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追悼・MARK STEWART

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尖ったギター・カッティング、うねるベース、鋭い16ビート、フリーキーなサックス、時にリリカルに響くピアノ…ザ・ポップ・グループのファースト・アルバム、『Y』(1979年)、さらにリズムが強靭になりトライバル感も増したセカンド『ハウ・マッチ・ロンガー』(1980年)。 ザ・ポップ・グループのサウンドは衝撃的だったが、マーク・スチュアート(アンド・ザ・マフィア)のソロはさらに過激だった。 闘争的なジャケのソロ2枚目『AS THE VEENER OF DEMOCRACY STARTS OF FADE』(1985年)は、ダンサブルなリズムの上を銃弾のように激しく飛び交い、砲撃のように響くサウンド・エフェクト、カット・アップ/コラージュ、ノイズ。そしてマーク・スチュワートのスクリーム/アジテーション。もはやメロディらしきものはなくリミックス・アルバムのようだが、そのサウンドには焦燥感と不思議な高揚感が混じり合っていた。 2023年4月21日、マーク・スチュワートが逝去。 ザ・ポップ・グループが発したメッセージは今も世界へ問い続けている。 HOW MUCH LONGER DO WE TOLERATE MASS MUDER ?

MY PLAYLIST Vol.4『THE VERY BEST OF ROCK'N'ROLL GYPSIES』

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ロックンロール・ジプシーズは当初1995年〜1997年にかけて、花田裕之のソロ活動に際し名付けられたプロジェクト的なバンド名称だったが、2001年10月14日「北九州博覧会 Rock'in Expo 2001」にロックンロール・ジプシーズのバンド名義で出演。続いて2002年3月1日には渋谷ON AIR EASTでライヴ、その後もライヴを重ね、 2003年6月18日には スタジオ・アルバム 『I FIRST』をリリースしロックンロール・ジプシーズが継続的なバンドであることを印象付けた。 メンバーは、 花田裕之 Vocal & Guitar 下山淳 Guitar & Vocal 井上富雄 Bass &Vocal 池畑潤二 Drums で始まったロックンロール・ジプシーズだが、ベースの井上 が2003年末に脱退、奈良敏博をゲスト・プレイヤーとして活動を続け、後任ベーシストには市川勝也(元POTSHOT)が加入している。アルバム『II』では井上が8曲、市川が4曲でベースを担当した。 2003年〜2016年でスタジオ・アルバムは4枚。他に映画『ロッカーズ』サントラ盤に参加、ボ・ガンボスのトリビュート盤(2005年)に甲本ヒロト&ROCK'N'ROLL GYPSIESで1曲参加している。なかなか寡作なロックンロール・ジプシーズであるが、主にオリジナル・アルバム4枚から自分の好きな曲を選びベスト盤を作ったのは、2019年頃と思う。まぁライヴ・アルバムもあるのだがスタジオ録音のみで選曲。発表順ではなく全体のバランスとCD-Rに焼いて聴くことを考えた曲順にした。 以下、私の選んだ、THE VERY BEST OF ROCK'N'ROLL GYPSIES。  1. Frame Up Boogie(作曲:ROCK'N'ROLL GYPSIES)  2. 渇く夜(作詞・作曲:花田裕之)  3. 只の夢(作詞:柴山俊之 作曲:下山淳)  4. そろそろ(作詞・作曲:花田裕之)  5. 風の跡(作詞・作曲:花田裕之)  6. You won't be my friend(作詞・作曲:下山淳)  7. Hō Train Boogie(作詞:柴山俊之 作曲:花田裕之)  8. Hey DJ(作詞・...

