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OMNIBUS a Go Go Vol.102『POPTOPIA! Power Pop Classics Of The '80s』

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1997年、ライノからリリースのオムニバス。 ライノ・パワーポップ・オムニバスの80年代編。私が一番最初に買ったのがこの80年代編で、ヴィヴィッド・サウンドが輸入盤に帯と解説(駒形四郎)を付けた国内流通仕様だった。 トランスヴィジョン・ヴァンプがカヴァーしたホリー&ジ・イタリアンズの「Tell That Girl To Shut Up」は蓮っ葉な魅力でかっこいい超名曲。70年代編に収録されていたドゥワイト・トゥワイリー・バンドのドラマーだったフィル・セイモア「Baby It's You」は嗄れた味わいながらスウィートさも併せ持つ。ピーター・ケイスのザ・プリムソウルズ「A Million Miles Away」は力強いサビを持ったメロディラインとヴォーカルが正にパワーポップ。タイトかつスウィートなメロディが魅力のキャンディ「Whatever Happend To Fun...」。力強さのなかにもキラキラ感のあるトミー・キーン「Places That Are Gone」と名曲目白押し。 さらに、ビートリッシュなザ・スポンジトーンズ「She Goes Out With Everybody」、透明感のあるマーシャル・クレンショウ「Whenever You're On My Mind」、ザ・パシュート・オブ・ハピネス「She's So Young」は爽やかなフィーリング。大好きなザ・スミザリーンズの ファースト・アルバム からはエッジーな響きのギターがパワフルにドライヴする「Behind The Wall of Sleep」。まだまだ他にもザ・ロマンティックス、グレート・ビルディングス、レッツ・アクティヴ、The dB's、The La'sなど全18曲収録。 

OMNIBUS a Go Go Vol.101『POPTOPIA! Power Pop Classics Of The '70s』

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1997年、ライノからリリースのオムニバス。 パワーポップというのをいつ頃意識したんだろうと思い返してみると友人に作ってもらったオムニバス・テープにブラム・チャイコフスキー「Girl of My Dreams」とニック・ロウ「Cruel  To Be Kind」とラズベリーズ「Go All The Way」が入ってたんだよな確か、カセット・テープはだいぶ処分しちゃったからもう無いんだけど。 ライノからリリースされたパワーポップのオムニバス『POPTOPIA! Power Pop Classic Of The '70s』には、その3曲が入ってるんだよね。やはりパワーポップの代表曲であると言っていいだろう。CDには18曲が収録されていて幾つかの曲は聴いたことがあったが、このCDで初めて聴いて一番気に入ったのはPezband「Baby It's Cold Outside」で、こんなキャッチーでグッド・メロディ&めくるめく展開のアレンジにマイ・ヘヴィ・ローテーション化、ヤラレました。もう1曲、Fotomaker「Where Have You Been All My Life」は伸びやかなパワーポップで胸キュン。その他、The Rubinoos「I Wanna Be Your Booyfriend」、The Records「Starry Eyes」も良し。 1972年のラズベリーズから始まり、最後の1979年のザ・ビート「Rock n Roll Girl」まで70年代パワーポップの魅力をたっぷり盛り込んだ70年代編。このシリーズに共通するリキテンスタインなカヴァーアートもいい。

追悼・ANDY ROURKE

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ザ・スミスのベーシストだったアンディ・ルークが2023年5月19日逝去。59歳だった。 右の写真は私が持ってるスミスのレコードのなかで一番アンディが目立っているジャケットのUS盤12インチ「How Soon Is Now?」(ピントはジョニー・マーに合ってるんだけど)。メンバーが表ジャケに写っているディスクはオフィシャルではほぼ無いし(この写真はコンピ『ハットフル・オブ・ホロウ』のアナログ盤見開き内側に使用されている)。それにこの曲よりベースラインの流麗で目立つ曲はもっとあるんだが(もちろんこの曲でもベースラインは工夫されている)。 しかしトレモロ・エフェクトされたボ・ビート的なギター・カッティングにサイケデリックな催眠効果&高揚感を聴き手にもたらす「How Soon Is Now?」はスミスの代表曲のひとつだ。この曲をA面にしたシングルはUKよりも早くUSで1984年にリリースされている。 このUS12インチ盤、A面は「How Soon Is Now? (Long Version)」とあるが6分43秒は元々のサイズ。B面は「Girl Afraid」と「How Soon Is Now? (Edit)」で、後者は3分53秒に編集されたヴァージョン。 ファンクが好きだというアンディはメロディアスでハネた躍動感のあるベース・プレイでスミスの楽曲を立体的に魅力的にすることに貢献したと思う。スミス後はキリング・ジョークに極短期間加入したり、モリッシーのソロに参加、クランベリーズのドロレスとのユニットなどで活動していた。 RIP…。

