投稿

BOLSHIE『1979 UNRELEASED STUDIO TRACKS』

イメージ
2022年2月25日、BASEよりリリースのアルバム。 BOLSHIE『THE BOX』 で書いたが、売切れ状態だった同時リリースの『1979 UNRELEASED STUDIO TRACKS』が4月に再プレスされて入手可能になった。よかったー。 『THE BOX』に収録されていた上野耕路プロデュースによるデモ音源が “ 自分達の表現したいものと乖離していた ”(『1979 UNRELEASED 〜』ライナーノートより)ため、バンドのセルフ・プロデュースで1979年5月にレコーディングした音源13曲を『1979 UNRELEASED STUDIO TRACKS』に収録している。録音場所は渋谷ヤマハ・エピキュラスと記載がある。 メンバーに不評だった上野デモではキーボードが大きめ(というかギターとドラムがやや抑え気味)にミックスされていたが、この『1979 UNRELEASED STUDIO TRACKS』ではギターとドラムの音がソリッドに録音されており、全体としてラウドな聴感になっている。バランスはキーボードが右チャンネル、ギターが左チャンネルに振り分けられている。 『THE BOX』にも収録されていた1979年5月8日新宿ロフトでのライヴ4曲をはさんで、実はこれが聴かせたかったのでは、と思えるのが、石田健司+岩井誠の2人により1982年春に録音されたプライベート・レコーディングの2曲。 「Cut and Carve」は打ち込みのドラムに、石田のスムースなベースラインと岩井のシンセをこれまでになく活かしたアレンジのアンビエントなナンバー。8分余りのやや長めの曲だが退屈させることはない、驚きのボルシー進化形、かっこいい。「Early C」はノイジーともいえるレゲエ/ダブなナンバーで、裏打ちのキーボードに、女性の語りが被さり、石田のヴォーカルもエフェクトがかかって雰囲気がある。打ち込みのドラム、ベースラインも工夫されているし、最後のコーラス部分も曲を魅力的にしている。 『1979 UNRELEASED STUDIO TRACKS』に封入された、石田健司(ベース&ヴォーカル)のライナーノートに、これまで2回BOLSHIEの音源リリースの話があったが途中頓挫した、と記載があるが、いぬん堂の掲示板にも“ OZ、いぬん堂と出なかった ” と書き込みがあった。 今回リリース...

NHK連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』

イメージ
NHK朝ドラ『カムカムエブリバディ』終了。 ドラマは、1925(大正14)年の岡山に始まり、家族の100年を描く。上白石萌音演ずる安子、夫(松村北斗)稔との間に生まれた娘は、ふたりの思い出の曲「On The Sunny Side of The Street」を歌い演奏したルイ・アームストロングにちなんで “ るい ”と名付けられた。このドラマの主題歌は森山直太朗の作詞作曲でAIの歌う「アルデバラン」だが、ルイ・アームストロングの「On The Sunny Side of The Street」はこの物語/劇中を通じてのテーマ曲といえるものだ。るいを演じたのは深津絵里、るいの娘ひなたを川栄季奈が演じた。 私が面白く観ていたのはるい編で、るいが大阪のクリーニング店に住み込み働き、ジャズ・トランペッターのジョー(オダギリジョー)と出会い、次第に惹かれあっていくのも微笑ましかったし、クリーニング店を営む夫婦(村田雄治と濱田マリ)のほんわかした雰囲気もよかった。ライヴ演奏もするジャズ喫茶の客ベリーちゃん(市川実日子)やジョーのライバル的なトランペッターのトミー(早乙女太一)とのやりとりも面白かった。このころは登場人物が皆優しく、名前に掛けて、るいを “サッチモちゃん” と呼び、幸せでふわふわしたムードでドラマが進む。フラットな性格のジョー、引っ込み思案なるい。ジョーはコンテストで優勝、るいと結婚の約束をした。私はこれ全部るい(か安子)の夢の中の出来事なんじゃないか、後で夢オチになるんじゃないか、と思いながら観ていた。東京でレコーディングを行なっている途中でジョーが原因不明の病気によりトランペットがまったく吹けなくなるまでは。 ジョーは絶望のあまり、全てを終わらせるためひとり海へ入っていった。このシーンは本当にせつなく、ドラマとはいえ本当に波に飲み込まれてしまうのじゃないのかと思うくらいジョーの身体は儚く映った。この海岸はジョーがるいにアメリカへの夢を語った場所。それと悟ったるいが駆けつけ海に入りジョーをきつく抱きしめ助け出す。ここでふたりはさらに強く結びつき、るいとジョーは改めて陽のあたる道を歩く事を決意したのだと思う。 るい編に出てくる時代劇映画『黍之丞 妖術七変化 隠れ里の決闘』は、内容とドラマ内での使われ方が意表をついていたが、この劇中時代劇の黍之丞の決め台詞、“ 暗闇...

