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6月, 2015の投稿を表示しています

ましまろ「ガランとしている」

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2015年5月13日、ariola/ソニーからリリースのシングル。 クロマニヨンズの真島昌利(G.Vo)、 ヒックスヴィルの真城めぐみ(Vo)と中森泰弘(G.Vo)という3人で結成された“ましまろ”のデビューシングルで4曲入り。 メインヴォーカリストは真城のようだけど、オリジナルの3曲は真島昌利の作詞・作曲だし、バディ・ホリーのカヴァー「ハートビート」は真島の日本語詞が歌われているからマーシー・ワールドは堪能できる。ゲストでベースにハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、ドラムに岡本啓佑(黒猫チェルシー)が参加。 真島がかつて在籍していたブルーハーツは1987年のメジャーデビュー当時シングル何枚か聴いたけど、パンクロック勃興からほぼ10年たった頃で、今更初期パンク・タイプのストレートなサウンド(大雑把に言うとピストルズ・クラッシュ・ラモーンズの影響下)を聴くのもなぁ、と思っていた。私よりもう少し下の年代が聴く感じだった。1989年に真島昌利がリリースしたソロ・アルバムが気に入ってからブルーハーツの真島ソングを聴くようになったけど。 そのマーシーのソロ『夏のぬけがら』に通じるフォーキーでやわらかな「ガランとしている」は、百合、薔薇、鬼灯と植物の名前が出てくる謎めいた歌詞、それに “何もないようなふり” っていう言葉がひっかかるなぁ。隠れたメッセージがありそうな。誰もいなくてガランとしているけど、それは目には見えない何かがあるから…、っていうのは考え過ぎか…。 その他、2曲目の「公園」はガレージ感のあるナンバー。今はなくなってしまった思い出の公園の歌で、何故なくなってしまったのか、その跡地に何が出来たのかもわからないが、怒気を含んだマーシーの声からは、幼いころから通っていた公園がなくなってしまった事に対する強い憤りが伝わる。 「しおからとんぼ」はマーシーのヴォーカルから始まるが、“夕立のひとしづく”なんて歌詞、昭和で懐かしい感じだなぁ。夕立っていう言葉から受ける夏の雨のイメージは、近頃の酷いゲリラ豪雨みたいなものと違う印象だ。 バディ・ホリーの「ハートビート」は原曲のドキドキ感を日本語に意訳した少年の恋のときめき。オリジナルと同様軽快なカヴァー。 “木造校舎”って言葉がこれまたレトロ。 次はアルバムか…リリースは9月2日。

Shiggy Jr.「サマータイムラブ」

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2015年6月24日、Universal Sigmaからリリースのシングル。 このコーナーでShiggy Jr.の紹介をしたのが2014年11月だから7ヶ月ぶりか。その時にもメジャー移籍は時間の問題と言われていたが、待望のメジャーデビュー・シングル。インディでの2曲のキラーチューン「Saturday Night~」と「Listen To~」があるだけに、この2曲を超えるどんな曲がリリースされるのか、と期待は高まっていた訳だが(まぁ私の中では)。さて…。 タイトル・トラック「サマータイムラブ」は一聴してその2曲を踏襲したポップでキャッチーなディスコ・チューン。弦の流麗な響きとホーンの迫力はさすがメジャーというサウンド・クオリティ。前作ではほぼ打ち込みだったというリズム・トラックも、今回はリズム隊メンバーが活躍(ちなみにドラム・チューナーのクレジットは三原重夫)。特にベースラインが強力。ぜひMPプレーヤーのヘッドフォンだけじゃなく、ステレオのスピーカーで鳴らして聴いて欲しいなぁ。歌の内容はサマータイム制度の恩恵を受けた恋愛模様。 カップリングには相合傘ソング「keep on raining」。イントロのアコースティックギターのカッティングが良い。こちらもホーンの煌びやかな曲だ。まぁメジャーデビュー・シングルだからといって曲調に大きな変化はないけど、楽器間のコンビネーションやアレンジ、表現力はグレードアップした内容。池田の歌も丁寧に歌うところが目立っていると思う。 バックトラックの良さはカップリングのInstrumental Versionで聴いて欲しい。「サマータイムラブ」の涼しげな弦の響きがいい。「サマータイムラブ」はロロロのリミックス・ヴァージョンを収録している。 初回盤付属のDVD、若干レトロなイメージで作ってあるがMVはもう少しカッコ良く作って欲しいなぁ。バンドのイメージが明るく楽しくは分かるけどね…。 レジーのブログ LDB(仮)にインタビューあり、なかなか興味深い内容。 Shiggy Jr. 「サマータイムラブ」リリースインタビュー(前編) Shiggy Jr. 「サマータイムラブ」リリースインタビュー(後編) ナタリーでもインタビューがある。 Shiggy Jr. サマータイムラブ・インタビュー 次はアルバムか…。