Guitar Magazine 2023年5月号『特集・鮎川誠/トム・ヴァーレイン』

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2023年4月13日、リットーミュージックより刊行。 ギター・マガジン買ったのは何十年振りだろうな…。なにしろ鮎川誠とトム・ヴァーレインの2大特集。それに“鮎川誠の1969年製レス・ポール・カスタム原寸大ポスター付きだ!これは買うよね…(ポスター壁に貼るのか?)。 鮎川の特集は写真、記事含めて53ページ。大鷹俊一による鮎川の活動を振り返る文章、過去のインタビュー再掲載3本、愛機1969年レス・ポール・カスタムをはじめとして鮎川所有ギターの紹介、愛用のマーシャル・アンプ紹介、鮎川が通った楽器店のオーナーへのインタビュー、ディスコグラフィ、様々なミュージシャンからのメモリアル・メッセージを掲載。 どの記事も興味深く読めるが、なかでも愛機1969年レス・ポール・カスタムの詳細な紹介は驚異的だった。確かにブラックの塗装は剥がれているが、フレットやブリッジ、ピックアップや電装系、スイッチなどは使い易いように、常に良い音が出せるようにメンテしているんだろうな、と思っていたが、いやいやそうじゃなかった。錆で固まったテールピース、ブリッジ、割れたピックアップ・カバー…錆びついて回るネジは1本もないというギター…恐るべしパーツを換えないオリジナルの音へのこだわり。ほかに所有ギター24本がカラー写真で紹介。レス・ポール・カスタムは6本、ギブソン・レス・ポール・ジュニア・ダブルカッタウェイTV、アルフィーの高見沢にプレゼントされたというブルーのフライングV、『クール・ソロ』のタイトルの由来となったグヤトーンLG-120Tも。機材関係の紹介文は小林弘昂によるもの。 ディスコグラフィは前田栄達と小川真一が担当。ミュージシャンからのメモリアル・メッセージには、最も好きな曲という質問があるが、これは難しすぎる…「ユー・メイ・ドリーム」、「レモンティー」、「DEAD GUITAR」、「キング・スネーク・ブルース」…といった曲が選ばれているが…チャーが「ビールス・カプセル」を選んでる!カヴァーして欲しい! トム・ヴァーレインの特集は20ページ。五十嵐正によるバイオ記事、ディスコグラフィは行川和彦、トム愛用ギター紹介は川上啓之によるものでステージ写真も交えながらダンエレクトロ、ジャズマスター、ジャガー、ダン・アームストロング、STタイプなど12本を紹介。 トムのソロ〜再結成テレヴィジョンを支えたギタリ...

片岡たまき著『あの頃、忌野清志郎と』

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2023年3月9日、ちくま文庫より刊行。 2014年に宝島社から刊行された単行本『あの頃、忌野清志郎と』が、加筆、再編集、“ボーナストラック”として「リンコさん」の章を追加し文庫化。 中学生12歳(1972年と思われる)でRC好き、清志郎好きになり、“いつかきっとRCと仕事をするんだ”という将来の夢を抱き、それを叶えてしまう著者片岡たまきの実行力というか忍耐力というか執着心に驚く。1982年、RCの当時の事務所「りぼん」に入社、ついにRCの衣装管理専任・衣装係になりライヴ、ツアーに同行する(ファンクラブ会報の仕事もあり)。1985年、RCが「りぼん」から独立し新事務所「うむ」を立ち上げてしばらくして衣装係からマネージャーに就任、1990年最後のツアー前までRCのマネージャーを務めた。このRC末期、片岡たまきにかけた清志郎の言葉がこの本のひとつのハイライトだろう。 その後、片岡たまきは1991年冬から金子マリのマネージャーになり、1999年からは友人5人と小さな飲み屋「8039」を開店、2004年からは再び清志郎のライヴ衣装を手がけるようになる。そして2009年5月…五百羅漢寺でおこなわれた清志郎の葬儀、告別式から青山葬儀所で行われたお別れの会「青山ロックン・ロール・ショー」までの様子が記され本編終了。 副題は“ボスと私の40年”。片岡たまきから見た清志郎、RCの姿が描かれ、ゴーストライターを頼まれた『忌野旅日記』、清志郎ソロのブロックヘッズとの交流、タイマーズの活動、RC最後のヒリヒリとした雰囲気など、RCと清志郎の側にいたからこそ書ける内容でもある。辛いエピソードもウェットにならず、シリアスなりすぎず、さらりと書かれているので読みやすい。“ボーナストラック”「リンコさん」もホロリとする。竹中直人による解説というか“スペシャル・ボーナストラック”も楽しい。清志郎が音楽を担当した竹中直人監督『119』ビデオで観たな。DVD化されてないんだ…。企画段階で終わったおやじバンド(ヴォーカル沢口靖子)の映画『太陽のあたる場所』観たかったなぁ。 図版は白黒だけど、チケットの半券やチラシ、清志郎自筆のメモ、FAX原稿などが少しだけど掲載されている。 この本で知ったんだけど片岡たまきは、小山卓治がデビュー後に一緒に演奏していたバンドTHE CONXのキーボード奏者ロケット・マツの奥...