THE CLASH『COMBAT ROCK / THE PEOPLE'S HALL SPECIAL EDITION Includes unreleased tracks』リリース!

イメージ
ザ・クラッシュ『コンバット・ロック』のスペシャル・エディションの日本発売が決定。 オリジナル・アルバムにディスク2(12曲)を加えたCD2枚組 『コンバット・ロック/ザ・ピープルズ・ホール(40周年記念盤)』で、2022年5月25日にリリースされる 。 ソニー・ミュージックのインフォメーション によると、 “ ザ・クラッシュがニューヨークのナイトクラブ『ボンズ・カジノ』で17回連続ライヴを行なったのは、1981年。そのきわめて重要な意味を持つ公演を終えるとすぐ、彼らはロンドンに戻り、ラティマー・ロード周辺の不法占拠地域、フレストニア共和国のザ・ピープルズ・ホールでリハーサルとレコーディングに取り組んでいる ” とある。いまいち意味不明だが調べてみると… ロンドンのラティマー・ロード周辺で1970年代に不法占拠者達が独立を宣言した地域がフレストニア共和国で、そのコミュニティの中心として使われていたのがビクトリア朝の建物 ザ・ピープルズ・ホール (現在もあるようだ)。そこはクラッシュだけではなく、キリング・ジョークやモーターヘッドなども利用していたという。 この『コンバット・ロック』スペシャル・エディションCD2枚組にも収録される『コンバット・ロック』制作時のアウトテイク「Midnight To Stevens」は、1991年リリースのボックスセット『クラッシュ・オン・ブロードウェイ』が初出だ。『〜ブロードウェイ』のブックレットには「Midnight to Stevens」について下記にように説明がある。 “ 1981年9月17日、ロンドン、フレストニアのピープルズ・ホールにてレコーディング。ローリング・ストーンズ・モービルおよびイアー・スタジオを使用。エンジニアはジェレミー・グリーン ” 日本のソニー・ミュージックのインフォメーションを続けると、 “  このディスクのハイライトは、ローリング・ストーンズのモービル・スタジオを使ってザ・ピープルズ・ホールで録音した「権利主張」のニュー・ヴァージョンと、 完全未発表のインストゥルメンタル「ヒー・フー・デアーズ・オア・イズ・タイアード」。ほかに、「ザ・エスカペイズ・オブ・フューチュラ2000」の未発表オリジナル・ミックス「フューチュラ2000」、 マイキー・ドレッドの「レディオ・ワン」、以前は「ザ・ビューティフル・ピ...