和久井光司責任編集『NYパンク以降のUSロック完全版』

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2022年11月2日、河出書房新社より出版。 ディスクガイドを読むと、これまで聴いてなかったバンド、アーティスト、ジャンルに興味が湧いてCDやレコードも増えるから買わないようにしていたんだけど、この『NYパンク以降のUSロック完全版』、たまたま待ち合わせた本屋にあったので手に取ったらテレヴィジョン/トム・ヴァーレイン/リチャード・ロイド、ブロンディ、モダン・ラヴァーズ/ジョナサン・リッチマンが近年リリースしたアルバムまで網羅されているので購入してしまった。この和久井光司責任編集のディスクガイド・シリーズは何冊か出てるけど購入したのはヴェルヴェッツとボウイに続いて3冊目(ヴェルヴェッツ本良かった)。 去年出たのは知ってたんだけど表紙がトーキング・ヘッズ/デヴィッド・バーンだからスルーした模様…トーキング・ヘッズはほとんど聴いてないから…持ってるアルバムはファーストのみ。別に嫌いとかそういうんじゃなくて単に後回しになってるだけ。後で聴くかわかんないけど…聴いてみたいとは思ってる…。 『NYパンク以降のUSロック完全版』、読み物的に面白かったかな。和久井光司らしい遠慮なくハッキリした物言いの部分もあるし。和久井がニューヨーク・ドールズがダメで特にジョニー・サンダースは認められない、という残念な告白もあったし、水上はる子はニューヨークでパティと住んでた頃のことを小説かなにかにしたい言っていた、ということも書かれていた。ブロンディとザ・ナック絡みのプロデューサー、マイク・チャップマンの記事も面白かった(パット・ベネターのファースト聴いたな…)。最後のパワーポップとアメリカン・ニュー・スタンダードの章で紹介されてたパワーポップ系バンドのアルバムには聴いてみたいのがいろいろあるんだけどね。

My Wandering MUSIC History Vol.99 THE ROOSTERZ『STRANGERS IN TOWN (SUPER MIX)』

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1986年4月21日、日本コロムビアよりリリースの12インチ・シングル。 アナログ盤A面にはアルバム『ネオン・ボーイ』から7ヶ月後にリリースされた「Stranger In Town」のリミックス・ヴァージョンの「Stranger In Town (Super Mix)」を収録。 イントロには下山淳のもくもくと湧き上がり渦巻く雲のようなディレイをかけたギター・フレーズが続き、それは曲全体を覆うバッキング・フレーズとなる。ピッキング&ミュートした音にディレイをかけ、音色が混じり合い、空間的な広がり感じさせ、ストレンジかつ緊張感のある効果を生み出す。テンポに合わせたディレイ・タイムの設定と正確なピッキングが必要なテクニックだ。 ディレイを使ったギターというとザ・ドゥルッティ・コラムのファースト・アルバム『ザ・リターン・オブ・ザ・ドゥルッティ・コラム』でヴィニ・ライリーが弾くポスト・パンク印象派というか水彩画のように色彩が広がる感覚のギター・サウンドは聴いていたが、この下山のディレイ・サウンドは珍しかった。よくU2のギタリスト、ジ・エッジと下山のディレイ・テクニックが比較されるが、この頃U2はほとんど聴いてなかったからな。ライヴのミニ・アルバム『アンダー・ア・ブラッド・レッド・スカイ』と『WAR』くらいかな聴いてたのは。バニーメン派だったから。まぁディレイの使い方について下山は、エッジではなくピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアに影響を受けたと語っているけど(雑誌『ROCKS OFF Vol.05』2008年)。 「Stranger In Town (Super Mix)」の曲の長さは、4分51秒から5分47秒と約1分長くなっている。イントロの下山のディレイ・ギターにのせて不穏に響くキーボードのフレーズ、イントロは30秒から50秒に、ギターソロはアルバムとは別テイクに差し替えられて30秒から60秒に長くなった。キーボードが目立ち、ややギターポップな印象もあったアルバム・ヴァージョンとは完全に別物、ぐつぐつと泡立つようなギター、ゆらゆらと揺らぐフレーズ、爆音のストローク、エレクトリックでヘヴィ、ハイテンションでアグレッシヴ、まさにスーパーなヴァージョンに生まれ変わった。 プロモーション・ヴィデオもつくられ、旧新宿ロフトで撮られたと思われる白黒の映像で、花田裕之は黒のつば広帽