追悼・坂本龍一

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坂本龍一が逝去。2023年3月28日、71歳だった。 4月2日、日曜日の夜10時頃飛び込んできた臨時ニュース。 今年1月にNHKで放送された『Playing the Piano in NHK & Behind the Scenes』で映し出されていたのは病と闘う坂本龍一の姿、そして体力と気力を振り絞りピアノに向かって自分の愛する音を紡ぐ姿であった、 私がYMOを聴き直すきっかけとなった、サイバーパンクを先取りしたともいえるジャケットに包まれたUSリミックス仕様のファースト(1979年)。坂本龍一作の東風(Tong Poo)収録。たぶん買ったのは1980年代後半。 映画『戦場のメリークリスマス』はロードショーで観たと思っていたが思い返してみると、どこか名画座の大島渚監督特集で観たと思う。(一時期大島渚映画に嵌まってた)。武士道精神の塊、生粋の日本軍人ヨノイ大尉を坂本龍一が演じるというのも意外だったが、ボウイ演じる捕虜のセリアズに惹かれていく、憎むべき敵への好奇心/憧れという裏腹な感情を表現した秀逸な演技だった。言わずもがなの名作サントラ『戦場のメリークリスマス』(1983年)はヨノイ・ジャケ。デヴィッド・シルヴィアンの歌う「Forbbden Colours(禁じられた色彩)」収録。 クールでアヴァンギャルドな『B-2 UNIT』(1980年)。ダブに興味を持った時期に入手した。デニス・ボーヴェルやアンディ・パートリッジ参加の非常にかっこいい先鋭作。 一時期ボサノヴァにハマった時期に買ったモレレンバウム2/サカモトのアルバム『ア・デイ・イン・ニューヨーク』(2003年)。ヴォーカルのパウラ・モレレンバウム、チェロのジャキス・モレレンバウム、ピアノ坂本龍一のユニット作。ジョビン作品を多く取り上げているが、坂本龍一作「タンゴ」も収録。「サンバ・ド・アヴィオン」では戦メリのテーマもちらり。 『グルッポ・ムジカーレ』は『千のナイフ』(1978年)〜『ラスト・エンペラー』(1988年)までのベスト盤で13曲を収録。1988年→1978年に遡る曲順で収録。 CDシングル「RESCUE c/w RYDEEN 79/07」は2007年リリース。HASYMO名義の「RESCUE」はアニメ映画『EX MACHINA エクスマキナ』テーマ曲で作詞:細野晴臣、高橋幸宏、CHIHO SH...

近田春夫著『グループサウンズ』

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2023年2月17日、文藝春秋より刊行(文春新書) “GSとは何だったのか” 私がテレビの歌番組やドラマを興味を持って見始めた頃には沢田研二はソロで歌っていたし、萩原健一はマカロニ刑事で傷だらけの天使だった。しかし…ブルー・コメッツの♪もりとんかつ、いずみにんにく、かこーまれてんぷら♪…という「ブルー・シャトウ」の替え歌は歌っていたな。この歌どこで知ったのだろう? 中学生頃に聴き始めた日本のロックは、四人囃子やカルメン・マキ&OZなどで、だいぶGSから時代が下っていたけど、GSの有名曲はテレビやラジオなどから聴こえてきて幾つかは覚えた。先の「ブルー・シャトウ」、「花の首飾り」、「エメラルドの伝説」「想い出の渚」、「長い髪の少女」といったところ。しかしハードロック、プログレ、その後パンク、ニューウェイヴと興味は移っていったが、GSというのは既に懐メロな感じで、少女趣味的な歌詞やルックスもねぇ、まぁ関心はなく当時私の周りにGS好きという知り合いもいなかったな…。 それからしばらくして1983年に小山卓治がデビューアルバム『NG!』でモップスの「朝まで待てない」をカヴァーしているのを聴いて、モップスのベスト盤を借りて聴いた。1980年代中頃からネオGSと呼ばれるバンド群が登場し1980年代後半にはネオGSムーブメントとして盛り上がる。ネオGSはパンクによるロックンロール復権とニューウェイヴによるサイケデリック再評価を受けて日本ロックのルーツとしてGSに再注目、またカルトなGSバンドをナゲッツ/ガレージ・ロック的に掘り起こすという面もあったと思う。いくつかのネオGSバンドのアルバムは聴いたが、オリジナルGSはコンピで聴くくらいだった。 “ 誰もが知るヒット曲でお馴染みの、素人にもそれと名のわかるグループに出来得る限り焦点を絞り、ムーブメント/ブームの検証を試みる” という近田春夫の思いから始まり出版された『グループサウンズ』。“GSとは何だったのか”というテーマはこの本のプロローグで3つの特徴を近田が語っている。 ・バンド自作自演ではなく職業作家による楽曲を演奏して大ヒット。 ・テレビ局と芸能プロダクション主導によるブーム。 ・ロックに興味のない作家の楽曲が醸し出す不思議な魅力。 これを本書は掘り下げていくのだが、第一部は近田春夫とライターの下井草秀の対話によるグループサウ...