飯嶋俊男+古川博一:編『CHIRASHI Tokyo Punk & New Wave '78-80s』

イメージ
2022年3月31日、SLOGANより刊行。 1978年〜1984年までの東京(ほぼ首都圏)のパンク・ニューウェイヴ・シーンで撒かれたチラシ(ビラ/フライヤー)を700枚強収録した本が刊行された。A4判480ページの分厚い本だ。編者としてRecord Shop BASEの飯嶋俊男、音楽雑誌ライター、Marble Sheep等のメンバーだった古川博一。当時のシーンを振り返るには興味深いドキュメントだし、今は無くなったと思うけどネット上に個人が開設した同趣向のHPもあった。 ライヴや音源リリース告知、バンドメンバー募集などを印刷(コピー)したタダ(無料)のペラ紙がチラシで、手書きのイラストやバンドの写真にインレタや手書きの文字が使われていたが、なかにはデザインはともかく、どこかの本や雑誌から写真や絵を切り取ってコラージュしたり、新聞や雑誌から文字を切り貼りしたものもある。チラシはライヴ会場などに入場する際手渡しされたり、レコード店の置き場にあって興味あるものを持っていくもので、もとはタダのものを集め、それを3,900円(税抜)で売る、というのはどうなのか(700枚として1枚あたり約5.6円…当時のコピー代を思えば安いのか…)と思ったが、巻頭のカラーページ(32ページ)の鮮やかさや、チラシに込められたデザインを含めた情報を1枚ずつ読んでいくにつれて購入して良かったなと思う。 津島秀明監督の映画『ROCKERS』のチラシ、『パンク仕掛け99% No.2』ライブ告知、アルバム 『東京ロッカーズ』リリース記念ライヴの告知、色付きだったんだ…。マリア023のジュネとノンのカラー写真を使ったライヴ告知チラシもカッコいい。 東京アンダーグラウンドということで東京ロッカーズ、フリクション、ツネマツマサトシ、E.D.P.S関連のチラシもあるが、そのあたりは こちらのHP で取り上げるとして、ザ・ルースターズ関連では、 1981年11月20日(金)法政大学キャンパス特設大ステージ 「OUTSIDE ROCK CONCERT」 A.R.B IMITATION BUSINESS ROOSTERS CONX ETC. 1983年1月14日(金)池袋西武STUDIO 200 「通俗・異端・音楽実験室 SOGO ISHII'S PRESENTS 思春期挫折症候群(シンドローム)」 Live:...

JOHN CALE「HALLELUJAH」

イメージ
1991年、Oscar/Columbiaよりリリースのトリビュート・アルバムより。 北京オリンピックでのドーピング疑惑、ウクライナ侵攻により世界選手権からの除外と、2022年に入りロシア関連の問題が続けて起きたフィギュア・スケートの2021年−2022年シーズンが終了した。 緊迫した状況となったシーズンだったが、注目だったのはアイスダンスに転向しフィギュアスケート選手としてカムバックした高橋大輔。パートナー村元哉中と“かなだい” の愛称で呼ばれ驚きの進化を遂げ、その演技にドキドキ・ワクワクした。そしてもう一組、表現力と技術に安定と勢いを増し調子を上げてきた三浦璃来&木原龍一ペアの躍進だ。2021年グランプリシリーズのスケートアメリカで銀メダル、NHK杯で銅メダル、2022年北京オリンピックでは7位入賞、団体では銅メダル獲得に大きく貢献、世界選手権では銀メダル獲得と、国際大会において日本のフィギュアスケート・ペアとしては、これまでにない成績を残した。これは本当に嬉しいし次シーズンへの期待も高まる。 三浦璃来&木原龍一ペアがショート・プログラムで使用していた楽曲が「ハレルヤ」だった。この曲は以前パトリック・チャンが使用していた ジェフ・バックリィのカヴァー・ヴァージョン を紹介したが、三浦璃来&木原龍一ペアが使用していたのはカナダ出身のシンガーソングライター、k.d.ラングのカヴァー・ヴァージョン(原曲はレナード・コーエン)。ゆっくりとしかしリズミカルに奏でるピアノの弾き語りで歌われるk.d.ラングのヴァージョンは、しっとりした情感たっぷりの演技をする“りくりゅう”ペアにはぴったりだった。ふたりの演技を見てこの曲に魅せられた人もいると思う。このk.d.ラングのカヴァー・ヴァージョンは女子シングルでアメリカ代表のマライア・ベルがフリーの演技に使用していた。 さて、今回紹介するのはk.d.ラングではなく、ジョン・ケイルによるピアノの弾き語りカヴァー・ヴァージョン。英国ウェールズ生まれのジョン・ケイルは、ゴールドスミス・カレッジで音楽を学び、ラ・モンテ・ヤング、ジョン・ケージ、トニー・コンラッドと関わりのあったアヴァンギャルド/現代音楽家、いうまでもなくヴェルヴェット・アンダーグラウンドの結成メンバーである。やや敷居の高いアーティストという感じもするが、このジョン・ケイル「ハ...