My Wandering MUSIC History Vol.52 TOM ROBINSON BAND『POWER IN THE DARKNESS』

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1978年、EMIよりリリースのアルバム。 私のまわりではストラングラーズ、クラッシュに次いで人気のあったトム・ロビンソン・バンドのファースト・アルバム。鋭利なサウンドというよりはメロディックでパワーポップ的な楽曲に社会的なメッセージの歌詞が特徴だった。トム・ロビンソンのベースを弾きながら歌うスタイルもカッコよかったなぁ。ジャケットの握り拳もトレードマークで日本盤アナログには、 この握り拳を“POWER IN THE DARKNESS”の文字が囲んだ図柄のジャケット・サイズのステンシル・シートが付属していた。日本盤はデビュー・シングルの「2-4-6-8 Motorway」をアルバム冒頭1曲目に追加した11曲入り(UK盤は10曲)。このシングル曲のみヴィック・メイルのプロデュース、 他アルバム曲はプロデュースにクリス・トーマス、エンジニアにはビル・プライスが起用されている。 トム・ロビンソンは既に子持ちらしいが、このデビューの頃は自身がゲイということを公言し性的マイノリティだけじゃなく、人種などのすべてのマイノリティに対する差別への怒りを表明し、マイノリティの権利を主張していた。それはファンキーでパワフルなアルバム・タイトル・トラック「Power In The Darkness」に顕著だし、自分自身の為に立ち上がれというメッセージを持った「Ain't Gonna Take It」や「Better Decide Which Side You're On」でも訴えている。更にマーク・アンバーのキーボードが効いている性急なビートの「Long Hot Summer」では自分達の音楽で闘いを挑むことを宣言した。 その権利主張は“もうがまんできない!”という当時の状況があったわけで、騒動が溢れかえるストリートを描いたパンクロック「Up Against The Wall」や、住んでいる街で生き残りをかけた争いが起きている危険な状況を描いたシャッフル・ビートの「You Gotta Survive」、夢さえもが絶望的な、ダークなサウンドの都会的ブルース「Too Good To Be True」、権力の傍聴について歌った「Man You Never Saw」といった曲群で当時の状況を表現している。 1978年に1979年冬の仮想ストーリーを作り、このままいったらもっと悪く

STEELY DAN「THE FEZ」

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2009年、Universalからリリースのベスト・アルバムより。 最近ブックオフでは、有名アーティストのちょっと古いベスト盤は輸入盤だと2枚組500円で売ってることも。『THE VERY BEST OF STEELY DAN』も2枚組、500円だったんで入手。スティーリー・ダンは凄く安く買った『Aja』のアナログ盤(1980年の国内再発)のみ持ってたんだけど、良さがわからなくて、あまりに都会的でスムーズ過ぎるっていうか…、構築的すぎるというか…。あとドナルド・フェイゲン『ナイトフライ』もCDで持ってたな。 で、このベスト盤、『キャント・バイ・ア・スリル』~『ガウチョ』までの各アルバムから年代順に数曲ずつ収録されているんだけど、ハマった。1曲目の「Do It Again」から凄く良い曲。パーカッションの使い方がいいなぁ。これがスティーリー・ダンかぁ。全然印象違うなぁ。まだバンド的なノリもありつつスタイリッシュ。 他にも名曲目白押しだ。いやー、初期から聴いていくとこのバンド(ユニット)の洗練具合がわかるっていうか、『Aja』の楽曲も新鮮っていうか違って聴こえる。いい!聴き直しましたよ『Aja』のアナログも。聴かないくせに飾ってあったんだけど、ジャケが好きで。いいなぁ。特に「Deacon Blues」。私のスティーリー・ダンへの興味はイギリスのスティーリー・ダン・フォロワー(?)のプリファブ・スプラウトやダニー・ウィルソンなんかを経由してたんだけど、そのあたりの音好きにも初期~『Royal Scam』くらいまでのサウンド取っ付き易いんじゃないだろうか。まぁ今となっては全部いいんだが。 それに私がPANTA&HALのアルバム『マラッカ』のレヴューをした時にひと言もスティーリー・ダンに触れていないけど、このアルバムがフュージョン的な影響下というのを知っていたものの、スティーリー・ダンの楽曲を聴いてからだと『マラッカ』から受ける印象もなるほどなぁ、と思えてくる。複雑な曲構成とコードワーク、2本のギターの絡み、凝ったハーモニー、難易度の高い楽曲をつくり、そのサウンドに時に社会的な歌詞が歌われる。例えばスティーリー・ダンの「The Fez」(オリジナル・アルバムでは『Royal Scam』収録)とPANTA&HALの「ココヘッド」からは共通したエキゾチシズムを感じ