私の放浪音楽史 Vol.98 THE ROOSTERZ『BEST COLLECTION』

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1986年2月21日、日本コロムビアよりリリースのベスト・アルバム。 私がCDプレイヤーを買ったのは1987年だったと思う。価格も40,000円以下の機種が出てきて、入手しやすい値段になった頃。型番は忘れたが、ソニー製CDプレイヤーを手に入れた。 CDソフトで私が最初に買ったのはドアーズの2枚組ベスト盤『ベスト・オブ・ドアーズ』…いやニュー・オーダーのシングル集2枚組『サブスタンス』か…。もしかしたらルースターズの旧譜がCD再発されるのにあわせてCDプレーヤーを買う気になったのかも…『ファースト+ア・ゴーゴー』、『インセイン+ニュールンベルグ+CMC』を買ったのか。いやその時のルースターズ新譜『パッセンジャー』だったかな。記憶は曖昧、でもこのうちのどれかだった。 CDソフトが日本で発売されたのは1982年10月1日。最初のCD50枚がこの日リリースされたという(CDプレイヤーも同日発売)。その後過去の名盤やベスト盤の発売、それに新譜はアナログLPとCDが同時リリースされてCDはタイトル数を増やしていく。 CD発売開始から4年が過ぎて、ザ・ルースターズ初めてのCD発売はベスト盤『ベスト・コレクション』(品番33C31-7853)だった。帯には”決定盤!!CDオリジナル企画ベスト15曲“と書かれている。これまでのアルバムと12インチ『SOS』から代表曲を収録。曲目は(帯裏の表記)、  1. ロージー  2. どうしようもない恋の唄  3. ワン・モア・キッス  4. ガール・フレンド  5. レッツ・ロック  6. ケース・オブ・インサニティ  7. ニュールンベルグでささやいて  8. C.M.C.  9. ドライブ・オール・ナイト 10. エアー 11. サッド・ソング 12. グッド・ドリームス 13. ヴェヌス 14. SOS 15. ネオン・ボーイ 前年の1985年にリリースしたアナログ盤ベスト 『COLLECTION 1980-1984』 がシングル集だったのに対し、CD『ベスト・コレクション』はシングル・ヴァージョンを収録していない。まぁ2年続けてベスト盤をリリースするには何か違いがないとね…。各アルバムから代表曲として1〜2曲を選んで時系列に並べるという順当なリスト。...

OPENING SE of THE ROOSTERZ『PERSON TO PERSON』1984.8.27〜1984.9.2

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コンサートで会場のライヴ・ハウスやコンサート・ホールに入場後、ほとんどの場合、開演まで会場内には控えめな音量で音楽がかかっていると思う。開演時間になり、大音量で音楽が流れ始めメンバーが登場、それぞれの楽器を手に取りライヴが始まる。そのメンバーが出るタイミングに大音量で流される曲がオープニングSE…まぁ出囃子ともいうのかな…。 ザ・ルースターズの場合、自身が発表した楽曲でオープニングに相応しい曲がある。「ラジオ上海〜Wipe Out」、「Je Suis Le Vent」、「φ」、「Music From Original Motion Picture "Punishment"」、「Harlem Nocturne」、それに1984の「Soldier」といった楽曲がオープニングに使用されていた。だけど、自分たちの曲じゃない、他のアーティストの楽曲をオープニングSEに使用する時もある。今回は1984年の夏、ザ・ルースターズが新宿ロフトでおこなった7日間連続ライヴ『PERSON TO PERSON』、そのときにオープニングSEに使用された楽曲を紹介する。 8月27日(月): NICO「Genghis Khan」 (from アルバム『DRAMA OF EXILE』) ザ・ルースターズ・ウィークの初日は、ニコの前作から7年振り、5枚目のソロ・アルバム『ドラマ・オブ・エグザイル』(1981年)に収録されている「 Genghis Khan 」でメンバー登場。ミドル・イーストでエキゾチックなイメージのアレンジ、フローティングなムハマンド・ハディのギター・フレーズとニコのヴォーカル。タイトなバンド・サウンドに、ブロックヘッズのデイヴィー・ペインのサックスもフリーキーに乱入。キーボードはアンディ・クラーク、プロデュースはベースも弾いているフィリップ・クイリチーニ。 これ誰の曲?と聞いた私に一緒にいた友人はニコじゃないの、との返事。それからしばらく探したな。どのアルバムに収録されているか分からなくて、このアルバムかなーと中古で売ってた『ドラマ・オブ・エグザイル』(アナログ・輸入盤)を買ってみたら1曲目に収録されていてうれしかったなー。 薄暗い階段を昇るニコのジャケットも含め、内容的に好きなアルバムだが、ニコとプロデューサーのフィリップに許可なくオーラ・レコードがリリースし...

