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平野悠 著『1976年の新宿ロフト』

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2024年1月23日、星海社新書より刊行。 ライブハウスロフトの創業者、平野悠による新書が刊行された。内容は、日刊ゲンダイに掲載された連載「『ロフト』創業者が見たライブハウス50年」を大幅に加筆したもので、第2章の平野悠×牧村憲一の対談は本書の為の録りおろし。 2012年に刊行された同じく平野悠 著『 ライブハウス「ロフト」青春記 』を読んでるし、いろんなところで平野のライブハウス黎明期のエピソードを読んでるから今回の新書は読まなくてもいいかなーと思っていたが、“1976年の”と年代を特定してるし、ちょっと気になって本屋で見つけてパラパラとめくって牧村憲一の対談が面白そうかなと思って結局購入。 やはり『ライブハウス「ロフト」青春記』と似た内容で掲載写真も1976年に特化しているわけではない。連載が2020年〜2021年と新型コロナウイルス感染拡大期だったから、三密の為に世間から風当たりが強かった当時のライヴハウス経営状況についても記載がある。 この本ための録り下ろし第2章の平野悠と音楽プロデューサー牧村憲一の対談とニッポン放送が録音し後日ラジオで放送された新宿ロフトオープンセレモニー10日間(1976年10月1日〜10月10日)のメモ書き記録、その時の音源を収録しているアーティストのディスク紹介で70ページほど。これが本書の肝でそれゆえのタイトル“1976年”だと思う。二人にとっての密接な関わりの結晶といえるのが、平野が起こしたロフト・レーベルのプロデューサーとして牧村が招聘され作り上げたレコード『ロフト・セッションズ Vol.1』(1977年リリース)だろう。 その後平野・新宿ロフトはパンク・ニューウェイヴへ傾倒していく。牧村はそんな新宿ロフトを遠巻きに眺めていたがネオアコ関連のバンド、ペニー・アーケイドの名前を出しロフトの懐の深さを語っていた。

頭脳警察『東京オオカミ』

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パンタの遺作といっていいんだろうな頭脳警察のアルバム『東京オオカミ』が2024年、パンタの誕生日2月5日にBRAINPOLICE UNION/ROCKET PUNCH LLCよりリリース。プロデュースは秋間経夫。 ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』に掲載された志田歩の同アルバム解説とネット版 Rooftopに掲載されたトシ達のインタビュー を参照しながら紹介したい。 オープニング・ナンバーでタイトル・トラック「東京オオカミ」の烈しく扇動的な緊張感はどうだ。1972年の「ふざけるんじゃねえよ」、1990年の「Blood Blood Blood」を受け継ぎ比肩する楽曲。作詞はパンタと田原章雄(マネージャー)の共作で、東京の神社にオオカミの狛犬があること等から、かつて東京にオオカミが群れなし駆け抜けていた、その伝説から飛び出し、誇り高く吠え続けろ、という内容。オリジナル頭脳警察が活動していた政治の季節を感じさせるが、その連想を避けるように元は漢字だったタイトル“東京狼”をカタカナ表記にしているという。非常に印象的なギターリフはT.REX「Jewel」を思わせる。 地名の丹後をかけている「タンゴ・グラチア」。ガラシャ(Garacia)はキリスト教の洗礼を受けた明智光秀の三女・玉(たま)で、細川藤孝の息子忠興に嫁ぎ丹後の国で暮らした。後に石田三成の人質となることを拒み壮絶な最後を遂げる。辞世の句、“散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ”を歌詞に取り込み、余命宣告を受けていたパンタが歌う…。美しく気高くも切ない傑作。隠れキリシタンが口伝してきた「ぐるりよざ」(グレゴリオ聖歌)をサックスの竹内理恵が低音で奏で、タンゴのリズムに切り替わるイントロは特にスリリング。 パンタが1968年(18歳!)に作詞作曲したという「雨ざらしの文明」はザ・ビートルズの「Tomorrow Never Knows」にインスパイアされたようなサイケデリックなアレンジ。同じく1968年に作られたという「ソンムの原に」は、1989年に刊行されたパンタ詩集『ナイフ』に未発表曲として歌詞が掲載されていた(現行とは若干異なる歌詞)。コーラスのアレンジを含めGS的印象も受ける軽快なアレンジだが歌われている内容は現代まで性懲りも無く繰り広