THE ROLLING STONES『EL MOCAMBO ’77』

イメージ
1977年9月にリリースされたストーンズのライヴ盤『 ラヴ・ユー・ライヴ 』にはカナダ・トロントのキャパシティ数百人規模のクラブ、エル・モカンボのライヴから4曲が収録されていたが、この4曲を聴くとエル・モカンボでのライヴをもっと聴きたくなるよね…。 シークレット・ライヴ、少人数クラブでの演奏、渋い選曲…。それで中古のブートレッグを買った。9曲入りのアナログでカラーレコード盤だった。だけど、途中でブチ切れる「Let's Spend The Night Together」や後半のアセテート盤起こしの音源部分は激しいチリノイズでなかなか厳しい音質だった。ジャケは最高だし演奏自体は非常に興味深いのだが…。で、これは聴かないかなーと思って、このアナログ・ブートは売ってしまった。それから数年後、またもや中古で同じジャケで同じ内容のブートCDに出くわす。CDならチリノイズは軽減されてるかも…と僅かな期待を込めて買ってみた、まぁ500円くらいだった思うが。レーベルなのかなCHACO MUSIKで、型番RSCD-377という。まんまアナログ・ブートをCDにしたもので音質もそのまま、やはり後半のチリノイズは激しい。このCDはまだ家にある(右上のジャケ写)。 で、ここからが本題だが、ようやく!遂に!ローリング・ストーンズが1977年3月にカナダ・トロントのエル・モカンボでおこなったライヴが『ライヴ・アット・エル・モカンボ』として2022年5月13日、オフィシャル・リリースされる!1977年3月5日のライヴ全曲に、3月4日のライヴから3曲のボーナス・トラックを追加した全23曲、2CD仕様と4LP仕様(蛍光色Neon Vinyl または Black Vinyl)で発売されるということだ。日本発売ユニヴァーサルのインフォメーションは こちら 。 うれしい!だけど、オフィシャル盤のジャケットはどうかな?電飾っぽいところがエル・モカンボな感じなのかな…。1977年のエル・モカンボの写真を使うとか、もう少し工夫が欲しいところ。

山口冨士夫『ひまつぶし』

イメージ
2022年3月9日、Good Lovin'よりリイシューのアルバム。 山口冨士夫のファースト・ソロ・アルバムが2022年デジタル・リマスターが施されリイシューされた。 オリジナルはエレック・レコードより1974年4月リリース、私はヴィヴィッドから1986年に再発されたレコードで聴いて愛聴していたが、その辺りは山口冨士夫が亡くなった 2013年8月の記事 で書いた。 2001年にGood Lovin'からオリジナル・ジャケットのアートワークでCD再発された際にボーナストラックとして1974年4月20日、名古屋市公会堂のライヴ3曲「CAN NOT WAIT」、「からかわないで」、「誰かおいらに」が収録された。このライヴ、ネット上で以前のインフォメーションを読むと名古屋市公会堂で3曲のみ演奏しステージを去ったパフォーマンスの全曲だという(ベース小林英男、ドラム高橋清)。その後VAPからCD再発(ボーナストラック無し)、さらに2014年再びGood Lovin'からリリースの際、アルバム『ひまつぶし』制作時にエレック・スタジオで録音されたデモ・トラック「unknown tittle」、「おさらば demo version 1」、「おさらば demo version 2」の3曲が追加収録されている。 今回はGood Lovin'から3回目のCD再発となるが、オリジナルオープンリールマスターから2022年最新リマスタリング、ボーナストラックは前回と同じライヴ3曲+デモ3曲という内容だ。 1986年にもCD化はされているが、私は今回のリイシューまでこのアルバムのCDは購入していなかった。しかし今回のリリース・インフォメーションで、 1.からかわないで (未発表/Alternate Outtake)  2.泣きたい時には (未発表/Alternate Outtake) 3.Can Not Wait (Instrumental Demo) 4.ひとつ (Acoustic Demo) という内容の先着限定特典CDR付き、ということだったので、なんかいっぱいライヴやデモ、アウトテイクが聴けるな(ボーナストラック6曲に特典CDR4曲の全10曲!)ということで予約して購入したのだった。 私はディスクユニオンで購入したが、Good Lovin' Prod...

BETON (Бетон)「KYIV CALLING」

イメージ
Kyiv calling to the faraway towns Now war is declared and battle come down Kyiv calling to the whole world Come out of neutrality, you boys and girls Kyiv calling, now don't look to us Phony Putinmania has bitten the dust Kyiv calling, see we ain't got the planes So clear our skys stop the rockets of pain The iron age is coming, the curtain's coming down Meltdown expected, the wheat is growing thin Engines stop running, but I have no fear 'Cause Kyiv is rising  We live by resistance Kyiv calling to the NATO zone Forget it, brother, we cant go it alone Kyiv calling to the zombies of death Quit holding Putin up, and draw another breath Kyiv calling and I have to shout But while we were talking, I saw oligarchs slipping out Kyiv calling, see we cannot retreat We’re already home, so Russia ships fuck you The iron age is coming, the curtains coming down Engines stop running, the wheat is growing thin A nuclear error, we should have real fear 'Cause Kyiv is rising We live...