江口寿史著『江口寿史の正直日記』

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2015年6月、河出書房新社刊。 江口寿史の漫画は「すすめ!!パイレーツ」から読んでた。「ひのまる劇場」、「ひばりくん」、「エイジ」、「エリカの星」くらいまでか。1980年代に出た単行本はほとんど買ってると思う。それらは幾度の引っ越しにも売られず、捨てられず、まだ我が家の段ボール箱に入っている(まぁ読み返すこともないんだけど)。 江口寿史の文庫が出ると知って本屋の漫画コーナーをぐるぐると探したけど無いので、 “正直日記”というからにはもしかして文章?と思って文庫コーナーを探したら、ありました。漫画じゃなかったんだ。1999年~2002年にかけて江口寿史のホームページで公開していた日記を収録。2005年に単行本として出版したものを一部改訂、追加収録で文庫化したもの。 年代が古い(もう10年以上前だ)ので、ソニーのアイボが出て売り切れとか、椎名林檎のデビューの頃とか、やや懐かしいモードなので、どうかなと思ったのだが、江口寿史の好きな音楽の話とかも載ってそうなので買って読んでみると面白い。江口寿史は追っかけて読まなくなってからイラストが主で漫画執筆はあまり書き込んだものじゃなく短編のみ、と思っていたけど、仕事は結構いれてるんだな、という印象。 でもこの頃はアシスタントを使わず、取材も念入りに、となるとやはり筆は遅くなり、締切は過ぎて…。この頃も落としてるんだ…連載。白いワニが出ていたころと変わらず…。徹夜、休み無しの執筆の苦悩、仕事が進まないながらも呼ばれれば酒を飲みに行く。確かに正直に書かれていて読んでる方もドキドキする。まぁ多少の誇張と調整はあるらしいが。これ落としちゃうんじゃないの?飲みいっちゃっていいの?週刊の連載引き受けて大丈夫?あーやっぱり…。作品のクオリティの追求は理解できるが、確かに山上たつひこもあきれるよなぁ…。恐るべし江口寿史、もはや職人。 他、医者に行ったとか、コンサートに行ったとか、ラーメン食いに行ったとか日常の記録、ほぼ実名で書かれていて楽しく読める。音楽的な話題もそこそこあったけど、2002年7月3日、7月18日の日記、正直だなぁ。 カフェ・ジャックス聴いてみるかな。

My Wandering MUSIC History Vol.51 TELEVISION『MARQUEE MOON』

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1977年2月、エレクトラよりリリースのアルバム。 テレヴィジョンのファースト・アルバム。 1981年~1982年頃はアメリカ(ニューヨーク)のパンクってほとんど聴いてなかったなぁ。ブロンディ(パンクかな…)、ハートブレイカーズ、ジョニー・サンダースくらいか。リチャード・ヘル&ザ・ヴォイドイズのファーストは当時入手難だったんじゃないか。だから聴いたのはもう少し後だった。ラモーンズももっと後なんだよね、良さがわかるのは。だからテレヴィジョンの『マーキー・ムーン』はイギリスのパンクバンド一辺倒だった私へ、ニューヨーク・パンクの強力な一撃だった。神経質そうな痩せたトム・ヴァ―レインの眼差しが目を引くロバート・メイプルソープによる写真を使用したジャケット。裏ジャケットには"単純で不気味な感じのらせん状のイメージを使いたい”というトムの依頼でビリー・ロボのアートが使われている(確かにこの裏ジャケのデザインは奇妙に感じた)。プロデュースはトムとアンディ・ジョンズ(グリン・ジョンズの兄弟)で、アンディはプロデュースというよりエンジニアとしての腕を見込まれたようだ。 後々タモリ倶楽部の“空耳アワー”で紹介された(言われるまでそう聴こえなかったけどね)「See No Evil」。ぐるぐる回るようなリフが印象的。線が細いけどエモーショナルなトムのヴォーカルも一発で気に入った。ギターのパッキング・フレーズが好きな「Venus」。トムのギター・ソロもいい。“ミロのヴィーナスの腕に落ちていった”というありえないシチュエーションの歌詞もユニーク。ギターの半音階的なフレーズがビザールでガレージ・サイケデリックな「Friction」。後半のギターソロ前の“F・R・I・C・TION”ってとこが最高にカッコいい。タイトル・トラック「Marquee Moon」。絶妙のコンビネーションで曲は進む。手数の多いドラム、官能的ともいえる2本のギターの絡みとクールなベースライン、ドラマティックな展開。10分余りの長さをまるで感じさせない。そのサウンドはスリルの連続でありながら、聴く者の神経を甘美に弛緩させる作用もあるミラクルなナンバー。アナログでは9分半頃の一旦静かになり再び歌が始まるところでフェイドアウトするが、CD化の際には完奏ヴァージョンでの収録となっている。 アナログ盤ではB面の1曲目だった叙情的な「El