1984「BIG BROTHER」

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WAR IS PEACE FREEDOM IS SLAVERY IGNORANCE IS STRENGTH

THE ROYAL TEENS「Short Shorts」

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タモリ倶楽部、3月で終了なんだ…。

高木完著『東京 IN THE FLESH』

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2022年3月20日、イースト・プレスより刊行。 1979年6月25日にゴジラ・レコード第5弾シングル「おきまりの午後 c/w In The System」(GZ-222)をリリースしたFLESHのヴォーカル、その後はDJ/ヒップホップ/クラブシーンへと活動の場を広げていく高木完の自伝的語り、および交友関係の対談を掲載した書籍で2022年に刊行された。 高木完はFLESH(オムニバス『ゴジラ・スペシャル・ディナー』で聴いた)の他、いとうせいこう&TINNIE PUNX『建設的』、ソロは『フルーツ・オブ・リズム』、『グラス・ルーツ』、『ヘヴィ・デューティ vol.1』まで聴いた。あと『星くず兄弟の伝説』のサントラも聴いたな。 この本の冒頭15ページには写真が掲載。母君に抱かれる生後2ヶ月から、FLESH、東京ブラボー、タイニーパンクスのステージ写真等が掲載されている。 文章部分は大きく2部に分かれていて、ひとつは「いくつかの場面」と題された“少年時代からヒップホップに出会うまでの自分語り”が60ページほど。こちらにも写真(モノクロだけど)やチラシ等が数点ある。 ふたつめは「東京 IN THE FLESH」と題された、高木完がナビゲーターを務めるJ-WAVEのラジオ番組「TOKYO M.A.A.D SPIN」の友人や先輩を迎えての対話を収録していて約380ページほど。登場するのは、  1. ヤン富田   2. 近田春夫  3, 高橋盾(UNDERCOVER)  4. 大貫憲章  5. NIGO®  6. 小泉今日子  7. 宇川直宏(DOMMUNE)  8. 細野晴臣  9. 小西康陽 10. 戸川純 11. レック 12. K.U.D.O(MAJOR FORCE) 13. EYE 14. YoshimiO の14名。 日本のロックやクラブカルチャー裏話的な内容から、高橋盾の東京セックス・ピストルズの話や、キョンキョンのアナーキー好きとかあまちゃん挿入歌の教授のエピソードや、戸川純の女優志望の話とか野音でみたRCとリザードの話や、レックのライヴ・オムニバス『東京ロッカーズ』のジャケは気に入ってないとかあの時フリクションのライヴ録音フルで残ってるんじゃないか等々、いずれも色々...

鮎川誠&シーナ「You Can't Put Your Arms Round A Memory」

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SHEENA & THE ROKKETS YouTube 公式チャンネルで鮎川&シーナがジョニー・サンダース「You Can't Put Your Arms Round A Memory」をカヴァーしたライヴ(博多港100周年記念ライブ)映像を限定公開している。

THE PRETENDERS「WINDOWS OF THE WORLD」

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世界の窓は雨に閉ざされている あの頃の太陽の光はどこへいってしまったの 誰だってわかってる 幼い子どもたちが遊ぶ時には まっすぐ大きく育つには陽射しが必要なこと この世界に太陽の光をあてましょう 世界の窓は雨に閉ざされている あの暗い空はいつになったら青く澄みわたるの 誰だってわかってる 少年たちは大人になると いつ軍に召集されるのか気をもみはじめること この世界に太陽の光をあてましょう 世界の窓は雨に閉ざされている いったいこの地球はどうなるの 誰だってわかってる 人と人とが友達になれない時は 争いを終わらせるため誰かが命を落としていること この世界に太陽の光をあてましょう 世界の窓は雨に閉ざされている 私たちにできることが何か必ずあるはず 誰だってわかってる 空から落ちる雨粒は ほんとは天使たちの流す涙だと いつまで彼らを泣かせておくの この世界に太陽の光をあてましょう 作詞:ハル・デイヴィッド 作曲:バート・バカラック 訳詞:小笠原玲子 Everybody knows whenever rain appears it's really angel tears How long must they cry?