BOLSHIE『THE BOX』

イメージ
2022年2月25日、BASEよりリリースのボックス・セット。 先日紹介 した真島昌利著 “自伝的ディスク・ガイド” 『ロックンロール・レコーダー』に交友関係が記されていたバンド、ボルシーのCD5枚組ボックス・セットがリリースされた。これまで公式に発表されていたボルシーの楽曲は、1979年4月にビクターよりリリースされたオムニバス・アルバム『 東京ニュー・ウェイヴ'79 』に収録されていた「ロボット・イン・ホスピタル」、「クロックワーク・アーツ」、「ノスタルジック・ボーイ」の3曲のみ。1978年5月頃にバンド結成、8月13日の初ライヴから1979年5月8日のラスト・ライヴまでほぼ1年の活動をパックしたボックス・セットとなった。 各CDの内容だが、 CD1 Track1〜12:1978年11月19日、ライヴ at S-KENスタジオ Track13〜19:1978年 デモ音源 at S-KENスタジオ  CD2 Track1〜11:1978年9月24日、ライヴ at 新宿ライヒ館モレノ  Track12〜21:1979年1月21日、ライヴ at 新宿ライヒ館モレノ CD3 Track1〜13:1979年2月10日、ライヴ at 新宿ロフト CD4 Track1〜15:1979年5月8日、ライヴ at 新宿ロフト CD5 Track1〜16:1979年 デモ音源 at PARISスタジオ(上野耕路プロデュース) となっている。 クラッシュやダムド等のレコードを聴いて影響を受け、楽器を手にし、バンドを組み、歌い始めた若きパンクス・ボルシーの激しいエナジーとクールな感覚を聴く事ができる。当時メンバー全員高校生・平均年齢16.5才と紹介されていたが、ベースラインやロックンロールなギター、コーラスなど工夫された楽曲の構成・アレンジ、歌詞の内容は非凡なものと思う。 1978年11月19日の S-KENスタジオでのライヴ(CD1)は、「ロボット・イン・ホスピタル」を除く曲が全て3分未満で、ミッド・テンポで凡庸への埋没を歌う「Heavy」以外はカッ飛びチューン連続、その勢いが魅力的だ。1978年9月24日の新宿ライヒ館モレノでのライヴ(CD2)も曲目は若干異なるが同様のハイ・スピード、ショートチューンのライヴ。個人的にはこのCD1のライヴ部分が好み。 ボックスのハイ...

ナイアガラ・トライアングル 佐野元春・杉真理・大滝詠一「A面で恋をして」

イメージ
1982年3月にリリースされた佐野元春・杉真理・大滝詠一によるアルバム 『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』の収録曲で、前年の1981年10月に先行シングルリリースされた「A面で恋をして」のオフィシャルMVがアルバム・リリース40周年を記念して完成した。 シンガポール在住のインドネシア人映像クリエイターArdhira Putraが江口寿史のイラストを使用して制作したアニメーションとなっている。 カセット・テープのヘッドフォン・ステレオ、レビンなど80'sアイテムが登場するが、Shiggy Jr.のアルバム『ALL ABOUT POP』(2016年)通常盤のジャケ・イラストが時々登場するがいいな。