ROCK'N' ROLL GYPSIES『V』

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2023年4月30日、RRG.RECORDSよりリリースのアルバム。 前作『IV』から7年振り、ロックンロール・ジプシーズ、5枚目のスタジオ・アルバム。リリースは前作と同じRRG.RECORDSから。 収録曲は、  1. JUMPIN JUNK HIPPY SHAKE  2.くりかえして  3. 蝙蝠の唄  4. Mr. Lover Man  5. 素晴らしい世界  6. So Long  7. 渦  8. Fly -with only one wing-  9. Imaginary Territory 10. PLEASE の10曲。 楽曲はメンバーそれぞれが作詞作曲しており、1、8が市川勝也、2、7が花田裕之、3、6、9が下山淳、4、10が池畑潤二による。5は作詞山口洋・作曲下山淳の共作。3と5で武田康男がコーラスで参加、9で下山がベースを弾いている。 ライヴで盛り上がりそうなポップなメロディの市川勝也作からアルバムは始まる。市川作はもう1曲サイケな下山のギターが活躍する8(2曲ともヴォーカルは花田)。花田作は2曲。どちらも“老い”という単語が入ったビターな曲、もはや詩人、諦念を感じる。 下山作は3曲、3はユーモラスな吸血鬼の歌、6と9はメロディアスな曲。5の山口洋と下山の共作曲を含め下山が4曲ヴォーカルを担当。池畑作は同年代向けと思われる歌詞の内容ながらポップでキュートなアレンジの4、スカなパーティーチューンの10がラスト。トータル約50分、各自持ち寄った曲とアレンジに工夫があり多彩な印象も感じるアルバムだ。

浅川マキ『浅川マキの世界2 ライヴ・セレクションBOX』

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2022年12月21日、ユニバーサル・ミュージックよりリリースのボックス・セット。 浅川マキの未発表ライヴ音源を収録したCDボックス・セットがリリースされた。 ・CD6枚組 ・生産限定盤 ・三方背スリーヴケース ・プロデュース:寺本幸司 ・ライナーノーツ(約一万字):寺本幸司 ・当時の貴重な写真掲載 ・歌詞の掲載なし ・価格:10,000円(税抜) 収録内容は、 Disc 1・2:1978年7月7日 at 池袋東映「浅川マキ・真夜中の池袋・始発まで」 Disc 3:1982年4月28日 at 京大西部講堂「スキャンダル」 Disc 4・5:1991年3月30日 at 新宿PIT INN「浅川マキを聴く会」 Disc 6:1993年6月30日 at 釧路生涯学習センター・大ホール「浅川マキ・北海道ツアー最終日」 なかなかの高額商品をなぜ購入したかというと、CD『シングル・コレクション』を聴いてから浅川マキをもっと聴きたかったのと、1991年3月30日の新宿PIT INN「浅川マキを聴く会」(CD2枚)に下山淳がギタリストとして参加しているからであった。この新宿PIT INNの参加ミュージシャンは、 Vocal;浅川マキ Guiar:下山淳 Piano, Organ:渋谷毅 Bass:川端民生 Drums:セシル・モンロー Tenor Sax:植松孝夫 収録曲は、 Disc 4  1. あたしが娼婦になったら  2. こぼれる黄金の砂~DREAM TIME~  3. マイ・マン  4. 暗い日曜日  5. 憂愁(II)  6. 暗い眼をした女優  7. こころ隠して  8. 霧に潜む  9. ちょうどいい時間 Disc 5  1. JUST ANOTHER HONKY  2. ガソリン・アレイ  3. ロンサム・ロード  4. セント・ジェームス病院  5. 都会に雨が降るころ  6. あの人は行った  7. あんな女ははじめてのブルース 4-1と2はマキのアカペラ、ピアノの渋谷毅がステージに呼び込まれてのリリカルな名曲3、ズシリとした余韻を残す4、下山淳が呼ばれて浅川マキ作詩・下山作曲の5が始まる。下山のサイケデリックなエレキ・ギターがバリバリと轟く中、渋谷のオルガンが重なる。ドアーズの「ジ・エンド」な世界と言えなくもない演奏に浅川マキのポエトリー・リーディング的な歌