテリーを充電中に飲み屋に入った男と、そこで出会った娼婦との出来事を描いた「充電のあいまに」を途中のエピソードに加えて、 主人公をジミヘンなどのロック好きフランス人に替えたのが映画『つめたく冷えた月』。 ブコウスキーは世界で起きていること