追悼・BURT BACHARACH

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作曲家のバート・バカラックが2023年2月8日、94歳で逝去。 バート・バカラックが作曲をした作品というのを最初に意識したのはストラングラーズの「Walk On By」だった。いつ頃だろう、1980年代にコンピレーション盤で聴いたと思うが、ギターのカッティングからドラムとバリバリのベースラインとキーボードがほぼ同時に入ってくるイントロがカッコイイ。ヒューがラフに歌うメロディアスなライン、長尺のキーボード・ソロとギター・ソロ、全編で唸る硬質な音色のジャン・ジャックのベース。6分余りの長さを感じさせない魅力あるサウンドだった。 この曲を収録していて今私の手元にあるのは、U.A.時代のスタジオ・レコーディングをコンパイルした4枚組ボックスセット『ジ・オールド・テスタメント』(1992年)。 「Walk On By」は様々なアーティストがカヴァーしているが、ザ・ペイル・ファウンテンズの編集盤CD『ロングショット・フォー・ユア・ラヴ』(1998年)のシークレット・トラックに「Walk On By」のライヴ・ヴァージョン(ベルギーでのライヴ)が収録されていた。その後2013年にクレスキュプールからリリースされた編集盤『サムシング・オン・マイ・マインド』にも収録。 エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズは、1977年におこなわれたスティッフ所属アーティストのパッケージ・ツアーを記録したライヴ・アルバム『ライヴ・スティッフス・ライヴ』(1978年)でバカラックの「I Just Do Not Know What To Do With Myself」のカヴァーを収録。エキサイティングな演奏が並ぶ中、この曲はしっとりとした雰囲気を醸し出すカヴァー・ヴァージョン。 エルヴィス・コステロ(ヴァリアス・アーティスツ名義)のコンピレーション・アルバム『アウト・オブ・アワー・イディオット』(1987年)に収録されていたバカラック作「Baby It's You」。ニック・ロウとのデュエットでアコースティックなタッチ。 エルヴィス・コステロはその後1996年に映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』のサントラに「God Give Me Strength」をバカラックと共作。1998年にはバカラックとのコラボ・アルバム『ペインテッド・フロム・メモリー』をリリースしている。 ジョニー・サンダース&...

STRAWBERRY SWITCHBLADE『1982 4-PIECE DEMO』

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ストロベリー・スウィッチブレイドがデュオとしてデビューする以前に4人のオリジナル・ラインナップで録音したデモを収録した7インチが再プレスされた。最初のリリースは2017年で、欲しいなーと思っていたら既に売り切れ、2022年に再発されたものを入手した。 このデモは、ジル・ブライソンとローズ・マクドウォールに加えて、ベースにジャニス・グッドレット、ドラムにキャロル・マッゴーワンというラインナップで1982年、グラスゴーのベルファイアクラブでレコーディングされたもの。 私がこのデモ音源を初めて聴いたのはストロベリー・スウィッチブレイドのファン・サイトで、このデモの他にもBBCラジオセッションやライヴ、ホームデモ等が聴けたし、写真や文章もかなり充実した内容のサイトだったが、いつの間にか閉鎖されたようだ。 この7インチ収録にあたっては、ジルが所有していたカセットテープからリマスタリングされたという。 収録されているのは、 Side-A「Spanish Song」 Side-B1「Trees & Flowers」 Side-B2「Go Away」 の3曲。 B面の2曲「Trees & Flowers」と「Go Away」は、ジルとローズのデュオとなったストロベリー・スウィッチブレイドが1983年にウィル・サージェントのNinety-Two Happy Customersから、シングル「Trees And Flowers c/w Go Away」(Haps 001)としてリリースする曲。 「Spanish Song」は未発表曲で、ネット上にある歌詞を読むとスペインのアラゴンへの旅がテーマらしい。アウトロ部分のギターがスペイン風。 「Trees & Flowers」はヴェルヴェッツからの影響が伺えるピュアなアレンジ。 「Go Away」は、Ninety-Two Happy Customersシングルではヴォーカルとギターとオーボエのみの演奏、1985年のアルバムでは哀愁のエレポップ・ヴァージョンだったが、このデモではシンプルなバンドヴァージョンの演奏。ドラムの演奏は安定しているし、ベースのフレーズはどの曲もよく練られていると思う。 素朴な演奏だがバンドとしての初期衝動を感じさせる内容だ。 『1982 4-PIECE DEMO』にはブックレットが付属、モノクロ...

