MODERN DOLLZ『THE UNRELEASED TRACKS vol.3』
モダン・ドールズの未発表トラック集の第3集がリリースされた。第1集は2016年1月に、第2集は2017年12月にリリースされていた。こういった発掘音源はVol.1と銘打ったものの、その後が続かないというイメージがある。第2集から4年半ほど間が空いているが、うれしいリリースだ。
今回のCDでは、Vo佐谷光敏、G松川泰之、D下鳥浩一の他、ギタリストの平山克美が脱退し小峰勇治が加入、ベースは田中宏行が脱退し田浦祐蔵が加入後の1985年2月、7月の録音と、ベースが田浦祐蔵から池田淳一に交代しキーボードに高野尚登が加入した1986年2月の録音を収録している、
ほとんどは1985年7月5日と6日の録音が収録されていて、以前からのレパートリー「ジャスト・ア・ヒーロー」、「インスタント・ラブ」、「浮気なジャングルビート」は1985年メンバーでの録音。
“知らないんだろ? イエロー・ジャーナリズム ”という歌詞が意味深なヨコスカ・ベース・キャンプ・ソングでファンキーな「EXOTIC NOISE」、緊張感のあるアレンジの名曲「ヌーベルバーグにつまづいて」、ファンキーでダンサブルな「去年チェルシーのバーで」、バラードの「YOKOHAMA'S MEMORY」。この4曲は1986年6月にカメレオン・レコードからリリースされるモダン・ドールズ初のアルバム『ドゥ・イマジネイション』収録の楽曲。「去年チェルシーのバーで」と「YOKOHAMA'S MEMORY」の2曲は1986年2月の録音で、アルバム『ドゥ・イマジネイション』と同じテイクという気がする…。「EXOTIC NOISE」と「ヌーベルバーグにつまづいて」はアルバム『ドゥ・イマジネイション』とはメンバーが違う1985年7月の録音。
ポリス〜エルヴィス・コステロな雰囲気の「S.O.S」、ベース田浦の作曲によるクールなビート・ナンバー「カルチャー・クライシス」、ハートブレイク・ソングだけど軽快な「フライト505」、メロウなラヴ・ソング「ブールバードに車を停めて」、謎めいた歌詞の「ハムレットが消えた夜」、ロカビリーな「ニュー・エイジ・シンドローム」、ダンサブルなアレンジの「消えたシューティング・スター」、ややサイコビリーな雰囲気の「サイレント・ブギ」。
ラスト3曲は1985年2月の録音で「フライト505」の元タイトル「君はバレリーナ」、ストレートなビートナンバー「ベルベット・ロック」、「ハムレットが消えた夜」で終了。
CDは全18曲、ストレートなビート・ナンバーだけじゃなく16ビート、ファンキーでダンサブル、メロウなバラードとバラエティに富んだ内容。以前のCD収録曲もよかったが、メンバーチェンジがあったものの、今回のCDでは楽曲やアレンジの多彩さなどバンドとして充実していたのがうかがえる。
DVDにはMVやビブレ、都久志会館、新宿ロフトの1985年〜1986年のライヴから全46トラックを収録。ほぼ当時のホームビデオの画質だが、新宿ロフトのライヴが一番画質がいいものの音が画と少しずれているのが残念。それと歌詞カードにスペルミスが幾つかあるのもちょっと残念だった。
ジャケットは1985年8月3日、都久志会館でおこなわれたコンサート『the 51st states of U.S.A.』の告知をもとにしたデザイン。アメリカの51番目の州になっているんじゃないかというメッセージを投げかけたタイトル。デザインはタイム誌を模している。米軍基地を舞台にした「EXOTIC NOISE」や「YOKOHAMA'S MEMORY」といった楽曲にも関連しているようだ。