PANTA参加ディスク5. 『BOOGIE WITH THE WIZARD〜A TRIBUTE TO MARC BOLAN & T.REX〜』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 1997年11月21日、テイチクよりリリースのT.REXトリビュート盤に頭脳警察で参加している。メンバーはパンタ、トシに、G藤井一彦、D後藤升宏、チェロ坂本弘道、ヴァイオリン阿部美緒、アコーディオン田村亜紀。 頭脳警察が演奏したのは「Rip Off〜Girl」のメドレーで両曲とも『エレクトリック・ウォリアー』(1971年)収録曲。「Rip Off」はタイトなリズムにトシのコンガが効いてる。藤井一彦のギターもいいし。パンタのヴォーカルも合いの手も生き生きしてる。転調して弦が入り盛り上がっていく“I'm the King of the highway〜”というところが非常にかっこいい。メドレーでアコギのストロークで始まる「Girl」へ。静謐なアコーステイック・アレンジで弦の響きにパンタのヴォーカルが冴える。 このカヴァー「Rip Off〜Girl」は、その後頭脳警察結成40周年記念ボックス(2010年リリース)『無冠の帝王』のCD1『間違いだらけの歌』にボーナス・トラックとして収録、さらに2015年には『間違いだらけの歌』が単独リリースされて増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィにも紹介されている。 だけどこの『BOOGIE WITH THE WIZARD〜A TRIBUTE TO MARC BOLAN & T.REX〜』には15曲目に収録されているボランズ・チルドレン名義の「T.REX Tribute Medley」にもパンタは参加している。 ボランズ・チルドレンによる「T.REX Tribute Medley」は、 a) 20th Century Boy/吉井和哉(ザ・イエロー・モンキー) b) Metal Guru/ROLLY c) Hot Love/本田泰章 d) Children of The Revolution/パンタ e) Dandy In The Underworld/秋間経夫(マルコシアス・バンプ) f) Telegram Sam/広石武彦 g) Get It On/本田泰章、ROLLY、広石武彦、

PANTA参加ディスク4. 『365:A TRIBUTE TO THE STALIN』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 2001年1月24日にポリドールよりリリースされたザ・スターリンのトリビュート盤。まず丸尾末廣によるイラストの“STOP JAP!”なジャケットが最高。ライナーノーツはミチロウ自身によるもので“名だたる名コック、板前さんが、ボクの肉を使って、腕によりをかけて作ってくれた、鉄人(スターリン)料理”と書いている。ザ・スターリン・トリビュートだけど、ザなしのスターリン(「包丁とマンジュウ」)や遠藤ミチロウ・ソロ(「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」)の曲も取り上げられている。 パンタはPANTA & MUSCLE POLICE名義でそのミチロウ・ソロの代表作「おかあさん、いい加減あなたの顔は忘れてしいまいました」をカヴァー。1984年リリースのカセットブック『ベトナム伝説』収録曲。マッスル・ポリス(筋肉警察)とはパンタの他に筋肉少女帯からベーシスト内田雄一郎、ギタリスト本城聡章が参加したユニット。パンタによるヴォイスと内田がベースとギター、ブログラミング、本城がギターとノイズとクレジットされている。ほぼ原曲通りのアレンジだが演奏はよりヘヴィ&ハードになっており、呟くようなパンタの声が重なる。曲の終盤にはパンタのヴォイスがダブルトラックになり厚みを増している。 愛と諧謔に溢れた暴力性、幻想と欲望のエロス、フリーキーな言葉の連続性と発展性を表現する遠藤ミチロウの歌詞…普段パンタが使用しないような言葉、表現を多く含んだこの曲に挑戦する新鮮さはあったと思うが…最後の決めゼリフとも言える“赤い色は大嫌いです!”をどうしても言えなくて“赤いトマトは大嫌いです!”と言い変えてしまってはミチロウに対するトリビュート度は増してしまっている…。まぁ『R☆E☆D』というタイトルのアルバムを作ってるくらいだかなぁパンタは…しょうがあんめぇ。 他の楽曲を紹介すると、セクシーでメランコリックな三軒茶屋'Sの「Stop Girl」、ザなしスターリン「包丁とマンジュウ」をファンキーにカヴァーした大槻ケンヂと電車、ダブな赤犬の「虫」、ストレートなカヴァーの犬神サーカス団「Stop Jap

PANTA参加ディスク3. Piggy 6 oh! oh!『DON'T LOOK BACK』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 Piggy 6 oh! oh!はデザイナーの山本耀司をメインヴォーカルに、鈴木慶一、真城めぐみ、あがた森魚、パンタ、早川義夫、鹿島達也、西海孝、小島徹也が参加したユニットといっていいのかな。このアルバムのプロデュースは鈴木慶一、収録されている7曲は全てカヴァー曲。1996年3月25日、アゲント・コンシピオよりリリースされた。 パンタはザ・ドアーズ「People Are Strange」のカヴァーで山本耀司とともにヴォーカルを担当している。演奏はギターとマンドリンが西海孝、ベースはスーパーバッドの鹿島達也、ドラムが小島徹也。スローなアレンジで、ウッドベースの響きが印象的なアコースティック・テイストで仕上げている。パンタの声はドアーズの曲にあっているな。『THE COVER SPECIAL』の「The End」も良かったし。1999年リリースのCDシングル「雨の化石」に収録されていたブレヒト/クルト・ヴァイルのカヴァー「アラバマ・ソング」はドアーズもカヴァーしてたし。 他の楽曲を少し紹介すると(特に記載のない楽曲のヴォーカルは山本耀司) 「Down By The River」(ニール・ヤング)ヴォーカル:山本&鈴木慶一 「The House of The Rising Sun」(トラディショナル) 「Just Like A Woman」(ボブ・ディラン)ヴォーカル:山本&あがた森魚 「君をさらって」(早川義夫)コーラスで早川義夫が参加 「500 Miles」(ヘディ・ウエスト)コーラスでパンタ参加 「It's All Over Now Baby Blue」(ボブ・ディラン) 参加メンバーのフォト(ブックレットより)