私の放浪音楽史 Vol.97 仲井戸麗市『THE 仲井戸麗市 BOOK』

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1985年8月21日、東芝/イーストワールドよりリリースのアルバム。 トム・ヴァーレイン/テレヴィジョンからの影響は日本でもパンク/ニューウェイヴ系のアーティストにとっては大きかったと思うが、レコード・ジャケットに“テレヴィジョンから影響された”と記している音盤はなかなか無いんじゃないか。仲井戸麗市がRCサクセション在籍時の1985年にリリースした初ソロ・アルバム『THE 仲井戸麗市 BOOK』のジャケット裏には” Inspired by "TELEVISION"とはっきり記載されている。 仲井戸は、このソロ・アルバムについて“ 俺個人の中で、ティーンエイジャーの頃から抱えこんできたようなことの、爆発っていう意味合いがあったからね。それは一度吐き出しておかなきゃっていう ” (雑誌『ロック画報 10 特集 RCサクセションに捧ぐ』[2002年]より)と語っている。 レコーディングメンバーはギター春日博文、RCからベース林小和生、ドラム新井田耕造などが参加。アレンジとプロデュースは仲井戸と春日博文。 20秒ほどのノイズのあと、ヘヴィでブルージーなリフで始まり、先のチャボの言葉通り“はき出す蓄積フラストレーション”と歌われ(叫ばれ)るオープニングの「別人」。ノイジーに乱れ飛ぶギターソロもキマってる。続くアコースティックギターのリフとタイトなドラム、エフェクト処理したヴォーカルの「カビ」。TOO MUCHな生活を嘆くようでもあり、恩恵を受け入れるようでもあるアンビバレントな歌詞(ラストに野口五郎「君が美しすぎて」の一節がさりげなく歌われている)。「BGM」は、骨も毒も魂も無い売れ線路線への痛烈なカウンター・ソング。 オールディーズなムードの「ティーンエイジャー」はヒルビリー・バップスがファースト・アルバム『ティア・イット・アップ』でカヴァーしている。“ヒミツをもとう 二人だけの”と固い結びつきを願うレゲエ・ビートの「秘密」。テレヴィジョンの「Friction」的なギターのバッキング・リフを持った「打破」は、やや自嘲気味に“変わりばえのしねえ 判で押した毎日”を嘆く。ギターソロは春日(前半)と仲井戸(後半)で分け合って弾いている。RCのコンサートでも演奏されていた。アナログ盤だとここまでがA面。 やってらんねえぜ!I'm Going Home!と...

「恋のムーライトダンス」SHEENA & THE ROKKETS

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見知らぬ町を 二人のシルバートレイン 窓辺にうつる七色のイルミネーション もう何も目にはいらない 二人はもどらない 今夜は二人のステキなムーンライトダンス 星空はるか キラメクミルキーウェイ 明日は二人のときめくウェディングデイ! もう何もきこえない 二人はもどらない 今夜は二人の恋のムーンライトダンス 今夜は二人の恋のムーンライトダンス 「恋のムーライトダンス」from Album 『真空パック』SHEENA & THE ROKKETS 作詞・松本康 作曲:鮎川誠 シナロケのセカンド・アルバム収録曲。作詞は博多にあったレコード店ジュークレコード店主で、博多/九州のロックシーンを大きく後押しながらも、2022年9月28日に亡くなった松本康。この曲の他にも「ワンナイト・スタンド」、「ハートに火をつけて」、「KRAZY KOOL KAT」等、松本が作詞を担当したシナロケの楽曲がある。 誰かが言ってた、“鮎川さんシーナさんに逢いに行っちゃった” って…。鮎川が亡くなったことは寂しく悲しい事だけど、確かにそう思う事でほんの少し気持ちが和らぐ。 ありがとう、さようなら、鮎川誠 RIP

