OMNIBUS a Go Go Vol.57『LIVE AT THE ROXY LONDON WC2(Jan-Arr 77)』

ジェネレーションXのマネージャーであったアンディ・チェゾウスキーによって1977年1月にオープンしたロキシー・クラブのライブ・オムニバスで1977年7月にリリースされた。演奏だけじゃなくバンドのMCや店内の会話、笑い声、電話のベル、グラスの割れる音、うめき声、叫び声なんかが曲の前後にかなり長く録音されていて、その場の雰囲気が再生される。

セックス・ピストルズによって発火したパンク革命は、マンチェスターなど各地でパンク・バンドを生み出し、1976年夏を過ぎる頃にはイギリスの音楽シーン全体へと広がっていくが、 このライブ・アルバムが録音された1977年初め時点でリリースされていたUKパンク・レコードはまだ少なく、デビュー・シングルのリリースで言えばダムドが1976年10月、ピストルズが11月、ストラングラーズが1977年1月、バズコックスの自主EPも1月、クラッシュは3月だ。だからこのライブ・アルバムに参加しているほとんどのバンドにとってはレコード・リリースもなく、ライブ・サーキットでしか自分達を認識してもらう手段はなかった時期だ。そして収録曲の多くは後にスタジオ録音され、それぞれのバンドのファーストアルバムやシングル等に収録される事になる。

スローター・アンド・ザ・ドッグスはミディアムでややルーズな「Runaway」、こちらはスピーディな音塊「Boston Babies」の2曲。グラム経由の荒くれロックンロール。後にRaw Recordからシングルをリリースするアンウォンテッドは「Freedom」を収録。バズコックスに通じる魅力があると思う。

ワイヤーは「Lowdown」と超名曲「12×U」(ワン・トゥ・エックス・ユー≒ウォント・トゥ・セックス・ユー)。どちらもシンプルでありロックンロール・フォームから外れつつ、スローであってもハイスピードでもシャープでクールでスリリングなカッコよさに変わりなし。

アドヴァーツは「Bored Teenagers」を収録、演奏が拙く突っ走ったりもたついたり、ふらふらしているが勢いは抜群、曲はポップ。これも初期パンクの魅力か。チズウィックからレコードをリリースするジョニー・モペッドは「Hard Loving Man」を収録。ハード・ドライヴィンなロックンロールナンバー。若きイーターは「Don't Need It」、アリス・クーパー「Eighteen」の高速パンク・カバー「15」の2曲。

サックス(ローラ・ロジック)入リパンクバンドの変わり種、Xレイ・スペックス「Oh Bondage-Up Yours!」は、やはりポリーのシャウト・アジテーション・ボーカルが魅力だ。バズコックスは「Love Battery」とハワード・ディボート在籍時にリリースしたEP『SPIRAL SCRATCH』に収録されていた「Breakdown」の2曲を収録。 UKパンク初期の熱演を集めたライブ、8アーティスト、全12曲。

このライブ・アルバムのタイトルに“Jan -Apr 77”とあるように、1977年4月に閉店するまでの4ヶ月間、数多くのパンク・バンドが出演した(記録を見ると1976年12月にはジェネレーションXやハートブレイカーズがライブをおこなっている)。
ロキシー・クラブに関するページがPunk 77のThe Roxy Clubにある。

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