ヴィヴィエン・ゴールドマン著・野中モモ訳『女パンクの逆襲ーフェミニスト音楽史』

イメージ
2021年12月23日 ele-king booksより出版。 著者のヴィヴィエン・ゴールドマンは英サウンズ紙等の音楽ライター、ジェネレーションXやスナッチのマネジメント、独立テレビ放送局プロデューサー&ディレクター、パンク・プロフェッサーの異名を持つ大学非常勤講師、自身もシングル「 Launderette c/w Private Armies 」を1981年にリリース、といった経歴を持つ。 原題は『Revenge of the She-Punks:A Feminist Music History from Poly Styrene to Pussy Riot』で、『女パンクの逆襲:フェミニスト音楽史 ポリー・スタイリンからプッシー・ライオットまで 』となる。つまり1977年にデビューシングル「Oh Bondage Up Yours!」をリリースしたUKパンク・バンド、Xレイ−スペックスのヴォーカリスト、ポリー・スタイリンから、2012年モスクワの大聖堂で反プーチンを叫ぶゲリラ・パフォーマンスを敢行しメンバーが逮捕・収監されたロシアのプッシー・ライオットまで、女性の権利、言論と行動の自由を掲げ音楽活動を実践した女性達のパンク音楽史である。原書は2019年に出版されている。 “ 女性たちはいろいろな形で、制度的な欠如、家庭内での権利の剥奪、公的および職業的領域での軽視あるいは透明化の代価を支払ってきた ” “ すべての女性にはいつであろうと着たい服を着て外を歩く権利があって然るべきだ。このことを繰り返し確認しなければいけないたったひとつの理由は、これが21世紀初頭の今あたりまえの現実になっていない ” “ 逆襲とは同輩の男性たちと同じ機会を獲得することを意味する。自分の音楽を作ること、自分の望むような見た目をして音を出すこと、そのプロセスを継続できるだけの人々を集めること ” 1970年代半ば過ぎにパンクが出現するまでは女性が音楽活動を通して不平等に対して異議申し立てをするということは手軽というにはほど遠かった。もちろん女性のアーティスト、パフォーマー、シンガーは存在した。前衛としてのオノ・ヨーコ、ジョーン・バエズやジョニ・ミッチェル等のフォーク・シンガー達、それに先駆としてのザ・ランナウェイズ。 若きアウトサイダー達がバンドを組んでアタマの固い大人達や社会、専制や権...

佐野元春「僕は愚かな人類の子供だった」

イメージ
やがて君は英雄になった 君は愚かな人類のために犠牲を払い続けた 君はその愚かな人類の仲間入りをしたいと願った 僕にはどうすることもできなかった そして君は 僕の英雄になった 幼い僕は残酷だった 君がアンドロイドと知るまでは なぜなら僕には愛も正義もなかったから 君がいなくなったとき 幼い僕は泣いた さびしかったからではなく なぜなら僕は 愚かな人類の子供だったから

THE CLASH「THE CALL UP」

イメージ
For he who will die is he who will kill Maybe I wanna see the wheatfields Over Kiev and down to the sea

BLACK SABBATH「WAR PIGS」

イメージ
Politicians hide themselves away They only started the war Why should they go out to fight They leave that all to the poor

PATTI SMITH「PEOPLE HAVE THE POWER」

イメージ
That people have the power To redeem the work of fools Upon the meek the graces shower It's decreed the people rule The people have the power The people have the power The people have the power The people have the power

BRUCE SPRINGSTEEN & THE E STREET BAND「WAR」

イメージ
War What is it good for Absolutely nothing Say it again War What is it good for Absolutely nothing War It's nothing but a heartbreaker War Friend only to the undertaker War is enemy of all mankind The thought of war blows my mind Handed down from generation to generation Induction destruction Who wants to die

真島昌利著『ロックンロール・レコーダー』

イメージ
2022年2月10日、ソウ・スウィート・パブリッシングより 真島昌利の “自伝的ディスク・ガイド” 『ロックンロール・レコーダー』が発売された。 本のサイズは7インチ・シングル・レコードのサイズで、裏表紙は7インチ・アナログ盤のレーベルを模してある。マーシーが小学6年生で出会い衝撃を受けたビートルズから50年代のロックンロール、ストーンズ、ブルース、ソウル、パンク、レゲエ、ネオスカ、ネオアコ等の私物レコードのLP、7インチ(日本盤シングル多し)をオール・カラー撮り下ろしで紹介している。さらに日本のグループのレコードも紹介しているのもうれしい。まぁディスク・ガイドというより、レココレで連載していた大鷹俊一の「レコード・コレクター紳士録」や雑誌『ROCKS OFF』に連載されていた「オレの100枚」的な内容ともいえる。ピストルズ「God Save The Queen」やダムド「炎のロックン・ロール(原題:Neat Neat Neat」など、7インチ・ジャケットが原寸大で紹介されているものもあり。 ディスクを紹介する文章はマーシーがレコードを手に入れ聴いた当時のピュアな感想・衝撃をその時の出来事も交えて綴られており、“ロックンロールの神様の声” が何度も聞こえる、読んでいてわくわくするような内容だし、さりげなく名言多し。1978年クリスマス・イヴ at S-Ken Studioでマーシーライヴしてるんだ(B中嶋一徳、D田島カズヒト)…もはや東京ロッカーズ/ニューウェイヴと言っていいな。お兄さんや親父さんとのエピソードも微笑ましい。初めて手に入れたエレキ・ギターのグレコ・レスポール・モデルなどのギターも紹介されている。フジロックでのジョー・ストラマーにはホロリ。 あっという間に読了したが、ロック/パンクの初期衝動と暴力性、自由な感覚とスピード感をオールカラーのジャケ写とマーシーの言葉でうまくパックした、Fuck Boredom, Let's Rock!な一冊。Vol.2出して欲しいな。 右上の表紙写真はディスクユニオンのオリジナル特典“レコード帯型特製しおり”と一緒にスキャンしたもの。

