DAVID LYNCH チラシ&LD Vol.11『オン・ジ・エアー』

『ツイン・ピークス』に続いてリンチ・フロスト・ブロダクションが制作したテレビ・シリーズ『オン・ジ・エアー』。時は1957年、テレビ局ZBCが制作する生放送番組「レスター・ガイ・ショー」をめぐって起こるドタバタでカオスなコメディ。レスター・ガイ役のイアン・ブキャナン、ZBC社長役ミゲル・フェラーは『ツイン・ピークス』にも出演していた。キレた女優ベティ役にマーラ・ルビノフ。超訛っている監督役にデイヴィッド・L・ランダー、その訛りを通訳する監督助手ルーシー役にナンシー・ファーガソン、等が出演している。生放送を成功させるため綿密にリハーサルをおこなうが、一つの綻びが次の綻びを呼び、スタッフ、役者のサポートは次々と裏目に出てしまう。互いの意思がすれ違う、コミュニケーション・ブレイクダウンし、ディスコミュニケーションな様をスラップスティックに描いた作品。デイヴィッド・リンチは1話の監督と脚本(マーク・フロストと共同)、7話の脚本(ロバート・エンゲルスと共同)を担当した。

本国では撮影された全7話のうちの3話しか放送されず、放送された回も酷評された。私はレンタル開始されてすぐ(1992年頃かな)に観たけど、ブッ飛んでいて理解できず、くだらん・つまらんと思ってレンタルされていた7話まで観たかな?ただ一応その後見つけたレーザーディスクは買っておいた。

『オン・ジ・エアー』VHSカセットのレンタル&セル・チラシ。

だけど観直してみると実は面白い。笑えるし楽しい。レスター・ガイはトホホだし、社長は超パワハラ、殆どの出来事がうまくいかない中、ブッツン女優ベティの“素直”な演技・振る舞いに番組は救われ、視聴者の共感を得る。ブラックでシュールでクレイジーな残酷とも言える笑いの中でベティの誰にもどこにも忖度しないピュアネスが暖かい笑いとなっているのが際立つ。そんなところはデイヴィッド・リンチの各作品に必ず盛りこまれていたし、そこを拡大しひとつの番組としたのがこの『オン・ジ・エアー』なのかなと思う。発表当時この作品のよい評価って全く見聞きしたことなかったけど少し早すぎた作品だったかな?

レーザーディスク『オン・ジ・エアー』のジャケット。


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