「ベイビー・メイビー」SHEENA & THE ROKKETS

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Baby Maybe I Love You Baby Maybe I Love You Baby Maybe I Love You Baby Maybe I Love You ベイビー そっと目を閉じて メイビー きこえてくるでしょう ため息だけで すぎてしまうなんて ベイビー 貴方にあわない ベイビー あたしの好きな人 メイビー いつまでも変わらないわ 恋のかけ橋 宇宙の果てまで ベイビー 誓ってほしいの 真夜中の光が 窓辺をさした時 おきざりのハート 貴方は気づく 「ベイビー・メイビー」from Album 『CHANNEL GOOD』SHEENA & THE ROKKETS 作詞:シーナ 作曲:高橋幸宏 編曲:鮎川誠 突然の訃報、昨日からいろいろと聴いたり、読んだり、眺めたり。 シナロケのアルバム『チャンネル・グー』に収録されている「ベイビー・メイビー」は、バブルガム&テクノ・フレーヴァーでキャッチーな曲。作詞作曲のクレジットを見ると、ちょっと寂しい気持ちになる…。高橋幸宏はこの曲でドラムも担当していた。 1983年の再結成サンハウス『クレイジー・ダイアモンズ』、鮎川誠名義の 『クール・ソロ』 、シーナ産休中の3人組ロケッツ『ロケット・サイズ』、サンハウスのレア音源集『ハウス・レコーデッド』…どれも新鮮だった。『LONDON SESSION』も好き。

追悼・鮎川誠

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  2023年1月29日、鮎川誠が逝去。 おまえが 街をでていく気 俺に 一言いわせておくれ 別れぎわに あいさつには もってこいの言葉だぜ グッドラック グッドラック グッドラック 笑ってみせな そうさ 涙は禁物さ まだ 俺たちは 終わっちゃいない ブルーな しめった空気には もってこいの言葉だぜ サヨナラ その言葉は きかなかったことにするぜ 馬鹿げた ゲームだって あとくちだけは 汚さずに 「グッドラック」from Album 『CHANNEL GOOD』SHEENA & THE ROKKETS 作詞:柴山俊之 作曲:鮎川誠 愛用のギブソン・レス・ポール・カスタムと pic from SHINKO MUSIC MOOK『ROCKS OFF Vol.05』(2008年) pic by 吉浜弘之 今年の冬は殊更寒さが堪えるな…。

追悼・TOM VERLAINE

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トム・ヴァーレインが逝去。 2023年1月28日、73歳でなくなったという。 そうか…。テレヴィジョンのファースト・アルバム 『マーキームーン』 に衝撃を受け、それからテレヴィジョン、トム・ヴァーレインの音を探し求めた。 テレヴィジョンのセカンド『アドヴェンチャー』、ROIRからのライヴ・カセット『ブロウ・アップ』、1992年の再結成アルバム『テレヴィジョン』、2003年にRhino Handmadeからリリースされた『Live At The Old Wardorf』、配信で入手した再結成時のライヴ『Live At Academy NYC 12.4.92』…。 トムのソロは3作目 『ワーズ・フロム・ザ・フロント』 (1982年)を最初に入手した。たぶん1984年頃に中古で買った(右上の写真はアナログ盤『ワーズ・フロム・ザ・フロント』のインナーより)。ファースト『トム・ヴァーレイン(邦題:醒めた炎)』から1992年リリースの『Warm And Cool』まで聴いたけど、2006年に同時リリースした『Around』と『Songs And Other Things』は聴いていないな…。 もしかしたら本国アメリカより、日本や、イギリスを含むヨーロッパで人気があり、評価が高く、影響力が大きかったと思えるテレヴィジョン/トム・ヴァーレインだが、USパンク黎明期の最重要バンド/ギタリストとしての伝説とともに、その作品はいつも、いつまでも聴き継がれることだろう。 トムがテレヴィジョンの前にリチャード・ヘル、ビリー・フィッカと組んでいたバンド、ザ・ネオン・ボーイズの音源を3曲含むCD(1991年 Overground)。5曲入りのCDで他2曲はリチャード・ヘル+ヴォイドイズの楽曲。 ブライアン・イーノと録音したというデモ5曲を含むブートレグ『Double Exposure』。結構探したアナログ盤。 セカンド・アルバム『アドヴェンチャー』のレーベル。エレクトラのLP盤はテレヴィジョンに限らずだが、レーベルに蝶のイラストが描かれていたのが美しい。7インチ・シングル盤はキャタピラーのイラストでちょっと怖かった。 雑誌『レコード・コレクターズ 1992年10月号』。特集「ニューヨーク・パンクとテレヴィジョン」。 テレヴィジョンの記事は、 バイオグラフィ:西村茂樹 デビュー前のテレヴィジョンの...