PANTA参加ディスク2. AD-BIRDS『GUITAR TRIPPER』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 1995年5月24日、ビクターエンタテイメントよりリリースの『Guitar Tripper』は、アーティスト表記がAD-BIRDSとなっているが、実際はJACK、BANZAI、NOBODY、野村義男、パンタ、ユキ・ラインハートの楽曲を収録したオムニバス盤で、G.T.ホーキンスCMサウンドトラック集Vol.1と記載があり全10曲のうち5曲がG.T.ホーキンスのCMで使用されている。 パンタは2曲で参加、5曲めに収録されている「マウンテンウィスキー〜C.W.ニコルに捧ぐ〜」は、下戸のパンタが歌うC.W.ニコルに捧ぐウイスキー讃歌。キャンピング・バックにウイスキーの小瓶をしのばせ、“山でのむ、谷でのむ、森の中でのむ”、独りになり山の上のアホになる、と溌剌とした声でパンタは歌う。アメリカンで伸びやかなスライド・ギターが印象的。 もう1曲は9曲目に収録されている「カレーと夕焼け」で、キャンプで食べるカレー讃歌。覚えがあるよなぁ、キャンプで作るカレーライス。ライスはもちろん薪を使って飯盒炊飯。“キャンプで食べるカレーは、なんて、なんてうまいんだ”とパンタはこれも力強く高らかに歌う。確かに山の中に漂うカレーの匂いを思い出す曲だよ。 2曲とも作詞・作曲はつかもとひろあき、編曲はかつてPANTA & HALのギタリストの今剛。だが、パンタのヴォーカル・イメージからするとかなり違和感がある。パンタのスウィート路線が問題作というなら、このアルバムに収録されている2曲もかなりの問題作と言えると思う。迷いなく溌剌とした力強い歌声はヴォーカリストに徹した感がある。この2曲のカップリングでCDシングルもリリースされている。 演奏しているのは、 Guitar, Pedal Steel & Flat Mandolin:今剛 Drums:山木秀夫 Bass:高水健司 Piano:難波正司 Acoustic Guitar, Keyboard, Hammond:松浦晃久 というメンバー。もちろん私は2曲とも好きだけど。 他アーティストの楽曲を少し紹介すると、JACK名義の「Fuky Campin'」

PANTA参加ディスク1.『THE COVER SPECIAL』

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ミュージックマガジン増刊『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック詩人の航跡』のディスコグラフィのなかで紹介しきれなかったと思われる幾つかのディスクを取り上げてみたい。 1988年2月6日、渋谷公会堂で行われたカヴァー・イヴェントの模様を収録したライヴ盤『THE COVER SPECIAL』(1988年4月6日リリース)。多くのミュージシャンが参加しているが、柴山俊之+SENTIMENTAL FOOL UNIT、PANTA UNIT、JOHNNY THUNDERS UNIT、THE ROCK BAND UNITという、4つのユニットでの出演となった。 PANTA UNITのメンバーは、 PANTA 中山努(Key) 中谷宏道(B) 西山嘉治(Dr) 菊池琢己(G) という当時のパンタ・バンドのメンバーに、 ムーンライダーズから鈴木慶一 有頂天からケラ、コウ ARBから石橋凌、白浜久 が参加している。 CDに収録されているのは、メインでパンタがヴォーカルをとる、 「The End〜Tomorrow Never Knows〜White Rabbit〜Somebody To Love〜The End」 という12分におよびドアーズ、ビートルズ、ジェファーソン・エアプレインのカヴァー・メドレーで、パンタ曰くサイケデリック・メドレー、「White Rabbit」のパートでヴォーカルをとっている鈴木慶一曰くベトナム戦争映画プロジェクトという付加価値もついている、という今聴いてもその完成度は高いもの。さらに「Somebody To Love」の冒頭部分にはローリング・ストーンズの「Paint It Black」のフレーズが挿入されている。「White Rabbit」で鈴木慶一がディズニー・ミッキーマウスの絵の入った分厚い本を見ながら(たぶん歌詞を挟んでいたのだろう)歌っていたのが印象的だった。 さらに有頂天からケラをヴォーカル、コウをギターに迎え丸山(美輪)明宏で知られる「メケメケ」を演奏、ARBから石橋凌とギターの白浜久を迎え「Route 66」を石橋が、「Money」で白浜久がヴォーカルをとった。 下記はCD未収録部分も含め、当日PANTA UNITが演奏した曲。 1. Revolution(The Beatles) 2. I'm A Man(Spen