追悼・LEE PERRY

イメージ
リー・ペリーが逝去。 キンキンなハイハットの音とジャッキジャキなギターカッティング、ヘヴィなベース、ダブは日本のミュート・ビート経由でリー・ペリーを聴くようになった。リー・ペリーはクラッシュの「コンプリート・コントロール」のプロデュースもあったな。クラッシュがカヴァーした「Police and Thieves」も作者はジュニア・マーヴィンとリー・ペリーだった。 この動画は「Police and Thieves」のアップセッターズ(リー・ペリー)によるダブ・ヴァージョン「Grumbling Dub」。

追悼・CHARLIE WATTS THE ROLLING STONES「TIME WAITS FOR NO ONE」

イメージ
チャーリー・ワッツ逝く。 Time can tear down a building Or destroy a woman's face Hours are like diamonds Don't let them waste Time waits for no one No favours has he Time waits for no one And it won't wait for me from Album 『It's Only Rock'n' Roll』 R.I.P. Charie

私の放浪音楽史 Vol.90 THE ROOSTERZ『φ PHY』

イメージ
1984年12月21日、日本コロムビアよりリリース。ザ・ルースターズ、6作目のアルバム。 1984年10月28日に当時三軒茶屋にあった日本大学農獣医学部東京校舎 三茶祭「日大 Beat Pop Gig 84」、11月3日には上智大学お祭り広場に出演したルースターズ、どちらも無料ライヴで、どっちか見に行ってると思うんだがほぼ記憶なし…。その後11月上旬に東北地方でのライヴを数本行い、12月21日に6枚めのアルバム『φ PHY』をリリースした。 レコーディングはスターシップ・スタジオでおこなわれているが、日付のクレジットはなし。 ロッキンオン・ジャパン1988年9月号のインタビューで下山は、“ 『φ』のレコーディングは2ヶ月かかった(略)本当は1月もかからずに出来たんだけど、肝心のボーカルの人が来ないの。今日は1行録れたか、て感じだったから ”、” 時間がどんどん過ぎていって、2ヶ月のうち1ヶ月は彼の時間 ” またロック画報17「特集・めんたいビート」(2004年)のインタビューでも下山は、 “ これは3ヶ月位かかってるんですよ。僕はヒマだったんで、ギター・パートを何回も録り直したりしてました。 ”と語っている。スケジュール的にみて、おそらく10月〜11月頃にかけてレコーディングが行われたと思われる。花田は、“『φ』のレコーディングの1ヶ月前ぐらいかな、大江がまた入院しちゃって。その時、曲が2曲ぐらいしかなくて、でも出せってレコード会社から言われるし ”と語っている。 大江の体調不良と準備不足がありながらもレコーディングを進めざるをえなかったようだ。 レコーディングメンバーのクレジットは、 大江慎也:Vocal 花田裕之:Guitars 下山淳;Guiatrs, Bass 灘友正幸:Drums 安藤広一:Keyboards で、柞山はレコーディングに参加しておらず、ベース・パートは下山が担当した。 さらに下山によると、このアルバムのドラムに関して” 実はクレジットされてないけど、タイコの半分は、俺の友達が叩いてる ”と内情を明かしている。 オリジナルのアナログ盤(AF-7334)はジャケットをシュリンクで包み、帯はなくタイトル・ステッカーを左上に貼り付けた仕様。このステッカー、地球をグリーンランドを中心に左下がアメリカ大陸、右上はヨーロッパ大陸という視点のものが使用され...